ドリトル先生と牛女
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第十二幕その三
「先生みたいにはじまる前からっていうのは」
「どうにもね」
「僕達もいつも言ってるけれど」
トートーの口調は困ったものになっています。
「先生最初からそうだって思ったら駄目よ」
「学問にはそれが一番駄目っていつも言ってるのに」
ポリネシアも言います。
「先生自身にそうってどうなのよ」
「それじゃあ駄目だから」
老馬も先生に言いました。
「確かに人種や民族や宗教への偏見よりずっとましでもね」
「やっぱり偏見はよくないよ」
チーチーも言います。
「先生にとっても」
「そう、それだけ損をするからね」
最後にガブガブが言いました。
「先入観や偏見に凝り固まっていると」
「しかし生まれてからずっと女性に縁がない僕がね」
プレゼントもラブレターも告白も一切ないからというのです。
「そんなね」
「だから先生の性格だとね」
「紳士で穏やかで公平でね」
「優しくて絶対に怒らない」
「そんな人だから」
「どうかな、僕は本当にね」
ご自身が思われるにはです。
「もてたことがないからね」
「そうした考えを捨ててね」
「それで周り見てみたら?」
「皆が言う通りにね」
「僕達が言う様に」
「そうしていいのかな、まあそうしようって思ったら」
その時はというのです。
「やってみるよ」
「それじゃあね」
「そういうことでね」
「そのそうしようっていう時が何時かだけれど」
「それでもね」
「その時が来ればね」
「そういうことでね」
先生は皆に応えてです、そうしてでした。
皆が煎れてくれた烏龍茶を飲みました、そうして飲みながら論文を書いてそのうえで、なのでした。
先生はその烏龍茶についてこうも言いました。
「ううん、このお茶もいいよね」
「烏龍茶もだよね」
「先生好きだね」
「だからこのお茶もだね」
「楽しんだのね」
「そうだよ、それとね」
さらに言う先生でした。
「お茶を飲むと気分転換になってね」
「しかも目が覚める」
「その効果もあるね」
「お茶は」
「だからいいのよね」
「ビタミンもあるしね」
栄養もあるからだというのです。
「それでね」
「飲むのならよね」
「お茶がいいのね」
「そうね」
「それじゃあね」
「今もお茶を飲めてよかったよ、ただ」
こうも言った先生でした。
「僕は最近コーヒーも飲むしお水もね」
「嫌いじゃないよね」
「決して」
「そうよね」
「お水も」
「そうだよ、だからね」
それでというのです。
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