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氷の龍は世界最強

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イジメと怒り

 色々あったが、特にお咎めなしだ。
 まあ、団長の彼もみすみす即戦力を無碍に扱う気がないようだ。
 むしろ、悪いのはバカ共の方だ。
 団長からしても仲間を無碍にする奴らを許す気がないだろう。悩みの種であることは間違いないが――。
 そんなことがあって2週間は経過した。
 1つだけ分かったのは、俺には魔法は不得手のようだ。
 魔法を扱おうと詠唱してもたいした威力も発揮できていない。
 あと、炎系の魔法は扱えない。
 おそらく、あの夢が関係していると思われる。
 その影響なのか水系や氷系は十全に扱えた。
 やはり、あの夢が俺の力に何らかの影響を及ぼしているようだ。
 なんなのかは分からないが――。
 この2週間でステータスも変化した。
――――――――――――――――――――――
氷川蒼汰
年齢:17歳
性別:男
レベル:?
天職:死神
筋力:500
体力:500
耐性:420
敏捷:410
■■:?
■耐:450
技能:■■(剣術)・瞬間移動・■■刀『■■■』・■■操作・■■(+■■)(+■■)・■■・縮地・豪腕・全属性適性・全属性耐性・精神耐性・状態異常耐性・言語理解
――――――――――――――――――――――
 俺に隠れている能力が増えたことだ。
 しかも、派生している。
 操作系統も魔力とは別に働いている。
 これも夢に関係しているというのならあり得る。
 あと、分かっているのは、俺にはクラスメイトの奴らとは別の力を持っていることだ。
 この力がこの世界に来てからの力を阻害しているように思える。
 最後に1つだけ言えるのは、誰かが俺たちいや俺のことを見ている。
 誰かは分からないが見ているのがわかる。
 物陰に隠れているのか。はたまた、透明化して隠れているのかどちらかだろう。
 俺としては後者だ。
 誰かが透明化して見ているとしか思えない。
「まあ、今、考えてもしょうがないか」
 この訓練の目的は七大迷宮の1つ『オルクス大迷宮』の攻略。
 俺からしたら、こんな子供遊びじみたことをしているんだ。
 実戦なんて人と殺し合うことだろうに指導側のなにを考えているのか理解が及ばないよ。
 その時だ。
 俺の部屋の扉が勢いよく開け放たれたのは。
「蒼汰! いる!?」
 雫が入ってくる。
 普段通りの装いで、服装に関してはこの世界に合わせた物だ。おそらく、クラスの全員がクローゼットに制服を吊しているだろう。
「雫。ノックぐらいしろ」
「良いじゃない、今更でしょ?」
「・・・・・・」
 俺は冷徹な瞳で彼女を睨むと雫はゾクッと背筋を伸ばして
「ごめんなさい、これからはノックしてから入るわ」
「よろしい」
 と、俺は雫と一緒に訓練に向かう。
 むしろ、彼女から「訓練に行きましょ?」と微笑んでくる。
 俺としても深く追求する気がない。なので、仕方なく、雫と一緒に訓練場に向かった。

