レーヴァティン
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第百七十五話 冬が終わりその十三
「蜜柑を食おう」
「デザートっちゃな」
「菓子を考えたが」
「そっちはっちゃな」
「甘い菓子は日本酒を飲んだ後はな」
どうしてもというのだ。
「合わない、だからな」
「それでっちゃな」
「明日にしてだ」
それでというのだ。
「今夜は蜜柑を食う」
「そうっちゃな」
「そちらも楽しみにしてな」
「食べていくちゃっな」
「そうして飲む」
言いつつまた飲んだ、英雄は飲んで食うことでも時を過ごして春を待つことにした、そしてそれは成功していた。
何時しか雪が少なくなっていた、それで彼は言った。
「ではな」
「はい、春になれば」
「その時はですな」
「もう兵は集める用意が出来ています」
「武具や兵糧も」
「だからだ」
幕臣達に話した。
「春になればな」
「それと共に」
「即座にですね」
「北陸攻めに入る」
「そうしますな」
「その時がいよいよ近付いている」
こう言ってだった、英雄は少なくなってきた雪を見つつ言った。そして間もなくとなった時を待つのだった。
第百七十五話 完
2020・8・23
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