レーヴァティン
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第百八十話 トランシルバニアへその十一
「その始皇帝がいなくなったら」
「あっという間にああなったな」
「滅んだわね」
「ああ」
実際にとだ、久志も答えた。
「叛乱が起こってな」
「最後は劉邦に滅ぼされたわ」
「そうなったな」
「始皇帝は兎に角建築が好きだった」
留奈も言ってきた。
「それが問題点だったわね」
「そうだよな、万里の長城にな」
「驪山陵に阿房宮」
「そこまでやったらな」
「何か阿房宮は実は各国の宮殿を集めた様な」
「そんな宮殿でな」
「まさに中国を統一して文化もそうした」
即ち始皇帝の贅沢だけでなくというのだ。
「象徴にするつもりだったっていうけれど」
「まあ過ぎたな」
「それで民の反感を余計に買って」
元々それが支持が低かったのにだ、王を騙されて囚われその陵墓を焼かれた楚や四十万の兵を生き埋めにされた趙等もあった。
「滅ぼされたな」
「そうね、項羽は秦を憎んでいたし」
「それで阿房宮も驪山陵も焼いてな」
そしてだ。
「秦を消し去ったな」
「始皇帝の一族も皆殺しにして」
「そうしたな」
「そして項羽だけじゃなくて」
「秦を憎んでいた人多かったな」
「だから支持を集めるべきだったかも知れないけれど」
秦としてはだ。
「そんなことしないでね」
「もう法律で押さえてな」
「従わせる風にしてな」
「余計に反発買うことばかりして」
「滅んだな」
「まあ始皇帝が長生きしていたら」
怪物とさえ言っていいこの人物がだ。
「違っていたけれど」
「死んだからな」
「滅んだのよ」
「そうなったな、建築もその滅んだ一因だな」
「間違いないわね」
留奈もこう言った。
「やっぱり」
「そうだよな、始皇帝は凄いけれどな」
「参考にはね」
「したら駄目な部分も多いな」
「確かに度量衡や文字、貨幣の統一は凄いわよ」
そうした政策をしたことはというのだ。
「中国を一つにしたから」
「それは凄いよな」
「確かな法律を定めてね」
「そこまではな」
「ええ、けれどね」
「その建築はな」
「あと伝え聞く焚書坑儒もね」
これもというのだ。
「どうも実際は違ったらしいけれど」
「極端にはしていないっていうんだな」
「そんな説もあるって聞いたわ」
留奈は久志に話した。
「私は」
「そうなんだな」
「けれどその一気にやり過ぎてね」
「強引に従わせるだけでな」
「建築が多いことは」
「問題だな」
「だから完全にお手本には出来ないわよ」
始皇帝、彼はというのだ。
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