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魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
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夏休み編
  小笠原での休暇

九校戦が終わった今は学生で言う夏休みがあるけど、俺らにとっては学生気分が休みで副業みたいな感じだ。今は本業の蒼い翼CEO兼本社社長と言う身分だからか、蒼太も沙紀も秘書として働いていた。深雪は社長令嬢ではあるがな。

「ふむ、九校戦が終わった後は総動員で入れ替えがあったようだな」

「はい社長。今日もお仕事お疲れ様です」

「仕事をした後のお茶は旨い、そういえば今年は沖縄ではなく小笠原諸島だったか?会場は」

「例年通りだと沖縄でありますが、しばらくは近い場所がいいと風間少佐らからの助言を基にしております」

「まあ俺が魔法科高校の学生でもあるが、蒼い翼本社社長兼CEOでもあるからな。何かあった時に近場がいいと判断したんだろうよ」

毎年行われている蒼い翼主催のパーティーには関係者らが集まり、毎年あった出来事を笑いながら話す事もある。特に今年は魔法科高校に関する事もあり、招待客の中には軍関連や警察関連と十師族関連もな。

場所は沖縄が例年だったのだが、今年から小笠原諸島に別荘やホテルを持ち合わせている。招待状は今年から多く発行しており、差出人が零達也となっているから招待状を持っている者の大半は楽しみにしている者だ。

ただ今年から招待状を新規で送るのだから、やっと俺の姿を見せる事になると思うと非常に楽しみだな。雫らも招待したからか、今夜してた井戸端会議に深雪が話していたようだ。

『深雪、蒼い翼から招待状来たのだけど』

「雫やほのかにも招待状が無事に届いたようね」

『最初は雫だけかと思ったけど、私にも来るとは思わなかった』

「今年から知人になった者にも送られるようになったのよ」

本来なら海水浴に行くから一緒にどう?的な感じなのだが、招待される側としては少々嬉しいような行ってもいいのか迷ってたらしい。何せ今まで招待された者の中には雫の父親みたいな資産家が多く出席している。

『招待状によると小笠原の別荘とホテルらしいけど』

「織斑家は日本中に別荘を持ってるから不思議ではないわ」

『一真さんから聞いた時は何かの冗談かと思った』

「お兄様も一緒に行くけど、恐らく現地集合だと思うわ」

本来なら『お父様』と呼ぶはずだが、雫らには『お兄様』しか呼んだ事ない。小笠原の無人島に別荘持つ事が資産家の間では流行っているらしいが、それと現代のテレビ電話システムは標準仕様で十人まで同時通話できる仕様。

プライベートビーチ付きの別荘を持てるのは資産家と呼べる富裕層の中でも一握り、ただ深雪にとっては当たり前なのか特に驚く事もなく話し合ってた。

以前、雫の父親同伴でバカンスに過ごした時の記憶があるからか、ほのかは何かを思い出しながらも今年は同伴じゃない事にホッと一息をしてた。

『一真さんは現地集合なんだ』

「と言うより我が家は現地集合なのよ、ほのか」

『それは織斑家として?』

「それもあるけど蒼い翼本社にて仕事があるから」

蒼い翼本社にて仕事があると聞いた雫とほのか、疑問を持ちつつも当日は蒼い翼本社前に集合という事になった。

「・・・・という事で盛り上がりましたお父様」

「夜中に盛り上がってたけど、その話が出たのね」

「ま、俺らはいつも通りにやればいいしな」

今年から招待客を追加した者はレオと幹比古とエリカと美月を始めとした魔法科高校からの知人、もちろん招待状を届けてあるので出席・欠席とあるがほとんどは出席している。

「それと真夜から連絡があったから」

「会長さんらにも招待状送ったし、生徒会メンバーにも送った気がする」

「一真様、九校戦メンバーにも招待状を送ったはずです」

「他にも送った気がするが、やっと俺らの正体を明かす事になる事になるな。それに夏休みは学生にとって充実した事だが、俺らにとっては仕事なのだから」

「魔法科高校の夏休みは八月末までで、理科高校や文科高校は八月中旬で夏休みが終わる。何だか百年前みたいね」

深夜に穂波さん、俺と深雪に蒼太と沙紀は朝食中に話題が出たからだ。発売が来月に迫る『飛行魔法専用デバイス』の開発もだが、俺らにとっての休みは魔法科高校に通う事が休みであり現在は通常業務として仕事をしている。

