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おっちょこちょいのかよちゃん

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91 東アジア反日武装戦線の暗躍

 
前書き
《前回》
 かよ子は三河口が修学旅行で訪れた広島の土産をまる子やたまえ、とし子、そして杉山に配り与える。その頃、札幌では三河口の従姉かつ羽柴家の次女であるありが異世界から来て、嘗てのアイヌの酋長・シャクシャインと出会う。東アジア反日武装戦線という組織の鎮圧を請われたありは夫と共に東京へ向かう事を決意するのであった!! 

 
 日本赤軍の本部。房子は異世界の護符の在処と共にある事に目を付けていた。房子の部屋に和光晴生が入ってきた。
「総長、御用とは?」
「ええ、晴生、今東京で次々と大手企業のビルを爆破させる事件をご存知かしら?」
「ああ、連続企業爆破事件の事ですね。それがどうかしたのですか?」
「あれを行っている東アジア反日武装戦線を知っているでしょ?あの人達を利用できればと思ってね。今、異世界の杯は東京にあるし、彼等に頼んで見た方が効率いいと思うの。そうすれば、私は護符を手にする手立てを考える事に専念できる。晴生、交渉できるかしら?」
「はい、やってみましょう」
 和光は日本へと旅立つ支度を始めた。

 翌日、ありは夫・悠一と共に空港にいた。これから羽田空港行きの飛行機に搭乗する。
(日本赤軍・・・、東アジア反日武装戦線・・・。そこまで日本(このくに)を破滅に導きたいのかしら・・・)
 ありは飛行機に乗り、昨日の電話で母から聞いた事を思い出す。

『あり、明日東京行くの?』
「ええ」
『これを覚えておきなさい。あの東京には異世界の杯を持っている子がいるわ。もしかしたらその子を襲う可能性があるかもしれないって事をね』
「ええ、分かったわ」

(そういえば、さりも異世界の護符をお母さんから貰ってたし、隣の山田さんも異世界の杖を持ってて娘のかよちゃんに渡したのよね・・・)
 ありは異世界の道具を考えた。飛行機は羽田空港へと向かう。

 11月に入り、涼しくなっていた。とはいえ、清水は温暖な気候なので気温の低は激しくはなかった。しかし、涼しくなっている事に変わりない。かよ子の学校では全校朝会の校長の話は相変わらず長く、体育館でやっても外でやっても身体が震えて我慢ができなった。
「はあ、やっと終わったね・・・」
 かよ子も寒くて震えていた。
「うん、アタシゃ寒くてトイレ行きたいよお〜」
 まる子は猛スピードでトイレに行った。
「もう、まるちゃんったら・・・」

 東アジア反日武装戦線。アイヌ民族の人権、今の日本を滅亡を目的とする集団である。警視庁にも住所が知られていない本部にて構成員達は集まる。
「さて、8月は三菱、先月は三井のビルを爆破したが、まだ今の腐った日本を変えるに至っていない。その為に多くの邪魔となる社を消さなくてはならない」
 総長・大道寺将司(だいどうじまさし)は伝える。
「そこでだ、今年の大きな変化が起きた。地震のような現象が起き、異世界の人間が現れるようになったのだ。そこで、段々とそれが日本赤軍の仕業と判明してきている。そこで、彼らも今、この腐ったこの国を元に戻そうとしているとの事だ。もし彼らを上手く使えたらいいのだが・・・」
 斎藤和(さいとうのどか)が意見を述べる。
「でも、聞いた話では赤軍の静岡の清水にある高校の文化祭でテロを起こしたそうですよ。それに幾度と東京や静岡にも来ているので会える機会はありますよ」
「だといいがな」

 斎藤和は別の職として貸本屋を営んでいる。その時、一人の男が入って来た。
「貸本屋か・・・。文学部卒の俺には絶好の所ですね」
「そりゃありがとうございます」
「ところであんた、こうして貸本屋やってるけど・・・」
 男は斎藤の耳元で囁いた。
「東アジア反日武装戦線やってるでしょ?」
 斎藤はビクッとした。
「もしや、貴方は警察?」
「いえ、いえ、とんでもない。私はね・・・」
 男は小声で続ける。
「日本赤軍ですよ」
「あ、あの・・・!?」
 斎藤は驚いた。
「これはこれは、ありがとうございます。我々はね、貴方のいる組織をお待ちしていたのですよ」
「そうですか、ウチのリーダーも是非同盟を組みたいと言っていましたので・・・」
「わかりました。では今度の会議にて是非ご参加を・・・」
「ああ、いいでしょう」

