ドリトル先生と牛女
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第十一幕その十一
「お友達です」
「そうですか」
「はい、ですから」
それでというのです。
「僕は一生独身かと」
「それでもいいのですか」
「大勢のお友達がいてくれるので」
「寂しくないですか」
「僕は家事も出来ませんが」
それでもというのです。
「動物の皆がいてくれるので」
「そうですか、ですが」
「それでもですか」
「一度です」
牛女さんはお酒を飲んでお話している先生に言いました。
「ご自身が女性にもてるとです」
「僕がですか」
「思われては」
こう言うのでした。
「いいかと」
「僕が女性にですか」
「その様に」
「いえ、この外見で運動神経も全くないですから」
「もてないですか」
「お洒落も無縁ですし」
いつものスーツ姿で言います、折り目正しい恰好ですがお洒落とは確かに違います。
「それにです」
「それにですか」
「社交的でもないですから」
だからだというのです。
「女性とはです」
「そうですか、ですが」
牛女さんは先生に言いました。
「人は心ですね」
「はい、そうです」
「外見ではないですね」
「まさにそうです」
「ではです」
それならというのです。
「先生もです」
「女性にもてると」
「そうです」
まさにというのです。
「私はそう思います」
「いえ、本当に僕はです」
「もてないですか」
「僕に最も縁がないものですよ」
「恋愛は」
「そして恋人は」
そうした人はというのです。
「ですから残念ですが」
「独身のままですか」
「一生。それにです」
「それにとは」
「僕は沢山のお友達がいて学問を好きなだけ出来ていますし健康で美味しいものもいつも口にしています」
だからだというのです。
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