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教師への道を歩む

作者:普通
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空港で...

僕は四宮のところでのシフトも終わり日本に帰ってきた。やっぱり日本の空気は良い。フランスも良かったけどやっぱり生まれ故郷の日本は格別だね。
さてこの後はどうしましょうかね~ちょっと迎えを知らせる時間を間違えちゃったからまだ迎えに来るまで時間があるんだよね。どうしようと考えながら空港の中を見て回っているとある事を思い出した。フランスに行く前に総帥からなんかお土産を買ってきてと言われたんだった。....買ってくるのを忘れた。

まあ、別に総帥のお土産だし忘れてもいいか。.....だけど、さすがにそれは可哀そうかな。日本の空港だけどフランスで買うのとさほど変わらないでしょ。
そして僕は空港の中を歩き回りやっとお土産屋を見つけた。空港ってかなり広くて探すのにかなり手間取ってしまったな。

じゃあ、どういう感じのお土産にしようか。あの人の好みって何なんだろう。もうかなりの年だし饅頭とかの方が良いのかそれとも洋菓子系の方が良いのか。それとも、ストラップ系とかの方が良いのかな~。全く分からないな~。
僕、こういうの悩むとずっと悩んじゃうんだよな。知り合いと一緒にいる時はどれが良いのかなぁ?と尋ねられるんだけど今回はそうもいかない。あ~~どうしよう。
悩んでいると後ろから誰かに声を掛けられた。

「桜さん」
後ろを振り向くとそこには.....私服に身を包んだ木久知 園果がいた。


「なん...木久知か」
何でこんなところに彼女が居るのかは分からないがどうやら彼女もどこかの国に行っていたらしく彼女が持っているバッグには、はみ出るほどたくさんのお土産が入っている。
「てか木久知もどこか旅行してきたのか?」


「旅行じゃありませんよ。ちょっと材料の調達に現地に行って来たんです」

料理人の中に拘りが強い人は木久知見たいに現地に赴く奴も少なからずいる。うちの近くにいる人たちは皆、食材は自分の目で見て判断する人たちだ。


「そうか。それで御眼鏡に適う食材があったの?」


「ありましたよ!予想以上に手に入りました。それで桜さんは何でこんなところにいるんですか?」


「あ...僕は四宮んところの手伝いに行って来た帰りでね。今、総帥へのお土産を悩んでいるところなんだよ...あ..木久知は今、暇?」


「いや......そうですね。この後、急ぐような用はありません」
これは好都合。一人で決めるとしたらもしかしたら、数時間は費やしてしまうかもしれないからここは木久知に助けてもらうのが一番かな。


「じゃあ、僕のお土産選びを手伝ってくれないかな?」


「..分かりました。手伝わさせていただきます!」
木久知は満面の笑みをしながら答えていた。水原もこんな笑顔が出来たらモテそう。表情筋が重いのか分からないけど水原はまるで表情が変わらないから。


「じゃあ、早速だけど総帥にお土産ってどんなのが良いと思う?」


「そうですね........これ何てどうですか?」
木久知は店内を見渡し一つのお土産を持ってきた。持ってきた物は......熊のぬいぐるみ。


「...木久知」


「何ですか?」


「一つ聞いていいかな?」


「はい」


「...僕が誰にお土産をあげるかを聞いてた?」


「聞いてましたよ」


「じゃあ、僕は総帥にその熊のぬいぐるみをあげるって事で良いのかん?」


「何か問題でもありましたか?私的には良いと思ったんですけど....ダメですか?」

上目遣いをされると弱いけどそうもいかない。だってもうそろそろ29歳の男がもうかなり年のおじさんにお土産で熊のぬいぐるみを上げるってかなりひどくない。総帥も熊のぬいぐるみを貰って絶対に困ると思う。もう総帥の困っている顔が目に浮かぶ。


「それはさすがにあげられないかな。他に何かないかな?」
僕も改めて店内を見渡し何か良い物がないか見る事にした。


「......そうですか。総帥さんってもうかなりのお年でしたよね?」


「そうだね。正確に年は分からないけどもう60ぐらいいってるんじゃないかな。お年寄りの人にあげるものって何が良いのか分からないんだよ。木久知は祖父とか祖母にお土産を買うとしたら何を買うの?」

