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レーヴァティン

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第百七十五話 冬が終わりその十

「噛まずに飲み込むしな」
「のど越しですね」
「あれも会わない」
「そうなのですね」
「食うならな」
 それならというのだ。
「やはりだ」
「噛むべきですか」
「白魚の踊り食いは食ったことがないが」
「それでもですね」
「食うならな」
「噛むべきですか」
「俺はそうした考えだ、まして傍の様な長いものを食えば」
 そうすればというのだ。
「消化に悪い」
「それあるな」
 耕平は英雄のその言葉に頷いた。
「あの食べ方は」
「そうだな」
「ほんまあっちはお蕎麦つるって全部飲むからな」
 蕎麦の麺を一切噛まずにだ。
「そうするからな」
「消化に悪いな」
「絶対にな」
「だからだ」
「余計にやな」
「ざるそばのあの食い方はしない」
「せいろもやな」
 耕平はこちらの蕎麦もと言った。
「そっちもやな」
「同じだ、ざるもせいろも好きだが」
「関西のやな」
「あの辛いつゆも合わない」
「そやな」
「温かい汁そばでもな」 
 関東のつゆはというのだ、蕎麦のそれは。
「同じやな」
「辛い、だからな」
「もう色見てもわかるしな」
「墨汁の様だ」
「そっちも合わんな」
「実際にな、だからだ」
 それでというのだ。
「俺としてはだ」
「どれも関西やな」
「そうだ、どうしても合わない」
 関東の味はというのだ。
「食えない訳ではないが」
「それでもやな」
「好みは関西だ」
 どうしてもというのだ。
「やはりな」
「そうなるな」
「酒もな」
 こちらもというのだ。
「やはり関西だ」
「こっちのが美味いか」
「ああ、それで今もだ」
 豆腐を食ってから飲みつつ言う、その酒を。
「こうして飲んでいる」
「そういうことやな、ほな今はな」
「このまま飲んでな」
「楽しむな」
「そうする、そして今度はな」
「鯉の刺身に」
「鯛の揚げたものだ」
 こちらの組み合わせだというのだ。
「そして酒もな」
「飲むのう」
 当季も飲んでいる、漆塗の杯が粋だ。
「こうして」
「そうするな」
「すき焼きと肉と合わせて」
 その酒と、というのだ。 
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