同盟上院議事録~あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争~
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閉会~金帰火来には遠すぎる~
アスカリの持ちたる国~ヴァンフリート民主共和国~(上)
デイヴィット・イロンシはヴァンフリート国民軍中将にして、人民政府中央執行委員の一人であり――同盟弁務官である。
様々な肩書を連ねているが、要するに政府の閣僚と同列扱いの要人であり軍の実力者でもあるという事以上にヴァンフリート民主共和国の代表としてハイネセンにおいて利益を代表する者の一人であるという事だ。大抵の場合、もう片方――そのような彼がアスターテ会戦後、初の帰国ともなればまずやることは決まっていた――
「皆様、ようこそヴァンフリート民主共和国へ!私は同盟弁務官として、そして一人の国民として皆様を歓迎いたします」
国家式典に参加する同盟軍達の歓待役である。勿論、ハイネセンから来た佐官程度であれば政府広報や外務の中堅どころが相手をするのであるが今回はそうはならない。
「グリーンヒル総参謀長閣下。ウランフ提督閣下、以下将兵各位、この度はご足労いただきありがとうございます」
グリーヒル総参謀長は宇宙軍大将であり統合作戦本部次長(宇宙軍担当)も兼任しており、同盟軍内で序列3位とみなされている。
ウランフ提督は第10艦隊司令官でありその軍歴の大半を帝国軍との戦争や軍事・政治的的重要航路の警備にあたる正規艦隊で培ってきた同盟軍有数の勇士として名高い。
要するに同盟軍中枢の要人達である。
それだけではない、国営星間放送のヴォイス・オブ・フリーダム、高級紙のハイネセン・ポストにアライアンス・タイムズ、プラネッツ・フィガロにフリープラネッツ労働組合総連合も出資している自由労農日報‥‥‥多くのマスメディアが詰めかけている。
「この度は同盟軍を代表し、ヴァンフリート国の皆様に同盟の同胞として常の御協力に厚く感謝を申し上げ、そして」
デイヴィット・イロンシもまたヴァンフリート人民軍中将であり、同盟軍に出向した期間は幾度も前線にでている。エル・ファシル解放戦争においてヴァンフリート突撃工兵連隊長として活躍した事を最後の花道とし、将官になるとヴァンフリート民主共和国においては高級官僚としての道を歩んできた。
だが未だに体型を崩さず弁務官としても政府代表部の警備部隊らとトレーニングをする様をSNSに流す程度には前線指揮官のイメージを誇示している男だ。
「それでは同盟弁務官の職務の一つにお付き合い願いましょうか」
同盟弁務官は構成国の利益代表であり、同時にハイネセンを中心としたいわゆるバーラト首都圏との文化・経済交流の啓発等も行っている。
「御存知でしょうが、我が国は自由惑星同盟国の中でも最も歴史のある古い国の一つです。銀河連邦が健在であり、後の僭主ルドルフが軍内で専横を働いていたころ、心ある銀河連邦軍戦略輸送軍司令官であるポッケー・ナイナーニェン提督が幾つかの企業を味方につけて開拓拠点であるサジタリウス準州に作り上げた小惑星を利用した鉱工業プラントの群です。
そして僭主ルドルフが独裁体制を築き、国内の反対派への粛清を始め、元帥に上ったナイナーニェン提督もその地位が危ぶまれておりました。追い詰められた彼は軍本部に欺瞞情報を撒き、ヴァンフリートへ逃れ、銀河連邦臨時政府を設立し、反攻の機をうかがっておりましたが、一部幕僚の造反により旗艦ごと謀殺され非業の死を遂げました。
元帥の遺志を継ぐ為にこの複数の基地の中で暮らしてきた我々の祖先達は同志達の中で最も階級が高いルーヴェルチュール大尉と共に革命を起こしました。
大尉はナイナーニェン元帥閣下の下で勤務した最高位の指揮官として元帥杖と銀河連邦臨時政府主席の座を継承、そしてこの国はヴァンフリート民主共和国として再生したのです!」
「なるほど?」「”そういう事”になっているという事だ、ウランフ君」
ウランフとグリーンヒルは苦笑いをするが若手の間では妙に感心しているような者達も居る。
一方でこの地域の出身者やヴァンフリート民主共和国に関わった事のある者達は両将軍達と同じように笑いをかみ殺していた。彼らも、そしてヴァンフリート国民の大半も知っている、
ナイナーニェンは銀河連邦軍末期の悪癖を混ぜて凝固されたような輩であったこと、そしてヴァンフリート国民の先祖は貧しい貧困層の中でも遺伝的に強靭な体を持った黒人達で編成された【アスカリ】であることも。
