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凍り豆腐

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第四章

「間違いないのう」
「この度はお呼び頂き」
「うむ、お主の話を聞いてな」
 それでとだ、政宗は自分の前に平伏した女に話した。
「共に飲んで話したいと思ってな」
「それで、ですか」
「この度呼んだのじゃ」
「そうでしたか」
「それでじゃ」
 政宗は女にさらに話した。
「お主が雪女であるな」
「はい、名をつららといいます」
「そうか、つららというか」
「この辺りの妖怪の大名雪男の前田麻右衛門の三番目の娘です」
「ほう、そうであったか」
「そのことを申し上げさせて頂きます」
 こう政宗に話した。
「この度は」
「わかった、しかし妖怪にも大名等があるか」
「左様です」
「そしてお主もか」
「その娘です」
「そうした者であったか、それでじゃが」
 政宗は雪女にあらためて話した。
「折角だから酒はどうじゃ」
「酒ですか」
「うむ、飲めるか」
「熱いものは駄目ですが」 
 それでもとだ、雪女は政宗に答えた。
「ですが」
「それでもじゃな」
「酒自体はです」
 それはとだ、雪女は政宗に再び答えた。
「飲めます」
「左様か、しかし熱いものは駄目か」
「雪女なので」
 だからだとだ、政宗に今度はこう答えた。
「ですから」
「そのこともわかった、ではな」
「これよりですか」
「共に飲もうぞ、この者達も一緒じゃ」
 政宗は片倉と成実に顔を向けてそうしてだった。
 二人も入れて雪女と四人で飲んだ、その時に。
 ふとだ、政宗は雪女の膳を見て言った。
「豆腐が凍っておるな」
「申し訳ありません、私の冷気で」
「ははは、よい」
 政宗は笑ってそれはよいとした。
「わざとはしておるまい」
「はい、それは」
「お主は雪女、冷たいものを出すのも道理でな」
 それでというのだ。 
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