 ありと悠一は東京に到着していた。
(東京ね・・・。そういえば異世界の『杯』を持ってる子がいるとか)
「さて、まずはホテルにチェックインするか」
「そうね」
 二人は空港付近のホテルにてチェックインした後、ありは夫に頼み出る。
「ちょっと母に電話してくるわ」
「ああ、いいよ」
 ありはホテル内の公衆電話を借りて実家の母に電話をした。

 かよ子はまる子にたまえと下校していた。
「もう来月はクリスマスか・・・」
「そういえば今度はクリスマス合唱コンクールがあるから大変だよね」
「うん、もしかしたら毎朝か放課後練習するのかもね」
「放課後ならともかくアタシゃ朝はやだなあ〜」
「でも放課後だって習い事で出られない子がいるから、朝しかないんだよ」
 たまえが解説する。
「う、うん・・・」
「まるちゃん、運動会の練習の時みたいに遅刻しないでね」
「そうだよ、かよちゃんはおっちょこちょいでも遅刻しなかったんだよ」
「遅刻しそうになった時もあったけどね・・・」
「は、ハイ・・・」

 東アジア反日武装戦線の本部。斎藤は大道寺を始め、全組織全構成員に日本赤軍の和光を紹介した。
「この方があの日本赤軍の一人、和光さんですよ」
「どうも、よろしく」
 大道寺は話を始める。
「それで、今回の議題だが・・・、折角日本赤軍の方が来ていただいたのだからその方の意見を是非聞いておきたい」
「ああ、我が総長、重信房子が行った異世界との距離を近づけた事により異世界の協力者が出ている。だが、我々の計画を邪魔する奴がいるのも事実だ。そこで我々が最も脅威とされているのが、平和を良しとする異世界の奴がこの日本の人間に我々に対抗する道具を寄越している。特に我々の中で最も恐ろしいとされているのが、杖、杯、護符、そして剣だ。まあ、剣は広島にあって我々が回収した。課題は残りの三つを回収する事だ。杖は静岡の清水、護符は清水にあったが、今どこにあるか行方不明。ただ、杯はこの東京都内にあるのは確かだ。我々が送り込んだ異世界の人間が東京でその杯を持っている子に倒されたと情報が入ったから、貴方にはその杯を回収して欲しいのだ」
「ほう、異世界の杯か・・・」
「房子様もそれを望んでおられる。だが、相手もなかなか手強い。夏に私の仲間の日高敏彦という者が杯を手に入れる為に東京に訪れたが、通りすがりの高校生とやらの妨害を受けて失敗してしまった。だが、我々も協力は惜しまん」
「それは有難い」
「では、連絡を取り合わないとな・・・」

 ありは実家の母と電話する。
「お母さん」
『ああ、あり』
「私達、今東京に着いて羽田のホテルに泊まってるところ」
『あら、お疲れ様。気をつけてね』
「でも、東アジア反日武装戦線とか赤軍のいるところって見つけられるかしら?」
『大丈夫よ。異世界の人間に頼まれたんでしょ。見つかるよ』
「うん、そうよね・・・」
 ありは電話を切った。そして敵の行方・在処についてありはまだ知る由もなかった。

 御穂神社。石松は御穂津姫と話す。
「なぬ!?赤軍と敵の奴等が江戸の極左の組織と組む事を検討していると!?」
「ええ、それが起きると大変な事になります。そこに住む杯の所持者に危害が及ぶ恐れもありますからね。それを抑えるには今シャクシャインという人に頼まれて東京に滞在している者がおります」
「分かった。この地も不安であるのだが・・・」
「その方につきましてはご安心を。嘗ての護符の所持者の娘の一人です。きっと防いでくれるでしょう」
「そうか、某も祈ろう・・・」
 石松は祈った。東京にある杯が守られる事を。 
 

 
後書き
次回は・・・
「合唱コンクールへの道」
 かよ子のクラスではクリスマス・イブに行われる合唱コンクールの会議を行っていた。かよ子は独唱の部分を歌うという大役を担う事になる。そして東京を訪れたありと悠一はシャクシャインからある道具を授かる・・・。 
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