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ヘタリア大帝国

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TURN46 王女アルビルダその十

「それまででしょう」
「そうだろうな。あの国はな」
「ガメリカや中帝国以上に危険です」
 秋山はさらに言う。
「何時後ろから来るかわかりません」
「だから来る前にな」
「太平洋のことはですね」
「終わらせておきたい」
 タイムリミットもあった。ソビエト参戦までだ。
「出来るだけ早くな」
「焦らないまでもですね」
「そういうことだ。そしてだ」
「インド洋の戦いもこれで」
「あらかた終わる」
 アラビア解放でおおよそだというのだ。
「後はセーシェルとマダガスカルだが」
「オフランスとも一度干戈を交えるか」
「そうすることになりますね」
「ああ、だが後はだ」
 アラビア解放の後はどうかというのだ。
 そうした話をしてそれからこうも言う東郷だった。
「主力を太平洋に移動させよう」
「その際の防衛拠点は何処にされますか」
「インドカレーでいいだろう」
 そこだというのだ。
「あそこには修理工場もあるからな。その都度アラビアやマダガスカルに進出すればいい」
「おうして迎撃すればですね」
「それでいい。もっともエイリスは暫くは派手には動けない」
 ドクツとの戦いに主力の殆どを向けている。太平洋に対しては積極的な攻勢を仕掛ける余裕がないのだ。
「だからこそだ」
「インド洋方面にはそれ程戦力は置かないですか」
「そうだな。元老に」
 伊藤である。まず名前が出たのは。
「柴神様に山本の爺さんに」
「三人の方ですか」
「それと韓国さんに祖国さんの妹さんだな」
「最後は宇垣閣下ですか」
「そういうところだろうな」
 今ハワイ方面に備えている六人だった。
「それでいいだろう。どうも爺さんの身体はあちこちがたがきている」
 東郷はそのことを直感的に察していた。
「攻めるのに参加してもらうとな」
「本当に危ういですか」
「あの爺さんはどう思ってるか知らないが」
 統合はこう前置きしてから話す。
「天寿を全うしてもらいたい」
「出来ればですか」
「そうじゃないなら最高の死に舞台を用意したい」
「しかしそれは今ではない」
「そう思うからな。今はな」
 山本には守りに徹してもらうというのだ。
「ただ。どうもな」
「どうもとは」
「あの娘がいるな。爺さんの看護婦さんの」
「古賀ひとみさんですか」
「どうもあの娘は提督の資質がある」
 東郷の目は確かだ。人の資質はすぐに見抜くのだ。
 その彼がだ。ひとみのことをこう評したのである。
「スカウトしてみるか」
「しかしそうなりますと」
「爺さんの目付け役がいなくなるか」
「はい、その危険がありますが」
「その為の妹さんでもある」
 日本妹のことだ。
「あの人ならひとみさん位に注意してくれるからな」
「あの方はしっかりしていますね」
 日本以上にだ。妹は兄よりずっとしっかりしているのが国家の特色の一つになっている。そうなっているのだ。
「だからですか」
「そう考えているがどうだ」
「そうですね。妹さんが一緒ですと」
 秋山も日本妹のことを考えて述べる。
「いいですね」
「参謀総長もそう思うな。それではだ」
「古賀さんも提督に」
「誘ってみよう、ハワイ攻略に取り掛かる前にな」
「それでは」
 そうした話もしてだった。東郷達はエイリスが東方に持っている最後の植民地アラビアに入った。そこで遂にエイリス東洋艦隊の最後の戦いがはじまろうとしていた。


TURN46   完


                              2012・8・14 
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