――そして搾取に耐えかねた彼らがルドルフの追及から逃れた軍閥将校団を抹殺してヴァンフリート民主共和国を作り上げたことも。
「ヴァンフリート民主共和国を見た事のない方々には驚きでしょうが、我々は小惑星を利用し幾つかの居住用拠点を中心とした土地で生活を営んでおります。
皆様には首都ステーションである『ネルソン・マンデラ』へご招待いたしましょう――」
ブリッジから見えたのがヴァンフリート国の中枢である。直径100km程の巨大な小惑星を中枢に幾つかの小惑星を連結させたものだ。
第10艦隊旗艦たる盤古と直卒艦隊約1,000隻を迎え入れるには十分な大きさであった。
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【マンデラ】は政治的な中枢であるのと同時に工廠としての機能も持っている。
とはいえ、基本的には防衛艦隊(同盟軍の払い下げ艦であり大部分は星系間航行機能をオミットされている)の整備と解体にしか使われないが。
そして専ら解体に使われるのだ――同盟軍と帝国の戦闘が起きた後は一大事業の始まりであるその名も――
「――戦場清掃、か」
ウランフ中将は暗い目で解体に使われているドックを眺めている。
到着した彼らの目的はアスターテ会戦の事後処理に関する儀礼に参加する事だ。
その儀礼の一環がこのドックの視察である。実際は若手将校達の引率のようなものである。
グリーンヒル大将は事務方たちを連れて式典の打ち合わせをしているし、残りの将校は兵やマスコミが余計な事をしないように見張るのに手いっぱいだ。
わざわざ軍の第三席が訪れたのはヴァンフリート民主共和国はその成り立ち上、銀河連邦臨時政府としての立場を主張しているからだ――とりわけ同盟政府との対立が深まっているときは――それでもおおよそ正規艦隊司令官たる中将がいけば十分、であるのだが。
この星域に第六次イゼルローン攻略に向けた補給基地を作ったのがまずかった、そのせいでヴァンフリートは戦場となり、更に第六次イゼルローン攻略戦は失敗、そしてそこから続くアスターテ会戦まで旗色がやや悪い決着が相次ぎ、軍とヴァンフリート政府の信頼関係構築を重視したトリューニヒト委員長とシトレ、ロボス両元帥の合意により、本来は艦隊司令官が赴くこの行事にグリーンヒル大将が送り込まれたのである――国防委員を送り込めばよいのでは、という話もあったがそれはこの国の特色上、双方に臨まぬ面倒を呼び起こす可能性がある、という暗黙の了解があるのだ。
――閑話休題――
作業員もそれを監督する技術将校達も皆、オリーブ色の肌をしている。彼らは同盟軍と契約を結び戦場の安全が確保されるとやってくる人民防衛軍の掃宙部隊だ――そして少なからぬものは普段は予備役として無重力地域での資源採掘を行っている。
ヴァンフリート民主共和国の主要収入は鉱工業と同盟政府からの委託業務だ。
その中でも特大の利権が――戦場清掃である。宇宙空間における戦場は危険極まりないだけでなく酷く迷惑なものだ。当然である、数万隻単位で会戦を行う戦術要点域ともなれば航路の要衝に他ならない。
そこに機雷やら妨害衛星やらやら誘爆した破片やら――軍事とは人類の悪意のぶつけ合いである以上、ばら撒かれる物はそれに準ずるものであるのは当然のことだ。
であれば迷惑を尻拭いするものが居なければならないのである。とりわけ本土であるとされる地域で戦う防衛戦争であればなおさらに。
「お嫌いですか、提督」
いわゆる【交戦星域】に所属する諸国家は少なからず国防委員会との委託業務に依存した経済になっている。それを批判するハイネセン主義者は多いが一方で純粋に物流、消費、そして内需の少なからぬ面を駐留部隊や正規艦隊の移動、演習、そして有事の補給が担っているのも事実である。
しかしその中でも積極的に参加をし公然とそれを伝統的な軍部の優越に利用しているのはヴァンフリート民主共和国だけである。
それ故に軍部や上流階級の中でも彼らに対する嫌悪をあらわにするものは少なくない。
「必要なのは理解している」
「一時期は随分と嫌われたものですが、我が国のしている事は単なるハイエナの真似事ではありません。機雷や電波妨害に不発弾、不安定な動力炉の処置など危険があるが故に我々が専門としてやっているのです」
船団国家であるアスターテや軍閥連合を抱えていたパーランティア連合国は当然のことながら、その他の構成国でも最低限の航宙戦力は保持している。
