歪んだ世界の中で
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第一話 底のない絶望その七
「遠井君さえよければ」
「一緒にいてくれるんだ」
「僕の家に何時でも来て下さい」
「じゃあ友井君もね」
「僕もですか」
「何時でもね。僕の家に来て」
こう言ったのだった。真人の言葉をそのまま返す形で。
「そうしてくれるかな」
「わかりました。ではその時は」
「あとね」
楽しげに笑って言う希望だった。彼にはそうした顔になれた。今の状況でもだ。
そしてだ。その笑顔での言葉だった。
「その夏休み前にも」
「テストが終わってすぐにですね」
「うん、山に行かない?」
そこに行こうというのだ。
「二人でね」
「山ですか」
「ほら、近所のあの山」
「ああ、八条岳ですね」
この八条町の後ろにある山だ。二人が子供の頃よく遊んだ山だ。
そしてだ。その山にだというのだ。
「あそこに」
「テストが終わった次の日曜に」
「その日にですね」
「一緒に行こう」
こう提案するのだった。
「そうして遊ぼうよ」
「そうですね。あの山で遊んだのは」
「中学校の時以来だったかな」
「中三の春でしたね」
「その時は確か」
「春だったので暖かいから」
それでだ。行ったというのだ。
「そうでしたね」
「そうそう。けれどすぐに受験で忙しくなって」
「高校合格まで行ってなくて」
「それでだったよね」
「今まで行っていませんでしたね」
「だからね」
それでだと。希望は真人に笑顔で話すのだった。
「どうかなって思ったんだけれど」
「いいですね」
まずはだ。笑顔で応える真人だった。
そのうえでだ。希望に言うのだった。
「では日曜に」
「うん、行こう」
「そうしますか」
「あの山に登ると」
真人を見て。そうしての言葉だった。
「心がね」
「落ち着きますか」
「そうなんだよね」
だからだというのだ。
「登るの好きなんだ」
「特に森の中に入ると」
「そうそう、何か違うよね」
「はい、僕もです」
そしてそれはだ。真人もだというのだ。
その彼がだ。希望に述べる。
「森の中にいると」
「あれって確か」
「森林浴です」
真人から述べてきた。
「そう言います」
「そう、その森林浴をしよう」
「はい、それでは」
こう話してだった。二人はその山に行くことを楽しみにするのだった。そしてだ。
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