で、当日になって一真と深雪らは業務中なのか現地集合という事を聞かされたレオ達。旅行前に女性陣の買い物に付き合いながら、水着売り場では注目を集める事もなく選んでた。妻である深夜と妹の真夜と共に選んでたが、当日は現地でとなる。

「わぁ・・・・大きいビルねぇ」

「そりゃ蒼い翼本社ですから」

九校戦と違ってショートパンツなのか、すらりとした良い脚を露出させたエリカがそう言ってた。

「エリカや雫のお家でもこのぐらいのビル持ってない?」

「持ってるけどこんなに高いビルは持ってないよ」

「・・・・右に同じく」

どうやら蒼い翼本社並みのビルは持っていないらしかった。クルーザーやプライベートジェットも持つ北山家と千葉家でも。フレミング推進機関、エアダクトが見当たらないから電源はガスタービンじゃない事から光触媒水素プラントと燃料電池を持つクルーザーという会話があった気がする。

「ところで一真はどうしたんだ?」

「深雪もよね」

「一真様と深雪様は現地集合となりました。仕事の都合でね」

「仕事?」

「魔法科高校に通う事が休みで、学生が夏休み中の期間は通常業務をしてるのよ」

企業の経営層がプライバシー防衛の目的で、本名ではなくビジネスネームを使用しているのは百年前から変わらず。俺の本名も織斑一真ではなく零達也として蒼い翼本社の職に付く。

「一真さんが普通の学生じゃないと思ってたけど」

「蒼い翼が表ならCBは裏として活動してる事は知ってたけど、黒沢さんも一緒に行けるなんて思わなかったよ」

「穂波とは仲がよくてね、よく一緒に話してるからかしら」

黒沢知恵理は北山家に仕えるハウスキーパー、非魔法師だけど穂波さんと同じように身の回りの世話をする。乗り物の運転ができるマルチである。

「全員揃ったところで中に入りましょう。私らに付いてきてね」

「うわぁ、外見もよかったけど中も豪華ね」

「だが俺達は小笠原に行くんだろ?何でビルの中に行くんだ?」

「それについては後々分かりますよ」

蒼太と沙紀を先頭にして中に入っていくメンツら、社員よりも目立つ格好をしてたが気にならないかのように素通りしていく。そして大きなエレベーター前で止まり、少しすると扉が開く。

この中に入ってから扉が閉まると同時に床が光だしたからか、一体何が起こったのか見当もつかなかったレオ達。輝き終えてから扉が開くとそこは蒼い翼本社ではない、目の前は白い砂と眩しい太陽。

「これは一体?」

「転移魔法を使って本社から小笠原にある別荘に移動したのですよ」

「転移魔法!」

転移魔法を使える魔法師はいないと思われるが、俺らでは普通に使える魔法であって魔法ではない。これは魔法技術の賜物ではなく単純に神の力よって技術化された代物として、これを知っているのは蒼い翼社員と関係者のみ。

そして転移ポータルから出てホテルへ向かう。本当なら別荘へ向かうはずだが、ここは蒼い翼エリアで関係者以外立ち入り禁止となっている。その証拠がさっきの転移ポータル、ちゃんと転移ができるのは招待状を持つ者だけ。

