戦国異伝供書
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第百十話 兄と弟その八
「終わらせる、しかもな」
「ただの勝ちではなく」
「後につながる勝ちにする」
「奥羽を手中に収める為の」
「その第一歩となる勝ちでな」
それでというのだ。
「勝って終わりではない」
「兄上はそこまでお考えですか」
「まずは白河の関まで手中に収める」
「奥羽と関東の境まで」
「そこで守りを固め次はな」
「北ですか」
「陸奥まで進みたい」
今度はそこまでだというのだ。
「そしてその中でな」
「最上家もですか」
「降す」
「では叔父上は」
「わしの家臣になって頂く」
「そう簡単にはいかぬかと」
「わかっておる、しかしな」
それでもというのだ。
「必ずな」
「そこまでするのですな」
「うむ、だからな」
「まずはですか」
「相馬家をな」
この家をというのだ。
「攻めるぞ」
「そうしますか」
「そしてな」
「その時にですな」
「今徹底的に鍛えておるそれをな」
戦、初陣の時にというのだ。
「いよいよ使うぞ」
「その時が来たのですな」
「あれはかなり強いぞ」
政宗は小次郎に確かな笑みで話した。
「天下の誰も使ったことはない」
「そうした兵ですな」
「それを使ってな」
「初陣に勝ち」
「次の戦にもな」
「ですか」
「鉄砲鍛冶を無理に雇ってよかった」
高禄で召し抱えてというのだ。
「そうしてな」
「ですな、鉄砲を造らせて」
「それなりに揃った、しかしな」
「これからもですな」
「鉄砲を揃え」
そしてというのだ。
「馬もな」
「揃え」
「兵達もじゃ」
「鍛えていきまするな」
「百姓の次男三男を呼んで槍を持たせる」
そして戦の場に出すというのだ。
「それは数だけじゃ」
「まさに烏合の衆ですな」
「どうということはないわ」
そうした者達はというのだ。
「だからな」
「兄上としてはですな」
「その様な兵はいらぬ」
一切というのだ。
「わしはな」
「兄上が求められるのは強い兵ですな」
「そして軍じゃ」
「左様でありますな」
「これも織田殿のされていることであるが」
信長、彼がというのだ。
「百姓は百姓でな」
「働いてもらいますか」
「そして武士はな」
「武士で、ですな」
「働いてもらう」
「戦の場で」
「そうしていきたい」
今は違ってもというのだ。
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