しかしながらその中でもヴァンフリートは鉱工業とその輸出入くらいしかまともな収入源はなく、そしてそれに釣り合わない宙間戦力を保持していた。
であるならば彼らを働かせるのが国家の権威を示すにもちょうど良い、と誰かが思いついたのがきっかけとなり【航路警備】はヴァンフリートにおける伝統的な収益事業となった。そしてこれに【小惑星鉱業】のノウハウを組み合わせる事で一大事業となったのが――戦場清掃である。
うまくすればまだ使える部品を売り捌いたり軍の物資の一部を横流ししたり、帝国軍の船であればさらに軍への買い取りなど儲けが見込める。
だがけして気楽なものではない。それだけであれば競合する者はさらにいるだろうが――そうはならぬからこそ、この国は続いてきたのだ。
スクラップの裏で休憩している作業員達が囁き交わしている。
「相も変わらず多いな、そろそろ搬入ペースが落ちてもいい頃なのによ」
「酷い戦いだったらしい、コイツがピーピーなると気が滅入るよ‥‥」
探知機を振りながら相方らしい男が溜息をつく。
「俺も十年この仕事をやってるがこんなに酷いのはめったにねぇよ」
「あぁ、現場の整備部隊も酷かったぜ、機雷で何十隻か沈んだそうだ」
戦場清掃は戦争に準ずる危険がある、
「第三段の清掃部隊でだろ?クソ、信じられねぇ!」
鬱々と話している二人の声に気付いた若い大佐が顔をしかめる、がスピーカーを通しては言った報告はこの2人がただの死を看取る人間でない事を暴きたてる。
『お宝を搬入するぞ!手すきの連中は来い!来い!』
歓声をあげた男達はコーヒーを投げ捨てエアロックから搬入された無事な貨物ブロックへ歓声をあげて駆け寄る。
似たような男どもを将校達が駆けよって統制しようとしているが焼け石に水だ。
だが無理もない、そうした品は数割はヴァンフリートのものになり、その幾らかは報奨金として彼らの手元に回るのが慣習だ。
革命の残滓であり、危険を冒す者達への報酬ではあるが――同盟軍人たちにと手は自分達の亡骸を漁っているようなものだ。
「まるで略奪だ」
と同盟軍の年若い大佐が小声で吐き捨てる。先程まで好意的だった若手将校達は居心地が悪そうにしていた。
ウランフは咳払いをし、イロンシは元気が良いのは良い事ですな、とにたりと笑う。
「機雷の処理などは軍でも行っているから現場の苦労はわかる、感謝もしているとも
彼らも生活があるのはみな分かっている」
えぇまぁ、と若者達がぼそぼそと追従するがその大佐は鼻を鳴らすだけだ。
「だがそれと感情は別、とえぇそれはそうでしょう」
イロンシは肩をすくめておどけて見せた。天性の気楽さ、という意味ではこの男も前線指揮官としての素質を発揮していたのは疑いはない。
貨物ブロックに集る作業員達の歓声は呻き声へと変化した。中から出てきたのは――凍てついた死体らしきものであった。作業員達の端末から警告音が鳴り響く音がドックに響き渡った。
男達は頭を振ると凍った肉塊を漁り、手帳のような端末を拾い上げると機械でスキャニングし、コンテナに放り込んだ。
スキャニングされたデータが届けば国防委員会の統計から行方不明者が一人減り、戦死者が一人増えるのだ。
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視察を終えるとせわしなくグリーンヒル大将の統率よろしきをえて同盟軍は新たな任務にとりかかった彼らの最大の任務――同胞達の遅い帰還を迎えることである。つまりは戦没者達の葬儀である。と言っても亡骸があるわけではない。
彼らが持ち帰るのはコンテナに詰め込まれた軍隊手帳――より正確に言うのなら運よく発信機の機能が生き残った軍隊手帳の残骸達である。
マンデラの第一宇宙港、ムベキの大広場にヴァンフリート人民防衛軍の儀仗兵と同盟軍が並ぶ、同盟軍と並ぶとヴァンフリートの違いはより顕著だ。
同盟軍は良くも悪くも【見栄え】を重視し人種を混ぜて編成をすることが多い。
一方でヴァンフリート人民防衛軍は誰も彼もが浅黒い肌をしており、まるでそれが軍礼装の一部であるかのような奇妙な統一感を醸し出している。
同盟軍の若者達、特に都市出身者にとっては【異国】を感じさせるのに十分である。
『自由の旗、自由の民』が奏でられる。
「総員!勇士達へぇぇぇぇぇぇぇ!!捧げェェェェェェッ!銃!!」
ヴァンフリート人民防衛軍は一糸乱れぬ動きで戦没者への畏敬の念を示す。
「モハメド・カイレ人民元帥閣下の御言葉!」
国家元首にして最高指導者モハメド・カイレ人民元帥がゆっくりとした足取りで演台へと昇る。
