DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)
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父を訪ねて数ページ
前書き
やっと本編とリンクします。
そしてマリーの不愉快度が飛躍的にアップ致しますのでご注意ください。(笑)
ポピーお姉様が嫁いでから半年…
皆に溺愛されながら過ごしては居るのだが、やはり刺激が足りず面白味に欠ける日々だ。
折角ドラクエの世界へ転生したのに、冒険の旅は終わっており、刺激的な出来事が枯渇している。
私は日課のお父様へのブリッ子活動の為、お父様の執務室へと赴いた。
部屋に入ろうとした途端、中からお兄様の叫び声が聞こえてくる…
「と、父さんが本に吸い込まれた!!」
はぁ?何言ってんだ、あの坊やは!?
オ○ニーのやりすぎで頭がイカレたか?
私は事態を詳しく知ろうと思い、ドアに耳を当て中の様子を伺う………が、急にドアが開き私は勢い良く吹き飛ばされた。
私は強烈な痛みに、声も出せず蹲る。
「オ、オジロン閣下を…オジロン大臣閣下をお呼びして下さい!」
ドアを勢い良く開けたのは勿論お兄様…かなり焦っているらしく、ドアの影に隠れてしまった私には気付いていない様子です。
暫くしてオジロン様がやって来ました。
オジロン様はこの国の国務大臣です。
しかも先々代のパパス王の弟…つまりお父様の叔父さんなんですね!
オジロン様は執務室へ入ると、お兄様から状況を説明されてました…私も盗み聞きさせてもらいました。
そしてビックニュースをゲット!
なんとお父様が本に吸い込まれたそうです!……あれ、本当だ!?これ以外言いようが無い…イカレた訳では無いのですね。
オジロン様とお兄様との間で、今後の方針が決まったようです。
「この事は内密にせねば…」
「そうですね…特に母さんにはギリギリまで隠しておきましょう。知ったら一気に不機嫌になりますから…」
ふふふのふっ………
壁に耳あり、障子に目あり…私に聞かれてるとは知らずに、企んでいますのねぇ…
先程、吹き飛ばされた仕返しに、真っ先にお母様へチクらせて頂きますわ!
・
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(バン!!)
乱暴にドアを叩き開け、お母様が入室する。
「リュカが本に吸い込まれたというのは本当!?」
私はしくじったかもしれない…不機嫌なお母様の声を聞き、少し反省する…
「情報が早いですね、母さん。誰が言い触らしたんですか?」
「マリーよ…」
ヤベッ!お兄様に怒られるかな?
少しでも怒りを中和させる為に、愛らしく接しよう!
私はお母様の後ろから、ヒョコっと顔を出しお兄様を可愛らしく見つめる。
「はぁ…マリーは誰から聞いたの?」
チョロいわね、この男。
コイツ何時か変な女に騙されるわよ!
「うん、あのね…私、お父様にご本を読んでもらおうと思って、この部屋の前に居たの。そうしたらお兄様が大声で叫んでいるのが聞こえてきたのよ。だからお兄様が原因よ」
そうよ!お前が原因よ!
「………母さんもマリーも他の人には言ってないですか?」
「はい!お兄様!」
「言う訳ないでしょ。それより私の事は陛下と呼びなさい!貴方、一介の兵士なのよ!貴方が身分隠して兵士になるって言ったんでしょ!自分でバラしてどうすんのよ!」
何か、ちょ~不機嫌ね…お母様…
「す、済みません。王妃陛下」
「お兄様怒られちゃったね。元気出して」
こうやって男は女に騙されるのね…
「マリーもお兄様と呼んではダメよ!コイツはただの下っ端兵士よ!」
ぷふー!!王子なのに下っ端だって!
「はいお母様。よろしくね、下っ端さん」
「さて、そんな事より…状況を詳しく説明して下さい」
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・
「……と言う訳で、気付いた時には国王陛下は本に吸い込まれてました…」
何と!?
流石はファンタジー世界!
