おっちょこちょいのかよちゃん
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89 広島の女子高生
前書き
《前回》
かよ子はまる子やたまえ、長山らと共に三河口達が修学旅行で言っている広島の話で盛り上がると共に、その広島では異世界の最上位の道具の一つ・剣が奪われた地でもあると言う事を思い出す。一方、赤軍は残りの強力な道具・杖、杯、および護符を手に入れる為にある機械を開発したのだった!!
杉山君のお姉さんの名前って特に設定されていないので、どんな名前にしようか結構迷いましたね・・・。また、42話で僅かに出てきたとある女子高生が本格的に登場し、その話の伏線回収をしたいと思います。
杉山もと子。中学生で杉山さとしの姉である。下校中に友達と別れた所、ある人物と出会った。
「お主、杉山さとしの姉であったな」
「あら、貴方はどこかであったような・・・」
「さよう、大雨の時に日本赤軍及び異世界の敵とお主の弟君やその友人達と闘った森の石松だ」
「ああ、そうだったわね」
「あの時はよく健闘してくれた。今更であるが感謝したい。だが、日本赤軍や私のいる世界の敵は多く、今後はさらに激しい戦いが予想される。お主の弟は高校という学び舎の祭りにおいても赤軍と闘っておった」
「ああ、弟からも聞いているわ」
「それで、姉君であるお主にも協力を願いたい」
「え?」
「お主にはこの道具を授けよう。某が死後に住む事になった世界の道具だ」
石松が授けたのは丸い玉だった。
「何これ、玉?」
「その通り、敵を攻撃する事が可能な玉だ。その玉が緑に光る時は水、炎、土、風などの自然を利用して相手を攻撃する事ができる。そしてその玉が黒く光る時は闇の力、いわば相手に気付かれずに攻撃が可能だ。そして橙色に光る時には己の気合いを込めて相手を触れもせずに攻撃する事ができる。ただし、私利私欲に使わぬように気を付けよ」
「ええ、分かったわ、ありがとう」
「お主も弟気味と同じくの活躍を祈る」
石松はどこかへと消えて行った。
(異世界の玉ね。さとしも大野君とまだ仲直りしてないし、あの二人が不安だしね・・・。私も何とかしておかないと・・・)
もと子はそう思って玉を握りしめ、常に身から放さないのであった。
かよ子は未だに杉山が大野との関わりを避けている事にやがて自分まで寂しく思うようになった。放課後、かよ子は大野、杉山、ブー太郎、そしてまる子が建造した高台にある秘密基地へと向かう。
(これ、折角杉山君達が造ったのに・・・。早く仲直りして欲しいよ・・・)
かよ子はそう思いながらこの基地でのやりとりを思い出す。ここですみ子達隣町の小学校の生徒と出会った。そしてここでお互いの争いを冬田やフローレンス、イマヌエルと共に抑え、共闘する相手になれた。そしてここで2学期の始まりに石松の過去話を聞いた。かよ子は基地に登る。
(もう一回、杉山君とここからの町の風景を見れたらな・・・)
そんな時、別の人物達が登って来た。
「あれ、かよちゃん・・・」
「あ、すみ子ちゃん・・・」
すみ子に山口、川村、ヤス太郎だった。
「お前一人で珍しいでやんすな」
「うん、実はね・・・」
かよ子はこの前の学校の運動会で大野と杉山が喧嘩した事を「義元」の面々に話した。
「そんな事があったのか」
「でも、なんかあったらきっと仲直りする時が来るよ・・・!!」
「うん、きっとそうだよね・・・!!」
かよ子はそう信じたかった。そして、すみ子が話題を変える。
「あ、そうそう、私のお兄ちゃん、修学旅行で広島行ってるの・・・。今度皆にもお土産持って来るわね・・・」
「そうだ、私の家の隣のお兄ちゃんも言ってたな・・・」
「そう言えば同じ高校だったよな」
「うん、あ、そうだ、あそこ、異世界の剣があるって聞いたんだ」
「異世界の剣?」
山口が気になった。
「うん、私の杖と同じ異世界で一番強力な道具なんだ。でも、日本赤軍に奪われちゃったんだって」
「マジか!?これからの戦いも大変になるだろうな」
「うん」
三河口達はこの日は原爆ドームを廻り、被爆経験者の体験談を聞いた後、厳島神社を訪問した後、土産選びをしていた。三河口は叔母とその旦那用、そしてかよ子にあげる物と分けて仕入れた。そして生徒たちは旅館に戻る。