彼――というよりも人民元帥という呼称が問題なのだ、彼は国家元首であり銀河連邦元帥を自称している、そこに触れるとなると――文民、ましてや公選制政治家では立場の上下が酷く面倒なのだ。
「我らが指導者!カイレ人民元帥万歳!!」
「人民の庇護者よ!我らの人民元帥万歳!」
兵士と女性達の歓声に答え、元帥は手を挙げる。大量に身に着けている勲章が煌めいた。ヴァンフリート国政府によるものから周辺諸国の物、そして自由惑星同盟から授与された物、と様々だ。
「我が敬愛すべきヴァンフリート民主国の諸君。ここに眠るのは偉大な戦士たちである。我々は彼らに哀悼の意を示し、それと同時に深い敬意を払い、彼らを送り届けなければならない。我々は同志であり勇敢な戦士である。彼らはこの長い戦争の中で共に生まれ、そして彼らは故国と我々同胞を護る為に死んだ。
同盟は多様な人々が暮らす国々により作られた巨大な家である。同じ信念をもった国々が一丸となり、末永く続いていけるかが試される戦いが長きにわたり続いている。
我々はこの戦争のすさまじい戦場となりうる地域に今もなお住まい。二年前にはアスターテの友人たちの助けを経てこの地を襲った戦災に耐え抜いたことは記憶に新しいだろう。
ここに眠る彼らは我々とその後背に住まう人々が生き延びるため命をかけ、そしてこの広大な星の海の中でとこしえの眠りについたのだ!故に我々は彼らを敬意をもって故郷に送り届けなければならない。それは我が国と人民の誰にとっても適切で、彼らとその遺族に対する礼儀にかなった行いであることに異議がある者はいないと確信する」
「しかし、我々はこの戦いをで命を落とした勇士たちと同等にと称えられることはないだろう!生者であれ死者であれ、ここで戦った勇敢な人々こそがその悲しみと勇気を示したのであり、我々が勇気を示し、自ら武器を取らぬ限り、それを語り継ぎ、誇りを持って送り出す事のみを為すからだ。冷笑的な専制主義者は、彼らの死とそれを我々が語り継ぐことを誰も記録にも記憶にもとどめず、踏みにじられるのみだと嘲笑するだろう。しかし彼らの行動を我々が忘れることはけしてない!彼らの示した献身を無為にすることはけしてない!!
生者としての我々の使命は、ここに眠る勇士達が前進させた未完の仕事に捧げることである。我々は彼らを悼むのと同時に悲しみに負けず、残された大きな使命に自らを捧げる事を誓おう。我々は誉れ高き死者が最大限の熱意を捧げた大義を実現する為により一層の熱意を向けなければならない。諸君!このモハメド・カイレと共に彼らへ誓おうではないか!!我々はこの地に住まい、そしてこれからも人民の意志により侵略に対して断固として武器を取り戦い続けるのだと!!彼らの死を無駄にしないと固く決心せよ!
我らの誇りは誰にも奪えない!専制主義者の暴威に対して我々は団結して戦うのだ!!
自由惑星同盟万歳!ヴァンフリート民主国万歳!ヴァンフリート人民よ!勇士たちの魂へ敬礼!」
同盟軍側からも拍手が鳴り響き、人民元帥は笑みを浮かべた。
第二の国歌ともされる革命兵士への葬送曲『同志よ我らの腕の中で』が奏でられ兵士たちが行進を始める。
艦隊儀仗兵がコンテナを整然と囲み行進するヴァンフリート儀仗兵達と死した勇士の形見に捧げ銃する。 第十艦隊司令官のウランフ中将を筆頭とする将校団も敬礼をし、コンテナを引き渡しの確認――武官筆頭と儀礼的なやり取りを行う。
グリーンヒルはそれを少しばかり羨ましそうに見ていた。彼はまだ明日、このセレモニーにも劣らぬ重要な任務があるのだ。
「グリーンヒル総参謀長閣下、確かに勇士達を引き渡しました」
モハメド・カイレ人民元帥が厳粛で重厚な声を発すればドワイト・グリーンヒル大将もそれに劣らぬ静かで柔らかな口調で返答する。
「はい、人民元帥閣下。確かに送り届けさせていただきます、自由惑星同盟軍を代表し、人民元帥閣下とヴァンフリート国民の皆様に厚く御礼申し上げます」
「是非その言葉を明日、お聞かせ願いたいですな」
「えぇ明日はぜひとも」
グリーンヒルとカイレの視線がぶつかる。双方ともに狡知の光が煌めいていた。
明日、ヴァンフリートの両院合同集会でグリーンヒルは同盟軍大将としてスピーチを行うのだ。
軍、国防委員会の使節団代表、統合作戦本部次長筆頭にして艦隊総参謀長――彼が【交戦星域】に向けて発する言葉だ。
同盟全土に網を張るマスメディアが詰めかけている理由はまさに明日、スピーチで同盟軍首脳たるこの男が何を話すかにあるのだ。
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