「ここが今回泊まるホテルとなっています」

「別荘かと思ったけど違うんだね」

「ええ。ここは蒼い翼関係者だけ入れる場所なのでね、部外者は立ち入り禁止なのだけど招待状を持つ者だけが入れるエリアがここという訳」

「エントランスも広い訳だねぇ・・・・ってそこにいるのって七草先輩じゃ」

「あら、貴方達も来てたのね」

「一真君と仲がいいメンツのようだな」

「ところで織斑兄妹はどこにいるか知らないか?」

十文字先輩が言う通り、ここには一真や深雪がいないが真由美の母親である真夜と織斑家の妻である深夜は既にいる。

少し奥には独立魔装大隊の風間少佐らのメンツがいる事で、ますますここに呼ばれた意味が分からないようだ。蒼太が話そうとしたら奥からコック姿で出てきた人物を見たら納得した顔をした。

「誰か織斑兄妹って言わなかったか?」

「これは零CEOじゃありませんか、何故コック姿なのです?」

「そりゃ今夜のパーティーによる料理を作ってるに決まってるじゃないか」

「零CEO自らお作りになるとは『料理も俺の趣味の一つなのでね』織斑兄妹である一真君と深雪さんがどこにいるか知りませんか?」

「あの二人なら一緒に手伝ってもらってる最中でね、まだ人手は足りないんだが」

コック姿で出てきても誰も俺が一真だって知っているのは蒼太と沙紀のみ、蒼い翼本社CEOが今回のパーティーに出す料理を作ってると言ったらかなり驚いてたな。人手が足りないと言ったからか、響子と深夜と真夜が前に出てきたから手伝ってくれるようだ。

蒼太と沙紀は今夜行われるパーティーまでは自由時間だと言ってあるからか、エリカ達は部屋に行ってから水着に着替えての海水浴を満喫したようだ。ただ俺と深雪がいないから少々つまらなさそうにしてたが。

プライベート・パーティーとして招かれたのだから、スーツとドレスかと思いきや学生諸君にはそれぞれの学生服を持ってきてもらいたいと招待状の持ち物リストに書かれていた。

なぜそうしたかはパーティー会場に向かえば理解したエリカ達。大人はスーツ姿で子供は学生服姿であり、一部の子供のみスーツやらドレスを着ていた。そして九校戦に出場していた選手達やスタッフ達も来ていた事に驚愕してた。

「へぇーまさかとは思ったけど皆来てたとはね」

「こっちも驚きだよ~何でも優勝選手や活躍した者達を集めて話してみたいんだって」

「僕はエイミィと一緒に来たけど、どうやら雫達で揃った訳のようだよ」

エリカがエイミィとスバルと話している間、生徒会メンバーである会長さんを中心に集まっていた。真由美に鈴音とあずさと摩利、桐原と壬生のカップルに十文字先輩。どうやら服部副会長だけ来ていないようだ。

ほとんどが第一高校だから緑で統一された制服、もちろん校長や教頭も来ているし独立魔装大隊の主なメンバーもいるが響子のみいない。今夜のパーティーで準備をしていた俺らを手伝うために。そんで準備完了となったからコック姿からスーツ姿へと量子変換にて即着替える。

俺の隣には深夜と深雪がいるが、姿は擬態前となっているからかエリカ達が気付くはずもなく素通りした。で、主催者としての挨拶前に十師族の現当主らに挨拶するが、その時だけ真夜は四葉家現当主の顔としてな。

『主催者である零CEOが到着されましたのでお静かにお願い致します』

「マイクテストマイクテスト、奥まで聞こえたら手を挙げるように・・・・聞こえているなら改めて挨拶をしよう。俺は零家当主であり蒼い翼CEO兼本社社長の零達也だ、皆の知っての通りこの名はビジネスネームだから本名を言ってもいいが今はいいか。今年は訳あって沖縄ではなく小笠原にしたのは何かあったらすぐに現着できるようにしないといけないから。と長話はこのぐらいにして乾杯しようじゃないか、乾杯!」

