戦国異伝供書
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第百十一話 政宗の初陣その八
「戦ってくれるか」
「それでは」
「そして政もじゃ」
これもというのだ。
「これからはお主は主となってじゃ」
「そうしてですか」
「進めてもらうか」
「そちらもですな」
「うむ」
まさにというのだ。
「そうしてもらってな」
「そのうえで、ですな」
「そちらでも確かな姿を見せるのじゃ」
「伊達家の次の主として」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「よいな」
「それでは」
「宜しく頼む、しかしな」
「叔父上ですな」
「お主が留守の間もじゃ」
出陣している間もというのだ。
「忍の者をな」
「領地に入れてきていましたか」
「そして何かと探っておった」
「そうでしたか」
「探って知ることはな」
「まさに何かをする第一歩ですな」
「うむ、だからな」
それでというのだ。
「最上殿はな」
「当家に対してですか」
「また隙があればな」
その時はというのだ。
「その時はな」
「仕掛けてこられますな」
「そうしてこられるであろう」
最上義光、彼はというのだ。
「しかもな」
「母上もですか」
「嫁いだ姫が実家に何かと知ったことを送るのは当然のこと」
戦国の常であるというのだ。
「人質であると共にな」
「実家にとってはこれ以上はない忍の者ですな」
「話を持って来るという意味ではな」
その見方によればというのだ。
「そうなる」
「だからですな」
「奥もじゃ」
輝宗は強い声で話した。
「最上家に話を送っておる」
「左様ですな、しかし」
「送る話をか」
「あえてこちらに都合のよい話をです」
政宗は父に不敵な笑みを浮かべて話した、隻眼の光が強くなりかつ覇気がその身体全体を覆っていた。
「流してもらいましょう」
「奥にはか」
「そして最上家の忍の者達にも」
彼等にもというのだ。
「そうしてもらいましょう」
「こちらにとって都合のいい話をか」
「そうです、そして」
「最上家を逆にか」
「策に嵌めましょう」
「そう考えておるか」
「はい、それは最上家だけでなく」
政宗はさらに話した。
「他の家にもです」
「していくか」
「はい、そして」
そのうえでというのだ。
「惑わしましょう、また当家も多くの家と縁組をしていますので」
「その相手の家のことをか」
「母上がそうされている様に」
最上家がそうしている様にというのだ。
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