お兄様きっと、あの本を燃やしたいんだろうな…
「その本には、その後誰も手を付けて無いのね?」
「はい。吸い込まれたく無いですから…」
不機嫌お母様とビクビクお兄様で、話は進んで行く…
「あ!ちょっと…母さ……陛下!不用意に触っては危険です!」
「触らなきゃ調べられないでしょ!雁首並べて唸ってても、リュカは戻って来ないのよ!」
ペラペラとページを捲り本を調べるお母様…
「何これ!?殆ど白紙じゃない!」
「はい。国王陛下もその事に憤慨しておりました」
「で、リュカは勝手にタイトルを書き換えたのね…」
私もお母様の横から本を眺めてみる…其処にはお父様が書いた『そして現実へ…』の文字が…
お父様って意外と字が綺麗なんですよ。
字と見た目は本当に素敵です!
お母様は何度もタイトルと本文を読み繰り返す…
何か気になる事でも?
「母さん…失礼…王妃陛下。国王陛下はタイトルの続きページには何も書かれて無いと、憤慨してました…ですが、今この本には内容が書かれてます。中途半端ではありますが…」
「良い所に気付いたわね。さっきから見てるけど、少しずつ文字が増えているわ…この本!」
「え!?それって…」
「そうよ。今まさに物語が進行中なのよ。そして進行させているのが…リュカ…」
それは驚愕の事実である!
お父様は本に吸い込まれ、その本の中で物語を紡ぎ出している…
「読んでご覧なさい。登場した人物の描写を…」
「確かに…この口調もあの人らしい…」
このチャラさ…間違いなく、あのアホだ!
「でも…それなら心配する必要は無いのでは?この物語が完結すれば、戻って来ると思いますが…」
「貴方はこの物語の結末を知ってるの?」
えっと…当初のタイトルは『そして伝説へ…』だったわね………それってもしかしてドラクエ3!?
私は再度本文を読み返す…
其処には確かに『アリアハン』の文字が!?
間違いないわ!この世界ってドラクエ3よ!
いいなぁ~……私もラーミアに乗りた~い!!
「では救出しないと!」
オジロン様が声を震わせ叫ぶ!
「えぇ、そうね。異世界へ行く方法を探さないと…ティミー、貴方はこれから特使としてラインハットへ行きなさい」
「特使…?ラインハットへ?」
「どうせ国王不在は知れ渡るわ!だから正式に世界中へ通達します。こうしておけばグランバニアへ侵略しようとしている国に対しての、対抗措置を取りやすいでしょ」
「しかし…可能な限り秘匿した方が…」
そんなんだから国王代理にしかなれないのよ!
国王不在を隠し通せるわけ無いじゃない…
「オジロンの心配も分かるけど、何時知れ渡るか分からないと動きづらいのよ!バレないようにと制約がつきまとうから!」
「なるほど…」
「で、王妃陛下は私に何をさせたいのですか?」
「まずラインハットに知らせて軍事、政治両面で支援をしてもらいます。ラインハット以外に此処まで期待できる国はありません。それからポピーを連れてきて下さい」
まぁ!ポピーお姉様に会えるのね!
「………ポピーを~…混乱に拍車がかかりませんか?」
「貴方がルーラを使えればあの娘には頼りません!」
「………なるほど…ルーラ…ですか…」
「ポピーに接触したら、直ぐさまマーサ様をグランバニアにお連れして下さい。異世界への門を開くのにマーサ様のお力が必要になるかもしれません…」
マーサお祖母様を…と言う事は、ゲートを開く能力を当てにするわけね…
上手くいけば、私もあちらの世界へ行けるかも…
目が離せませんわ!可能な限り本の側にいて、ゲートが開いたら吸い込まれたフリをしましょう!私もこれで転生者らしく、ドラクエの世界を満喫出来ます。
「それと!…もう一つ重要な事があります」
「そ、それは?」
「この本の管理です!」
「………何故…それが重要なんですか?」
バカなのこのオッサン!?
あの男を葬れる絶好のチャンスじゃない!
その本を燃やすだけで、あの男はこの世界から消え去るのよ…
直ぐ気付きなさいよ!
「この本が燃やされたらリュカがどうなるのか分からないわ…」
「………なるほど…では、どのように管理しますか?」
「この部屋ごと管理します。私とスノウとピエールで指揮します。配下はモンスターのみで構成します。私達3人の許可が無い限り、オジロン…貴方でもこの部屋への入室は禁止します!よろしいですね!?」
うふふふふ………
もうワクワクが止まりませんね。
今の内から準備をしておかねば…
そうね…以前宝庫物庫で見つけた『エルフのお守り』と『命の石』、それと『賢者の石』を勝手に持ち出しちゃいましょう!
その3つがあれば、私は無事でしょうから…
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