(明日は地元の高校と交流するのか・・・)
女子達の明日はそこの高校の生徒と文通相手にでもなろうかという会話をよそに三河口は己の身体の異変を確かめる。特に違和感はなかった。
(この状態が続けばいいのだが・・・)
そして翌日、その交流する相手の高校へと向かった。体育館にてクラス別に決まったクラスの生徒と挨拶したりするのである。三河口と色々な生徒と挨拶した。その時だった。
(なんだ、この気配は・・・)
よく感じる気配だが、赤軍や異世界の敵が来る時とは違った。近づくと、一人の女子高生が三河口に近づいていた。スケバンのようないでたちでスカートは普段は長くしていたのを先生に咎められて無理矢理短くしたような感じだった。
「ちょい、あんた・・・」
「え?」
(やはりこの感触はこの生徒によるものか・・・)
「あんたに近づくとなんかいつもと違うような胸騒ぎが感じるけんな」
「ああ、俺には凡人と違って恐ろしい能力を持ってるからね」
「それ、うちも同じじゃけんよ」
「そうか、もしかして君、異世界の敵とか日本赤軍とかと闘った事があるのかい?」
「ようわかるのう。実はそうなんよ。変な奴らに会ってそしたらうちがコテンパンにしたんよ。それに夏にうちの近所で火事が起きた時も胸騒ぎがしたんよ。そこの家族は皆死亡、急にそこの家の親族は皆死んでもうたってな」
「なぬ!?となると奴等か。そいつらと戦ったのか!?」
「いんや、敵と戦ったのは別の日の事よ」
「そうか・・・。戦う時は武器を使うのかい?それとも俺みたいに敵と感じたらすぐに相手を攻撃したとか」
「うちは武器を持っとらんけん、敵と思ってぶっ飛ばして追っ払ったんよ」
(つまり相手は異世界の敵で、俺みたいに武器無しで相手を倒したって訳か・・・)
「そうか、俺の学校にも他にも異能の能力を持つ者がいるんだ。連れてくるよ」
三河口は濃藤、北勢田、そして奏子を呼んだ。
「彼らも異世界の敵や赤軍と闘ったんだ。特にこの女子は異世界の羽衣を持っているんだ。奏子ちゃん、この人に見せてあげてもいいかな?」
「いいわよ」
奏子は文化祭の帰りにエレーヌから貰った羽衣を取り出し、その女子高生に見せた。
「中にはこのような異世界から貰った道具で戦う物もいる。俺はたまたま赤軍の奴とかは武器無しでも自分の能力でやっつけられたんだがな・・・」
「ほう、あんたも結構強いんね」
「でも俺はその能力のせいで人から怖がられて家族からも嫌われて、少ね・・・」
「あーっとっとっと!!」
濃藤と北勢田は慌てて三河口の口を抑えた。
「そこまで言わなくていい。イメージ悪くなるからよ」
「すまん、すまん、兎に角、日本赤軍との戦いは激しくなっているという事だ。もし何かあったら今後また会えて協力できるかもしれない。俺は三河口健、宜しく」
「俺は濃藤徳嵩だ」
「俺は北勢田竜汰」
「私は徳林奏子よ」
「うちは鯉沢輝愛。宜しく」
そして交流会は終わった。
翌日、三河口達は清水へと帰る事になった。帰りの新幹線にて三河口は昨日出会った鯉沢輝愛の事を考えていた。彼女もいつの日かは自分達と共に大いなる戦いの渦に関わるであろうと・・・。
日本赤軍の本部。房子は探し求めようと決めた。行方が分からぬ護符のありかを。
(絶対に見つけてみせるわ・・・。そして杖も杯も、我が物とする・・・)
房子は策を練り続けていく。
さきこは異世界の宝玉を妹にバレぬように隠し持つ。
(これは絶対に渡さないわ・・・)
杉山さとしの姉・もと子は玉を見つめる。
(これで私達の未来を守りたい・・・)
かよ子は杉山と大野が仲直りする日を待ちながら三河口の帰りを待っていた。
(広島、どんなところだろう・・・)
そんな時、ドアが鳴った。
「かよ子、隣のお兄ちゃんよ」
「え?はーい!!」
かよ子は玄関へと出た。
「かよちゃん、只今」
「お帰り!」
そして次々と戦いに参加する者が増える中、時はまた進んでいく。
後書き
次回は・・・
「広島の土産」
かよ子は三河口から渡された広島土産をまる子、たまえ、とし子、そして杉山にあげようとする。一方、三河口の従姉で札幌に住むありは異世界のとある人物と出会い、連続企業爆破事件の犯行グループの鎮圧を請われる・・・!!
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