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DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)

作者:あちゃ
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これが私のスタートライン

「ポピーお姉様ー!」
私はお姉様の姿を見つけるや、勢い良くあの巨乳へダイブする。
「マリー!!会いたかったわぁ~!アナタに会えなくて寂しさのあまり、夜眠れなかったのぉ~…その所為で昼寝三昧よ!」
「まぁお姉様、奇遇ですぅ!でも私の方が症状が酷く、昼寝も出来ませんでしたので、夜寝てましたぁ!」
「こら、マリー!その女に話を合わせてはいけません。トラブルメーカーが伝染(うつ)る!」
お兄様は私を抱き上げ、ポピーお姉様から離れて行く。
伝染(うつ)るか!!
それよりアンタの変態シスコンオーラが伝染(うつ)る方が嫌だよ!

「お義母様……お呼び立てして申し訳ございません…リュカが………リュカが!!」
お兄様に抱かれた状態のまま、例の本が置いてある執務室へと私達は入って行く。
マーサお祖母様の姿を見るなり、泣きそうな表情でお祖母様に縋り付くお母様…
「ビアンカさん、落ち着いて…あの子の事ですから、きっと無事ですわ。そして必ずこちらの世界へ連れ戻しますよ」
お祖母様はお母様の頭を抱き締め、優しく撫で諭す…
お母様は毎日、不安と心配で押し潰されそうだったのだ!
変な表現だが、お母様はきっとお父様に再度プロポーズされたら、間髪を入れずにOKするだろう…それくらいお父様だけを愛しているのだ。
………あの男の何処にそんな魅力が?

マーサお祖母様は執務机に乗っている例の本を捲り、色々調べ始めた。
今朝、ストーリーを読んだときは、ロマリアの北にあるカザーブで1晩過ごしたところ…
あのアホは、新たに仲間になった巨乳女商人に手を出して、他の仲間に見つかった状況だった。
何であの男はもてるんだ?
アイツあっちの世界でやりたい放題じゃん!
例の本は、勇者アルル様をメインにした描写の為、お父様の事を細かくは描かないのだけれども、それでもある意味スペクタクルな状況なのが読み取れる。
もし私が夫の浮気…しかも半端じゃない浮気を知ったら、離婚を即決するだろう…
しかも今回は、例の本に閉じこめられてるので、本を燃やしてしまうだろう!
だがお母様の思考は随分違う。
お母様は、早くお父様の心を取り戻そうと躍起になってるのだ!
他の女には負けない…私が誰より1番的な感じ。
もう語尾に『だっちゃ』って付けるべきだと思う。
そして何とかデイン系を憶えてもらう………うん、完璧だ!
トラ縞のビキニをプレゼントしようかしら…

そんな妄想をしてる間に、お祖母様とポピーお姉様が物語を読み終えた様で、それぞれ違う反応を見せる。
お祖母様は頭を抱え…
「あの子は………なんて事を………トラブルを生まない様に生きられないのかしら!?」
あはははは………うける~!
お姉様は凄く嬉しそうに…
「やっぱりお父さんは流石ね!如何に環境が変わっても、自身を見失わないなんて…並の人じゃ出来ないわよ!」
何故だろう…言葉的には褒めてるのに、全然誉れ感が見あたらない…
これがお父様クオリティーなのかしら?



マーサお祖母様がお父様の救出に着手してから数週間が経過した…
1度ゲートが開き、魔界の町『ジャハンナ』に通じてしまったが、ゲートを直ぐ閉じ事なきを得た。
やはり別世界というのは勝手が違うらしく、お祖母様も困難を極めている。
お祖母様は優しい人なので、何だかんだ言っても息子が心配な様だ…
トイレと数日置きの風呂以外は、この部屋から出る事さえしていないで研究を続けている。

見かねたお兄様が思わず声をかける…
「マーサ様……どうかご無理をなさらないで下さい。焦る必要はございません。過去にこの国の国王不在が続いた年月を思えば、慌てる必要など何処にも無いのです…」
私もそう思う…
ヤツが居なくても国政は何とかなってるし、精神的トラブルが少なくて逆に良いんじゃないかと思うくらいだ。
ただ…お母様を始め、愛人連中や大半のメイドさん達が気落ちしており、泣きながら仕事をしているのだ…
まぁ、お母様が泣いてしまったのは最初だけで、今は気丈に振る舞っているけど…
「そうですよ、お義母様…物語を読む限り、リュカは無事の様ですし…」
「ティーミー…ビアンカさん…ありがとう。………でもね…物語を読むと、一刻も早くこちらの世界へ戻さねば…と思ってしまうのよ!」

