クラディールに憑依しました
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みんなで狩りました
「作戦を通達するぞ、俺とアスナで適当に殲滅するから、リズベットは囲まれそうになったら壁の上に逃げてくれ」
「名前、どうせならリズって呼んでちょうだい」
「んじゃ、リズ。 思ったより元気そうだし方針を変えようか――基本は攻撃だ。
HPが減ったら無理をせずに、ピナのヒールブレスで回復して貰える程度に抑えてくれ」
「了解」
リズがメイスを装備して準備を整える。
「そしてシリカ」
「はい」
「リズのHPが減少したらピナで回復頼む、解毒結晶も直ぐ取り出せるようにして置いてくれ。
お前の仕事はリズに近付く複数のモンスターからタゲを取って逃げ回る事だ、PTから離れすぎるなよ?」
「あの、お二人のHPはどうするんですか?」
「俺とアスナにはバトルヒーリングスキルがある、この程度の雑魚に後れを取るほど弱い心算も無い、俺達がモンスターを倒すまで時間を稼いでくれ」
「わかりました」
シリカがポーチをゴソゴソと漁り始める、解毒結晶を上にしてるんだろうな。
「わたし達の作戦は?」
「基本はサーチアンドデストロイ、正確な意味はヘリコプターによる索敵からの襲撃作戦だが――この場合は見敵必殺だな」
「つまり、片っ端から倒せば良いのよね?」
「あぁ、リズの敵を取らない程度に狩り尽くすぞ、シリカが引き付けてる敵は危なく無い限り後回しだ」
「了解、その作戦で行きましょう」
俺が両手剣を――アスナが細剣を装備して準備が整った。
壁の下では雑魚モンスターがリポップを完了結構な数が集まり始めてる。
「いくぞッ!!」
全員が壁から飛び降り――――リズが着地に失敗した。
「いったーいッ!!」
「おいぃッ!?」
「リズ!? 大丈夫!?」
「大丈夫ですか!?」
俺が五点着地から起き上がると、リズが座り込んだまま動けなくなっていた…………。
そういえば、アスナとシリカは軽業スキル持ってるんだったよな?
「左足にBADステータスっぽいエフェクトが出てる、コレって挫いたって扱いなの!? 不快感が凄いんだけど!?」
「異常ステータスなら回復結晶では無理だ、多分時間が経てば元に戻る――――作戦変更だ、シリカはアスナの近くで逃げ回れ、リズは俺に任せろ!!
アスナは多少無理してでも前に出ろ、HP減った分はピナに回復させろ、役割は理解したな? なら行けッ!!」
アスナとシリカが前に出て、俺はメニューから大盾を二枚出してリズを囲む。
「とりあえずポーション飲んどけ、盾は飛び道具対策だ、顔を出すなよ?」
「何であんたはあの高さから飛び降りて平気なの!?」
「五点着地だ、パラシュートで着地する時のアレだ」
「そんな特殊訓練受けた事無いッ!!、リアルじゃ普通の中学生なのよ!?」
「今度教えるから覚えろ、ソロで苦労するぞ?」
「絶対にソロで狩なんかしないからッ!!」
コッチにもモンスターが回って来たのでソードスキルで薙ぎ払う。
――――敵を倒すついでに大量の剣を取り出して、リズの周りにバリケードでも作るか。
「アスナさん、無理しないで下さい!!」
「大丈夫よ、まだ行ける!!」
アスナ達の方を見ると――――HPを削られながらもアスナが無双をしていた…………おー、相打ちでも無視して突っ込んでるな。
「良し――BADステータスが消えたわ、これで動ける――――って何よコレ!?」
大盾の影から立ち上がったリズが見た物は、俺が敵を倒しながら作った片手剣と両手剣のトライアングルバリケードだった――――十三本目で回復したか。
片手剣四本でクロスを二つ作り、間に両手剣を寝かすだけの即席バリケードだ。
「おはよう、良く眠れたか?」
「寝てないわよ!! 何よコレ!! 何で無駄な事してんの!?」
「まぁ、大盾二枚じゃ不安だったからな、壁代わりに作ってたんだよ」
メニューを操作して大盾と剣を全部片付けた。
「シリカ――交代するぞ!! リズの所まで戻れ、アスナも帰って来い、突っ込み過ぎだ!!」
モンスター三体を相手にしてる二人に声を掛けた。
「シリカちゃん、先に戻ってて」
「え? 大丈夫ですか?」
「大丈夫、コレぐらい一人で何とかなるわ」
「――――それじゃあ、一匹だけ引っ張りながら戻りますね」
「ええ、ありがとう、お願いね」
「はい!」
シリカが一匹だけ引っ張りながら戻ってくる。
「リズ、スイッチ行けるか?」
「――――了解」
「シリカ、引っ張って来い!!」
「――――はい!」
モンスターがシリカの背中にソードスキルを当てようと発動モーションに入った、それに合わせて俺とリズが前に進む。
シリカと擦違ってソードスキルを発動――――モンスターが打ち出したソードスキルと相殺させる。
「今よッ! スイッチ!!」
リズの掛け声で俺は横に避けて、リズのソードスキルがモンスターを粉砕した。
「おいおい、どんな攻撃力してるんだ? クリティカルにしても出過ぎだろ!?」
「――アスナが減らしてくれてたみたいね、何度も狩りに行ってるから狙ってたのかも」
「親友の事は良く分かってるってか――――アスナ! 戻れッ! スイッチ行くぞッ!!」
「了解!」
最後の一匹を始末した所で――――地震が来た、さっきのフィールドボスか。
「シリカ、壁の上に昇ってろ、HPの管理頼んだぞ! アスナとリズは側面に取り付いて攻撃してくれ!」
「あんたはどうすんの!?」
「俺はド正面だ、女に盾をやらせる訳には行かんだろ――――時間が無い、頭と尻尾に気を付けろ、振られる前に避けろよッ!」
俺は二人の返事を聞く前に、出現した巨大ミミズに投擲スキルでタゲを取った――――そして、戦闘が開始された。
巨大ミミズの頭から突き出た刃が光を宿す――ソードスキルかッ!!
頭が地面に突き刺さるのもお構い無しに、巨大ミミズのヘッドバッドが何度も地面を抉り突き刺していく。
俺は両手剣のソードスキルを発動させて、その攻撃を相殺する。
「デカイ頭を振るから読み易いんだよッ!!」
だが、巨大ミミズの重量が有り過ぎて、相殺してるが反動が大き過ぎる――――HPが削られていく。
「ピナ、ヒールブレス」
ピナの回復でHPゲージが多少はマシになった。
「助かった、だがあまり近付き過ぎるな、ピナがやられたら変わりは居ないんだぞ、アスナとリズの方はどうした?」
「大丈夫です、アスナさんとリズさんは攻撃されてません――――もう少しで倒せます、頑張って下さい!!」
「――――了解ッ!!」
巨大ミミズのHPも残り少ない――だが攻撃パターンも掴めた、ヘッドバットを三回した後は必ず休む。
アスナとリズのソードスキルでHPがリズム良く削られて行く、最後の一撃は――――此処だッ!!
「はああああああああッ!!」
俺の両手剣スキル『アバランシュ』が発動、上段から突進力と重量を乗せた一撃が巨大ミミズに振り下ろされた!!
クリティカルでヒットしたが――――まだHPが数ドット残っている!?
不味い、俺はソードスキルの硬直で隙だらけシリカは――――
「てりゃあああああッ!!」
シリカのソードスキル『ラピットバイト』が最後のHPを削り取り、巨大ミミズが断末魔を残して砕け散った。
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