おっちょこちょいのかよちゃん
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86 かよ子の誕生会
前書き
《前回》
大野と杉山男子達は騎馬戦に臨む。活躍する二人だが、大野の騎馬が包囲され、杉山が助けに行くも間に合わず大野は敗れる。結果的には杉山達白組が勝利するも、大野は杉山の助けが遅いと言いがかりをつけ、二人は喧嘩してしまい、4組はこの二人の喧嘩を引きずり、勝利を喜べなかった。その事で傷心したかよ子は帰る途中、三河口と会い、次の日曜にかよ子の誕生会を考えていると告げられるのであった!!
運動の後日も大野と杉山の中は険悪な状態が続いていた。
「はあ、あの二人、まだ仲直りしないブー・・・」
二人の子分であるブー太郎もどうすればいいかわからず途方に暮れていた。
「長山君も隣の家のお兄ちゃんもほっといて自然に仲直りするのを待つしかないって言ってたけど、やっぱり駄目だね」
かよ子も同様に途方に暮れていた。
「アタシもたまちゃんと喧嘩した事あるけどそれでも仲直り出来たのにねえ~」
まる子も呆れるように言う。
「でも、二人共、何ていうのかな・・・。プライド高いっていうのか・・・。だからお互い素直になれないんじゃ・・・」
たまえが解説する。
「そうかもしれないね・・・。あの・・・」
かよ子は思い切って言ってみた。
「今度の日曜、私の誕生会やるけど、来ない?」
「あ、そっかあ~、もうすぐかよちゃんの誕生日だもんねえ~」
「いいね、行くよ」
「私も!」
たまえとまる子は乗り気だった。
「オイラも言っていいかブー?」
ブー太郎は男子の自分も行っていいか迷った為、確認してみる。
「もちろんいいよ。ブー太郎にも色々お世話になってるし」
かよ子は躊躇いもせず承諾した。何しろブー太郎も組織「次郎長」の構成員として、異世界の敵や日本赤軍との戦いでかよ子と共闘した縁もある。
「ありがとうブー!」
「よかったねえ~、ブー太郎」
「あ、そうだ」
たまえがある事を思いつく。
「折角だから杉山君も誘ってみたら?」
「え?す、杉山君も?来てくれるかな・・・」
かよ子は顔を赤くした。
「オイラも誘ってやるブー」
ブー太郎が杉山の所へ行く。
「あの、杉山君」
「ああ、ブー太郎、どうかしたか?」
「今度の日曜、山田かよ子の誕生会があるんだけど杉山君も行かないかブー?」
「俺がかあ?」
杉山が驚いた。
「まあ、行ってみるか。特になんも用ねえし」
「よかったブー。山田もきっと喜ぶブー」
(きっとじゃねえ、絶対あいつは喜ぶだろうな・・・)
そそしてブー太郎はかよ子達の所へ戻る。
「杉山君も行くって言ってくれたブー」
「ごめんね、ありがとう、ブー太郎」
「気にするなブー。こんなのお安い御用だブー」
かよ子は家で母にまる子、たまえ、ブー太郎、杉山が誕生会に参加する事を伝えた。
「楽しい誕生会になりそうね」
「うん!」
三河口は濃藤と喋っていた。
「んで、俺と北勢田と奏子ちゃんはかよちゃんとこの小学校に警備に行ったけど特に何もなかったよ」
「まじか。こっちも何も異常がなかったよ」
「ああ、だが、奴らはいつ攻めてくるのか。それとも・・・」
「それとも何だよ?」
濃藤が質問する。
「名古屋に住んでる従姉の護符を狙いに名古屋を襲うか・・・」
「変な事言わんでくれよ」
「失礼、失礼」
そして三河口は今度の日曜の事を考える。
(はて、かよちゃんの誕生会か・・・)
杉山は迷っていた。
(山田の誕生会か・・・。あいつには何だったら喜ぶんだろう・・・?)