お祖母様の言葉に皆が例の本に視線を向ける。
「……あの子…あの本の中で、好き放題やってるじゃない…私の息子があちらの世界に迷惑をかけていると思うと、ゆっくりなんて出来ませんよ…!」
ぷふー!!
意外とお祖母様ってお茶目さんじゃん!
あんなアホの事など、そんなに心配じゃ無いってさ!

「あぁ…そう言う意味ですか…父さんの事が心配って事じゃなく…あぁ…そう言う…」
「ちょっと、誤解しないでよティミー!私だってリュカの事は心配です。でも、それ以上に向こうの世界の女性達が心配なんです!」
「うふふふ…父さんの事だから、私達に弟妹が増えてるかもよ…」
あはははは、あり得るー!
「ポピー…冗談でも止めてくれ!その可能性は非常に高いんだから…」
ポピーお姉様楽しそう!
何だか私も楽しくなっちゃうわ!
「まぁ!?じゃぁ私に弟か妹が出来るんですのね!!とても楽しみですぅ!」
弟だったら、食べ頃になったらペロンといっちゃお!

「はぁ…居たら居たで面倒事を起こすのに、居なくなるともっと厄介な男よね…何で私は惚れちゃったんだろ…?」
お母様ってダメ男好きなのかしら?
「お母さん…いっその事、この機会にお父さんと別れちゃえば!お母さんの美貌なら、3人の子持ちバツイチでも引く手数多だと思うわよ」
「リュカ以外の男に、全く興味を持てないから困ってるんじゃないの!貴女だってコリンズ君以外の男性なんて眼中に無いでしょう!?」
「そんな事無いわよ…お父さんに口説かれたら、喜んで股を開くわよ」
う~ん…見てくれだけは良いからねぇ…私も股を開いちゃうかも!?
「この馬鹿女!マリーの前で下品な話をするな!」
ポピーお姉様を睨みながら、私を抱き上げるお兄様…
筋金入りのシスコンらしく、私を自分好みにしたいらしい…
土下座されてもお前には股を開いてやらん!
「…と…ともかく…一息入れましょう!お義母さま、お茶でも飲んでリフレッシュした方が良いですよ」
「ふぅ…そうですね…少し息抜きしまようか…」
う~ん…何時になったらドラクエ3の世界へ行けるのやら…


私達は執務室を片付け、メイドさんが用意してくれた紅茶とクッキーを食しながら、雑談に花を咲かせている。
其処へ無口モンスターのサーラが入って来て、お祖母様に何かを目で伝えている。
「私にお客様ですか?」
何故かお父様とお祖母様にはサーラの声が聞こえるらしく、会話が成立しているのだ。
「まぁ…リュリュが来たのですか!?一人で?」
「え、リュリュが!?」
リュリュ様とは、お父様とサンタローズに住むシスター・フレア様との間に生まれた女性で、私の腹違いのお姉様です。
お父様にそっくりな美女で、母親似の超巨乳!
そしてシスコンお兄様の片思いの女性です。
リュリュお姉様の名前を聞いただけで、ソワソワ浮つくお兄様が情けなくて…
「………」
「そう!?どうやって来たのかしら?まぁいいわ…お通しして下さい」
あ!忘れてた…そう言えばリュリュお姉様も、サーラの声が聞こえるんだった…