総帥にあげるって考えるから決まらないのかも。じいちゃんとかばあちゃんにあげると考えた方が決めやすいかもしれない。


「そうですか.....あ.そう言えば、何で総帥さんにお土産を買うんですか?」


「あ、そうだね。言ってなかったね。僕、4月から遠月学園で教師やるの」
何故か木久知も固まってしまった。木久知が固まっているところなんて初めて見た気がする。まあ、人が固まっているところ何て見る機会はないしね。


「どうしたの?木久知。お~い、お~い」
木久知の目の前に手を振ってもまるで反応が帰って来ない。放心状態みたいな感じになってしまっている気がする。


「本当に大丈夫か?」


「........え、あ、だいじょ..ぶです」


「いや、それは確実に大丈夫じゃない人の言い方でしょ」


「...ほ..ん..とうにだいじょうぶです」

え..まう、ちょっと待ってよく考えたら僕が教師になるって放心状態になるものなのか。そんなに驚くような事でもない気がするんだけどな。


「そんなに驚くような事でもないと思うんだけど...僕が教師ってそんなにヤバいの?」
もしかして、スタジエールの時のボクの教え方とかって下手すぎたとか。僕がまだ自分の店を営業していた時に何度かスタジエールが来た時があった。その中の一人が木久知だった。


「いや.......大丈夫だと思います。でも...」


「でも?」


「.........でも、桜さんに教わるのは私だけでいいのに...」


「ごめん!最後の方が聞こえなかったんだが....」


「何でもないです!!それじゃ早くお土産を決めちゃいましょう!!」


確かに木久知の言う通りだ。早くお土産を選ばないと迎えが来ちゃうかもしれない。そう思って腕時計を見てみるともう午後の6時になっていた。僕が空港に着いたのが午後の5時だからもう1時間も時が過ぎたという事。6時30分に向かいに行かせる見たいな連絡が来てたから後30分でお土産を買わないといけない。


「本当にそろそろ決めないといけないし本当にどうしよう」


「これ何てどうですか?」


「..饅頭....確かにこれが一番良いかもしれないね。これにしようか」
無難に饅頭にしといた方が多分良いだろう。まあ、日本で買ったのはバレるけど忘れたって言えば良いか。



その後、饅頭を買って店を出ると木久知が待ってくれていた。
「今日はありがとう!木久知が居なかったらずっと悩んでたと思う。本当にありがと!」

「..そんなにお礼を言われると照れます....また、何か困ったことがあったらまた呼んでくださいね!」


「さすがに木久知も店があるんだから気軽には呼べないよ。でも、なんか本当に困ったことがあったら連絡するよ。その時はお願いするね」


「はい!」


「じゃあ、今日はこれで」
僕はそう言うと迎えが待っているであろう空港前に向かって歩き出した。




「今年の宿泊研修には絶対に参加しなくちゃ!」
青年が去った後、密かにそんな決意を固めている一人の女性が居たという。



空港の入り口まで行き迎えの車を探すとその車をすぐに見つかった。だってあんなに目立つ車で迎えに来たら分からないはずがないね。それに運転席にスキンヘッドの男がサングラスをしているものだから周りの人たちも決してあそこには近付こうとしてない。
僕はその目立っている車に一直線で向かい乗り込んだ。


「何でこんな目立つ車で迎えに来たんですか?」


「悪いな。これしか俺には車はないからな」


「それならせめてサングラスを外した方が良いと思いますよ。そのサングラスが余計に怖さを増してますから」
どう考えても「スキンヘッド+サングラス=怖い」に結びついてしまう。


「そうか。俺はかなり気に入っているんだが.....」


「まあ、その話は後でするとして何で堂島さんが僕なんかのために迎えに来たんですか?」
薙切さんのところの使用人とかが迎えに来ると思っていたけど結果は予想と違った。まさか遠月リゾートの料理長が自ら来てくれるとは思っていなかった。まだ、僕が高校一年生の時に宿泊研修で少しお世話になった経験があって関わりはある。


「折角、芹野が帰って来るって言うんだから迎えに来ない訳がないだろ」


「...................」


「どうした?」


「いや、なんか急に寒気が一瞬しまして...」


「そうか。今日はそんなに寒くない気もするがな」


「..車の中の温度とかじゃなくて....」


「あまり遅くなると総帥に後で何でこんなに来るのが遅いのか問い詰められるからそろそろ出発するか」


「...安全運転でお願いします」
なんかこの顔でこんな目立つ車で安全運転じゃない気もするから一応、言っておく事にした。


「そんなの当たり前だ」
 
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