『乾杯!』

乾杯をした後、俺は雪音と共に各グループがいるところを周回する事に。

「楽しんでるかな?」

「これは零CEO、改めてご招待ありがとうございます」

「今年は一高が九校戦優勝してしまったがな」

「我が息子も頑張りましたが、やはり零CEOには敵いませんよ」

「一条さんは来てないのですね」

「雪音様の事を一目惚れした愚息をここに連れてきてはいませんよ」

一条家現当主の剛毅と話してから十師族の現当主に話していきながらグループ分けをして正解だった。十師族に企業に魔法協会と色々だが、エリカ達は最後にして周る事にする。やがて一高グループへ近付く俺と雪音。

「九校戦優勝おめでとう、とでも言おうかな」

「零CEOから祝辞を言われるとは光栄であります」

「一応な、それより君達が一真のデバイスを使った選手だな」

「は、はい」

「あんまり緊張しなくていいのよエイミィ」

「え?何であたしの名前を知ってるんですか?」

「そりゃ知ってるさ。雪音も挨拶周りが終わったらそのままエリカ達と一緒でいいからな」

エリカ達は疑問符を頭に浮かんでいた、なぜ下の名前で呼んでいるのだろうと。そりゃ中身が織斑一真と深雪だと知っているのは真由美と摩利と十文字先輩のみ。挨拶周りが終わったので、俺らは疲れたのかVIPルームへと向かう。そこにはエリカ達と九校戦で活躍したエイミィとスバル。

「そろそろ教えてくれない?なぜあたし達の名で呼んでるのかを」

「潮時だとは思ったけど、そりゃ一緒にいたのだから当然さ深雪」

「そうですねお父様」

一瞬にして光出したと思えば容姿が先程とは違い、エリカ達が知ってる容姿へとなった。

「え?えええええええええええ!零CEOの正体は一真君だったの!それに雪音様は深雪だったの!」

「俺も驚きだけどこれで納得したわ。一真がCB構成員だと知ってたが」

「エリカちゃん驚きすぎだよぉ・・・・でも私も驚きです。まさか零雪音様が深雪さんだったなんて」

「幻影魔法でも使ってるのかと思ったけど違うみたいだね」

「でもさっき『お父様』って言ってたけど・・・・」

「そりゃ俺と深雪は親子関係だからな、表では兄妹でも裏だと親子として接している」

そこからは正体明かした事でも普通に接してくれてとても有難かった。もし正体を明かした後も様付けで呼ばれるのはな、そして会場へ戻ると真由美達がこちらに来る。色々と話したいが、今後についても俺の正体については秘匿するようお願いをした。

「一真君が凄いって事は知ってたけど」

「あの伝説とまで言われた百年前と姿形が変わらないのも納得したよ、深雪も百年前から姿は変わらないんだよね?」

「私もお父様も容姿は今と変わらずだけど、擬態後の姿はあくまで学生気分としてだから」

「一見すると俺らと変わらないが、年上だとは思わなかったぜ」

「こうしないと俺は魔法科高校に通えないからさ、今夜はここに泊まるが明日からは別荘に行って皆と遊んでから帰るとしよう。深雪はどうする?」

「私はお父様が言うならばエリカ達としばしの休暇をとります」

と言う事で俺達は今夜の疲れを癒した後、別荘へ行きプライベートビーチで泳いだりして楽しんだ。メンツはエリカ・レオ・美月・ほのか・雫・エイミィ・スバルと俺と深雪でな。

正体を明かしたとしても今後も変わらず接してくれるし、夏休みが明けた後も友人として相手をしてくれるならそれで良いと思った。

小笠原から蒼い翼本社まで転移ポータルで各自のグループで帰ったが、家に帰ると深夜と真夜に穂波さんと響子が手作り料理を作って待っていたらしい。

何でもこの前のパーティーで出した料理を食べて落ち込んだとか。俺のレベルには届かなくとも、それぞれの得意料理を作った結果は言わなくても分かるだろう。

俺と深雪は親子関係で妻の深夜と護衛の蒼太と沙紀がいれば、何か問題があれば解決してくれるだろうよ。夏休みという期間中は何も起こらなければいいのだが。 
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