「マーサお祖母様、お邪魔します。…何か大変事になってる様ですね…」
「ふふふ…いらっしゃいリュリュ。本当、貴女のお父さんは厄介事を巻き起こすわね」
お兄様に落ち着きが無くて鬱陶しい…非常に苛つく!
「いったいどうやって此処まで来たのですか?…確かルラフェンという町に、特殊な魔法を憶えに行っていたと思ったのですが?」
「はい、ルラフェンで新たな魔法を憶えました。そしてサンタローズに帰ったら、サンチョさんがこの状況を教えてくれたんです…それなので早速、新たな魔法を使ってグランバニアまで来たんです!」
「え!?その魔法って…もしかしてルーラ!?」
良いなぁ…私もルーラを憶えたい!
「はい!私、ルーラを憶えました!!これで何時でもグランバニアに遊びに来れます!」
「私は生まれつきルーラ適正があったから自然と憶える事が出来たけど、普通の人は適正なんて無いから、凄い大変な思いをしないとルーラって憶えられないのよね!…前にお父さんから聞いた事があるわ!どんな事をしたの?」

「うん!お父さんが言ってたわ…『ものっそい大変だよ』って…本当に大変だった!もう2度とあんな思いはしたくない!思い出したく無いから聞かないで…」
リュリュお姉様が口元を押さえ、顔を顰める…
何だ!?ベネット爺さんのを、くわえさせられたか!?
いや…そんな事はリュリュお姉様の親衛隊モンスターズが許さないだろう…
いったい何があったのだろう?

「でも凄いな…ルーラを憶えるなんて!さすがリュリュだね!」
お兄様がリュリュお姉様をベタ褒めする…
本当にキモいんですけど!
「でもね…お父さんやポピーちゃんの様に、大勢を移動させる事は出来ないの…効果があるのは私一人にだけなの…才能無いのかなぁ…」
「そ、そんな事無いよ!リュリュは凄いよ!才能もあるし、努力するから凄いと思うよ!以前マーリンから聞いたんだ…ルーラは本来、使用者しか移転できない魔法だって!つまり、大勢を移転させる奴の方が異常なんだよ!リュリュは正常なんだよ!だから凄いんだよ!」
お兄様は必死にリュリュを慰める。
もう見てて哀れに思えてくる…
リュリュお姉様も、勿体ぶった態度してないで『キモい』って一言言ってやれば良いのに。

「ちょっと!その異常な奴って、アンタの父と双子の妹なんだけど!」
「ほら、異常だ!」
怒るポピーお姉様を無視して、リュリュお姉様だけを見つめ続けるお兄様…
お前こそ異常だろうが!
「あ、ありがとう…ティミー君…」
リュリュお姉様ですら引き気味じゃん。
「それでね、マーサお祖母様!実はもう一つ古代の魔法を教わって来たの…上手くすれば、その魔法が今回の事件で役に立つかも!」
「本当ですかリュリュ!?そ、それは何という魔法ですか!?」

「はい。その魔法は『パ・ル・プ・ン・テ』と言います!魔法を教えてくれたベネットさんが言うには、『何が起こるか分からない魔法』と言ってました…そして『太古の文献には、異世界から恐ろしい物を呼び寄せる事もあったらしい』とも言ってました!これって上手くすれば、お父さんを呼び戻せるかもしれないですよね!?」
何と!?こんな所でパルプンテ!?
「それは本当ですか!?では早速試してみましょう!仮にあの子を呼び戻せなくても、異世界への干渉を起こす事が出来るのなら、今後魔法を改造する事で、状況を打破できるかもしれません!」
チャンス到来か!?
別世界へのゲートが開いた時の為、ついうっかり吸い込まれる準備をせねば!


お祖母様は執務机に例の本を開いて置き準備を整える。
周囲には皆が事の次第を見つめている。
私はお兄様の隣でチャンスを伺っている…
皆が緊張した面持ちで見つめる中、リュリュお姉様が魔法を唱えた!
「パルプンテ」
………………………………………

「…何も…起きませんね?」
不発か!?そう思った次の瞬間!
例の本の上に黒い穴が広がり、近くにあった書類などを吸い込みだした!
「あ!星降る腕輪が!!」
ペーパーウェイト代わりの星降る腕輪が吸い込まれ、取り戻そうとしたお兄様が吸い込まれる!
このチャンスを逃すわけにはいかない!
「ちょ、ティミー!!」
「お兄様ー!!」

私はお母様と共に、お兄様を助けるフリをして一緒に本の中へと吸い込まれた!
やっと私のドラクエライフが始まる!
あぁ…憧れのドラゴンクエスト3!
こんなヲタ女冥利に尽きる事件は他にないわ!
隅から隅までエンジョイさせて頂きます!



 
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