ソードアート・オンライン 剣が有るなら盾も必要じゃない?
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剣と盾
デスゲーム始動
妹捜索
前書き
皆さん再開しましたね。
では、盾の出ない盾の話が始まります。
世界に降り立った俺は、自分がこの世界に初めてダイブした時の事を思い出す。
喜びや楽しみと言ったプラスの感情に反して、少しの不安が有ったのを今でも覚えている。
自身がこの手のゲームに対して初心者では無い事から、そのウェイトは大半が正の感情を占めていたのは言うまでもないのだが、それが完全なる初心者になると全く逆になるのは想像に難しくない。
自分の妹が、初めて東京の新宿に来ました。見たいな感じに、おろおろと周りに視線を泳がせて、不安を露にしている姿を想像すると、早く会って安心させてやりたいと、そう想うのは当然の事だろう。
早速、妹を探す為の行動に出る。
せっかく仮想現実の世界に居るのに、現実の自分と似たような姿にアバターを製作する人間は居ない。妹も例に漏れず、その姿は現実の物では無いのだろう。
付ける名前は予め聞いているから、見つけ出す事ができないってのは無いのだろうけど、相手に直接聞くか、パーティやギルドメンバーを組まない限り、その人物の名前が解らない使用に成っている事から、容易に見つける事ができるとは思えない、だがしかしアチシはβテスター。知識を使います。
勿論、無駄に走り回って探すなんて愚行は犯さない。
右手を軽く振ってメニューバーを開くと迷わずメール機能を選択して、宛先名の所に予め聞いていた名前を打ち込んで、何所に居る?と文を送る。
無事に送れた事を確認すると、安心した為か自然にホッと溜め息が出た。
メール機能自体は相手が居なくても送受信はされるが、その相手がまだ存在していない場合はその限りでは無い。送信出来たと言う事は、最低でも、この世界に妹が付けようとしていたキャラネームの人物が居ると言う事だ。
それが確実に妹だと決まった訳ではないが、キャラネームが被るなんて事態は、そう滅多に起こる事でも無いので大丈夫だろう。
やはり、何だかんだ言っても初心者だと、何か思いもよらぬトラブルを起こしている可能性も無くは無かったので、多少なり不安はあったのだ。
暫くして目の前にメールの着信表示が現れる。
開くと、眼前に『広場中心の、大きな像の下に居ます。』と文面が広がり、確認すると同時に、俺の体は勝手に走し出していた。
メールに書いてあった石造の近くまで来ると、以外にもあっさりと目当ての人物は発見できた。出来てしまった。
なにせ、髪の色に違いは有れど、その容姿は姉に良く似ていたのだ。
案の定、あたふたと周りの景色に視線を泳がせて居る彼女を見て、本日2度目の安心感を味わいつつ、走っていた足を一旦止めて、ゆっくりと彼女に近づいていく。
しかし、そこで問題が発生した。
長身の男2人が、彼女に話し掛けたのだ。
彼女が、目に見えて混乱状態になって行くのが見て取れる。
普段から初対面の人間に対して遠慮気味と言うか、距離感を図ることを苦手にしている妹が、今どんな心境なのか想像に難しくない。
だが、男達にはその反応が楽しかったのか、調子に乗った1人が彼女の肩に手を乗せた。
それを見た瞬間に、再び勝手に動き出す身体。
一瞬にして3人との距離を詰めると同時に、男の手首を握る。
突然の出来事に三者三様の表情を浮かべているが、無視して男をにらみ付ると、自分でも、今迄にこんな声色を出した事があっただろうかと思うほどの低い声が出てくる。
「うちの連れに、何か用でも?」
未だに驚きの表情を浮かべる男達だったが、声を掛けた事で反応を見せる。
「な、何だよ。」
「べ、別に。一緒に街でも回ろうって声掛けてただけだよ、文句でもあんのかよ。」
「そうだ、そうだ、なんだよ喧嘩でもしようってのか?あぁ?」
手首を握られてる方は、最初こそ驚いた感じに返して来たが、もう一人の男が、急に1人で現れた俺に対して若干強気に言い返すことで、それに便乗するような形で強気な態度に変わる。
それもそうだろう、俺は1人、相手は2人居るのだから完全に優位であることは少し考えれば分かることなのだが、次の俺の一言で態度が一変する。
「そうか、ならβテスターの俺が案内してやろうか?どうせなら、戦い方も教えてやるよ?」
目に見えて表2人の情が強張る。
「くっ。い、いらねぇよ。」
「なんだよ、むきになってさ、行こうぜ。」
「ああ、どうせあれもネカマだろ。」
負け犬の遠吠えとは正にこう言う発言の事を言うのだろう。最後の一言に対して思う所が無い訳ではないが、これ以上のトラブルはよろしくない。
手を強引に振り解いて、足早に立ち去っていく2人の背中を一括した後に、妹であろう姉似の女性に振り向いて声を掛ける。
「えぇと、大丈夫か?シリカ、かな?シルドだけど?」
未だに驚きの表情を浮かべて固まっている彼女は、直ぐに反応を見せてはくれない。同時に違ったか?と言う考えが浮かんでくる。
それだとかなり恥ずかしい状況になってしまうのだけれど、どうしましょ。
がっ、それもどうやら杞憂だったよで、次の瞬間には凄い勢いで胸に飛び込んできた。
「ち、ちょ。お、おい。」
行き成りの事に驚いてしどろもどろになってしまうが、彼女の身体が少し震えているのに気が付くと、直ぐに冷静さが戻る。
不安だったのだろう、不安でどうしようもなかったのだろう。そんな彼女の心中を想うと、恥ずかしさ以上の愛おしさが湧き上ってくる。自然と胸元に有る彼女の頭に手を載せると、先程とは全く逆の、優しいい勝手に声が出てくる。
「わりぃ、怖かったな。」
黙って頷く彼女の頭を撫でていると、不意に周りの視線に気が付く。気が付いてしまった。途端に恥ずかしさでログアウトしたくなったが、そんな事をしていては時間が勿体無いので彼女の手をとってその場を急いで離れることにした。
結局、軽くではあるが、トラブルを起こしたのは俺だった。
後書き
呼んでいただいた皆様、有難うございます。
無理矢理なオチでしたね。これ以上のオチはアッシの頭では無理でした。ご勘弁を。
亀も驚くような速度でのシナリオ展開ですが、出来るだけオリジナリティを出す為に、今後も方針を、あまり変えるつもりは有りませんので、それも踏まえて読んで頂けると幸いです。
表現に違和感が有る所なんかは、読み返しながらちょくちょく修正を入れていきます。内容に変化は起こらないので大丈夫だとは思います。
では、今回はこの辺で失礼いたします。
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