母の心配
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第四章
神戸の自宅から大阪の彼女の自宅に連絡を入れて難波で会った、そうしてなんばパークスの串カツ屋で一緒に飲み食いをしながら話した。
「お母さんまた心配してたわよ」
「またなの」
「そう、またよ」
ソーセージの串カツを食べつつ答えた。
「あんたが単行本作業に入ってね」
「それでなの」
「連絡が取れなくなったって」
「だって単行本作業はね」
妹は姉にビールを飲みつつ話した、見れば姉もビールが傍にある。
「フルカラーでね、思いきり力入れて描くから」
「それでよね」
「アシスタントさんに任せる部分もあるけれど」
「主にはっていうのね」
「私の場合はね、もう一人になって」
そうしてというのだ。
「缶詰になってね、担当さんにも場所は内緒で」
「描いてるのよね」
「そうしてるから」
だからだというのだ。
「お母さんにもよ」
「それは私はわかってるけれど」
「お母さんはどうしてもなのね」
「自分から連絡して」
そしてというのだ。
「そのうえで返事がないとよ」
「お母さん心配になる人なのね」
「私だって返事しなかったら」
母からの連絡にだ。
「どうしたのって旦那や娘に言ってくるのよ」
「そんな困ったところあったの」
「それであんたも連絡しないと」
自分の返事にだ。
「不安になってなのよ」
「お姉ちゃんやアシスタントさん達に聞くの」
「そうなの」
実際にというのだ。
「担当さんにもね」
「困ったことね、けれど私はね」
「単行本作業に入ると」
「もうね」
それこそというのだ。
「一人でやらないと出来ないから」
「音信不通でお仕事に専念して」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「やらないと駄目だから」
「そうなのね」
「音信不通になるのはね」
「仕方ないっていうのね」
「当然だから」
海老の串カツを食べながら姉に答えた。
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