杉山は女子へのプレゼントが何が適切か知る由もなかった。そこで姉に相談する。
「なあ、姉ちゃん」
「あら、さとし」
「今度の日曜、山田かよ子って女子の誕生会に招待されたんだけど、女子へのプレゼントって何を渡したらいいか俺わかんないんだ。姉ちゃんだったら何だったら嬉しいんだ?」
「あら、そうね、リボンとかカチューシャとかのアクセサリーとか、女の子向けの文房具とかがいいかもしれないわね。一緒に探しに行ってみる?」
「ああ、わりいな、姉ちゃん、ありがとう!」
この時、杉山の姉はこの弟は案外女子に優しいんだなと感じた。
「ところでアンタ、運動会の時、大野君と喧嘩したっていうけど、ちゃんと仲直りしなさいよ」
「う・・・、ほっといてくれよ・・・」
杉山は大野の名を出されると気を悪くした。
(全く、大丈夫かしら・・・)
姉は弟を
かよ子の誕生会当日。山田家の居間は父と隣の家のおじさん(奈美子の主人の利治)、そして三河口が行った。誕生会の準備に取り掛かっていた。かよ子の母が予約していたという誕生日ケーキを隣のおばさんと共にケーキ屋から持ち帰って来た。そして、寿司やフライドチキンなどの料理、準備は完了した。
「後は皆が来るのを待つだけね」
「うん」
そしてまる子とたまえ、ブー太郎、そして杉山が現れた。
「かよちゃん、誕生日おめでとう!!」
「ありがとう、来てくれて!!」
かよ子は歓迎した。そして皆で歌を歌い、食事となった。
「う~ん、どれも美味しいねえ~」
まる子は食事の感想を言う。
「それじゃ、プレゼントをあげないとね」
「俺から行こう」
まずは三河口が出てきた。
「お、お兄ちゃん、やるねえ~」
三河口が箱を渡す。それは猫の頭がついた長い筆入れのような物だった。
「猫の頭の所が蓋になってるケースだよ。筆入れにしてもいいし、あの杖をしまうのに使ってもなんでもOKだよ」
「ありがとう、お兄ちゃん!」
続いてたまえがプレゼントを贈る。
「これ、私から」
たまえのは10色のボールペンだった。
「たまちゃん、ありがとう」
「これ、アタシから。アタシお金なくてさあ~、このくらいしかできなかったよ」
まる子からのプレゼントはまる子が自分で描いた絵だった。
「かよちゃん、不思議な杖持ってるから魔法使いになって箒で空飛んでるかよちゃん描いて見たんだ~」
「わあ、ありがとう!私も魔法使いみたいにあの赤軍とか異世界の敵をやっつけられたらいいな。ありがとう!」
まる子は照れた。
「オイラはこれだブー」
ブー太郎からは兎の形をしたポシェットだった。
「おお、ブー太郎、珍しく豚じゃないねえ~」
「そりゃ、トミ子の知恵を借りたんだブー」
「ありがとう、ブー太郎」
「へえ~」
「あとは杉山君だね」
「あ、ああ・・・」
そして杉山が出したのは、なんと赤・青・黄色の三種類のリボン型の髪留め。
「おお、杉山君もいいの選んだねえ~」
「ああ、女子の誕生日プレゼントって何あげたら嬉しいかわかんねえから姉ちゃんに聞いたら手伝ってくれた。そしたらアクセサリーとかぬいぐるみとかがいいんじゃないかって・・・」
「うん、ありがとう、杉山君!」
かよ子は嬉しくてたまらなかった。
「この中じゃ杉山君のプレゼントが一番最高のプレゼントだブー!」
「うん、そうだね!」
「杉山君も、君のお姉さんもなかなかいいセンスしてるじゃないか」
「ああ・・・」
杉山は照れた。そしてその後は皆でゲームをやったりしてかよ子にとって最高の誕生会となったのであった。
そして、時は進んで行く。
後書き
次回は・・・
「石松の改革作戦」
赤軍の長・重信房子は戦争主義の世界の人間に次なる計画を打ち明ける。そして石松はズボラで姉と喧嘩ばかりするまる子を不安に思い、ある事を実行する・・・。
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