麗しのヴァンパイア
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第二百八十四話
第二百八十四話 賢者の石
カーミラは自分の手の中にあるその石を見つつ使い魔達に話した。今もエメラルドの輝きを見せている。
「この賢者の石があれば」
「石を黄金にも宝石にも変えられます」
「素晴らしい価値のあるものに」
「その光を当てればです」
「石はそうなります」
「その黄金や宝石を売れば」
それでというのだ。
「かなりの財産になるわね」
「はい、確かに」
「確かにそうなります」
「ですからいいですね」
「この石は」
「錬金術を極めれば」
それでというのだ。
「この石を生み出せるわ、そしてね」
「その石を生み出せば」
「お金のことはですね」
「何の心配もいらなくなりますね」
「そうよ、長く生きていると」
吸血鬼としてそうしていると、というのだ。
「自然と学ぶ機会も増えるわ」
「魔術もそうですし」
「錬金術もですね」
「そうしてでしたね」
「私はこの石を生み出したわ」
その賢者の石をというのだ。
「こうしてね」
「左様ですね」
「そしてですね」
「その石で無限の財産を生み出し」
「お金には困っていないですね」
「今も」
「そうよ、私あお金は大事に思っているわ」
人の社会の中で生きているだけにだ。
「囚われてはいないけれど」
「まさにお金があればです」
「それで済むのならです」
「それに越したことはないですね」
「本当にね、だから私はこの石を愛しているわ」
賢者の石を見るその手はいとおし気なものであった。
「これまでもそうだったし」
「これからもですね」
「そうしていかれますね」
「賢者の石を」
「女の子達と同じだけね」
愛する彼女達の話もした。
「そうしていくわ」
「はい、それでは」
「今宵もですね」
「その富で楽しまれますね」
「人の世での暮らしをね」
微笑みそうしてだった。
カーミラは上等の赤ワインを飲んだ、そのワインを買った金も勿論元は賢者の石が生み出したものである。
第二百八十四話 完
2020・7・26
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