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ドリトル先生と牛女

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第十一幕その一

               第十一幕  完治して
 牛女さんの歯の治療はいよいよあと一回になってその日が近付いていました、先生はその中で落ち着いていました。
 その落ち着きを見てお静さんは大学の研究室にいる先生に言いました。
「もうすぐ最後の治療ね」
「うん、そうだね」
「その割に落ち着いているかしら」
「いや、お医者さんが治療や手術で我をなくしたりしたら」
「駄目だっていうのね」
「だからね」
 それでというのです。
「僕はいつも平常心を保つ様にしているけれど」
「診察や治療の前にもなのね」
「手術の前にもね」
「そうなのね」
「そうした時こそね」
 まさにというのです。
「もうね」
「落ち着くべきなのね」
「そう、紅茶を飲んで」
 大好きなそれをというのです。
「そうしてね」
「それでなのね」
「そう、落ち着いて」
「今回も治療するのね」
「逆に僕はいつも落ち着いていて」
「あっ、先生焦ることはね」
 お静さんもここで言いました。
「絶対にないわね」
「それで急ぐ様にとね」
「言われるのね」
「そうなんだよね」
「そうね、先生はそうした人ね」
「だから大丈夫かって言われたこともあるよ」
 そうしたことがあったというのです。
「大変な手術の前にもいつも通りだったから」
「確かに先生を知らない人だとね」
「緊張してなくてだね」
「そう思うこともあるわね」
「子供の頃からこうなんだ」
 先生はというのです。
「何が会っても焦らなくてもね」
「落ち着いているのね」
「こうしてね」
「成程ね、そういえば」
 ここでお静さんはこうも言いました。
「もうあらかた治療を終えてるわね」
「一番大きなものはね」
「後は一回だけね」
「それはもう詰めだから」
 それでというのです。
「その詰めが大事だけれど」
「一番大きなものはなのね」
「終わっているよ」
「そうね、じゃあかえって私がね」
「焦っているっていうんだね」
「牛女さんともお付き合いがあって」
 お静さんはご自身と牛女さんとの関係の子ともお話しました。
「もう何十年にもなるから」
「あの人が六甲に入ってからだね」
「終戦直後からのね」
「もう七十年以上だね」
「思えば長いわ」
「人間の一生位はあるからね」
「妖怪の一生は凄く長いけれど」 
 人間より遥かにです。
「やっぱり七十年以上となるとね」
「やっぱり長いね」
「ええ、それだけ仲良くしていて」
 だからだというのです。
「私も牛女さんの歯のことはね」
「気にしていたんだね」
「そうだったのよ、歯のことは大事でしょ」
「健康にとってね」
「だから虫歯になったって聞いて」
 それでというのです。
「凄くね」
「気にしていたんだ」
「そう、私も歯のことは気にしているし」
 お静さんもというのです。 
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