 俺と雫が訓練場に来ると、俺の姿を見た途端、クラスの皆が気まずそうに目を伏せたり、施設の死角をチラチラと見ている。
 これには、俺も疑問符を浮かべる。
 だけど、ここで俺は瞬時に頭を回転させて、結論に至る。
(まさか・・・!?)
 俺は一瞬にして考えに辿り着き、クラス共がチラチラと見ていた場所に走りだす。
「どけ」
 その一言だけでクラスの皆は凍りつき、俺を見た瞬間、道をあけていく。
 あれ? 俺って、そこまで強く言っていないのだが・・・。
「来るんだろう、雫」
「えっ、あ、うん」
 俺と雫は訓練場の死角に行くと、いきなり、大きな声が聞こえてきた。
「何やってるの!?」
 俺たちよりも先に駆けつけたのであろう、白崎が。その後ろには天之河(バカ)坂上(脳筋)がいた。
「いや、誤解しないで欲しいんだけど、俺たち、南雲の特訓に付き合ってただけで・・・・・・」
「南雲くん!」
 檜山のバカの弁明いや言い訳を無視して、白崎は咳き込みながら蹲る南雲に駆け寄った。
「特訓ね。それにしては随分と一方的みたいだけど?」
「いや、それは・・・・・・」
 俺の横を雫が通り過ぎてバカの隣でそう言うと、檜山のバカは明後日の方向を気まずそうに見ている。
「言い訳はいい。いくら南雲が戦闘に向かないからって、同じクラスの仲間だ。二度とこういうことはするべきじゃない」
「くっだらねぇことする暇があるなら、自分を鍛えろっての」
 三者三様に言い募られ、檜山たちは誤魔化し笑いをしながらそそくさと立ち去る。
 それを俺は見逃さなかった。
「待てよ」
「あっ? ヒィッ!?」
 俺の声に反応して振り返る檜山のバカ共。
 その彼らが俺を見た瞬間、なにかに恐怖したかのように腰を抜かす。
 どうしたんだ?
 急に腰を抜かして?
 この時、俺は気づいていなかった。
 俺は無意識のうちに冷徹な瞳を浮かべ、尚且つ莫大ともいれる霊圧を放っていたことに・・・。
「どうした? そんなに怖じ気づいて・・・彼奴らに許されて、お咎めなしというのも虫が良すぎるだろう」
 冷徹な瞳、冷徹な言葉が檜山のバカ共に重くのしかかる。
「やめろ氷川! やり過ぎかもしれないが、檜山たちは南雲を戦えるように訓練をつけてくれていたんだぞ!?」
「・・・・・・」
 あれで訓練をつけていた?
 何を言っているんだ、このバカは・・・?
 理解できない。
 俺は知らず知らず、冷徹な瞳のままバカを睨む。
「理解に苦しむな。無能な指揮官では、それに従う奴らも凡人以下のバカの集まりだな」
「なんだと!?」
「理解できないのか? 南雲にされたことが、俺たちの世界じゃあ、イジメに等しい。100%の悪意だと理解できないのが理解に苦しむと言っている」
「虐めていた? 檜山たちが、南雲を? そんなわけないだろう?」
 なるほど。もはや、このバカに何を言っても無駄のようだ。
 全く、学校の先生たちもこんなバカの何処がいいのかね?
 人を見た目だけで判断するなよ。中身を理解してこそ、才能の持ち腐れだと理解できないのか。
「南雲自身ももっと努力すべきだ。弱さを言い訳にしていては強くなれないだろう? 聞けば、訓練のないときは図書館で読書に耽っているそうじゃないか。俺なら少しでも強くなるために空いている時間も鍛錬にあてるよ。南雲も、もう少し真面目になった方がいい。檜山たちも南雲の不真面目さをどうにかしようとしたのかもしれないだろ?」
 話の途中に南雲へ寄って行って、肩を叩きながらそう言う。
 もはや、それは人間ではない。
 獣だ。
 そんな、バカに対して、南雲は唖然とした表情をする。
 ともすれば、雫は額に手を当てて天を仰いだ。
 そこに檜山のバカ共も便乗してくる。
 やはり、バカで獣の集まりには何を言っても無駄のようだな。
「ほら、檜山もそう言っている。やはり、南雲を虐めていたというのはお前の勘違いじゃないのか?」
「そうだな。理解したよ」
 何を言っても無駄のようだな。
《big》《b》「お前ら無能共に何を言っても無駄だというのがな」《/b》《/big》
 俺の一言がその場にいる全員を凍らせた。
 俺はそのまま、あとにする。
 だけど、後ろで天之河のバカがギャーギャーを騒いでいたが無視した。
 あんな無能と一緒にいるとバカが映るからだ。

 一方、霊体の男の娘は一連のそれを見ていた。
 見ていた感想はというと――。
「いや、驚いた。あの銀髪の少年の霊圧。明らかに隊長格だな。しかも、隊長格2人分の霊圧だ。しかも、見たところ、伸びしろが計り知れない。こんな所に燻らせるよりも声をかけて仲間に率いれたいくらいだ」
(あと、周りの奴らが無能すぎる。四十六室だったら、容赦なく、特別管理区にぶち込まれるな。瀞霊廷の風紀を乱されたら、たまったものじゃない。とりあえず、このことを総隊長に報告だな)
 と男の娘はその場から退散して、瀞霊廷という場所に向かった。 
 

 
後書き
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