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優しい犬と我儘な猫の思いやり

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第二章

「どうしてもね」
「そうなのね、茉奈ちゃんは大人しいから」
 母は娘のその性格のことも話した。
「だからなのね」
「何かどうしても」
「そうよね、最初にね」
 入学式の時にというのだ。
「インフルエンザになって」
「休んだから駄目なのね」
「最初の一週間にね」
「それでなのね」
「まあ何かあったら」
 きっかけ、それがというのだ。
「それでね」
「お友達出来るかしら」
「だから出来たら自分から入っていくべきだけれど」
 それが理想でもというのだ。
「出来ないならね」
「それならなの」
「ええ、茉奈ちゃんは大人しいから」
 そうした性格だからだというのだ。
「今はきっかけを待ってね」
「それじゃあ」
「ニャア」
 ここでだった、ミミがだ。
 茉奈のところに来て鳴いてきた、それを見て。
 母は娘に笑って言った。
「遊べってね」
「私に言ってるのね」
「そうみたいよ、茉奈ちゃんのところに来たから」
「何でミミってこうなのかしら」
 そのミミを見てだ、茉奈は今度はこう言った。
「我儘で」
「自分が遊びたいとね」
「すぐに鳴いてきて」
「催促するわね」
「最近いつも私に言うから」
 遊べと催促するというのだ。
「本当にね」
「困った娘よね」
「コロは凄く大人しくて優しいのに」
 彼はそうした性格だが、というのだ。
「ミミはね」
「いつもこうよね」
「仕方ないわね」
 やれやれとなってもそれでもだった。
 茉奈はおもちゃを出してミミと遊んだ、そうしてだった。
 暫くミミと遊んで時間を過ごした、家にいる時はいつもそうした。ミミの方から来てそうなっていた。
 だが学校ではいつも一人で。
 茉奈は寂しい思いをしてきた、そんな中。
 昼休みに校庭に一人でいるとだった。
「ワン!」
「えっ、コロ」
 そこにコロが来た、リードを持っている母を引っ張る形で。それで茉奈は驚いて母に対して尋ねた。
「お母さん、どうしてここに」
「コロがお母さんのところにリード咥えて持って来たの」
「そうだったの」
「それでお散歩に行きたいってわかってね」
 それでというのだ。
「お散歩に釣れて行ったらぐいぐい引っ張られて」
「それでなの」
「学校に来たの」
「普段コロは朝と夕方お散歩に行って」
 それでとだ、茉奈は言った。
「ここ散歩の道じゃないのに」
「それがね」
「ここに来たの」
「そうだったの」
「どうしてかしらね」
「多分ね」
 茉奈のところに来て身体を脚に摺り寄せるコロを見つつ話した。
「茉奈ちゃんが心配でよ」
「それでなの」
「来てくれたのよ」
「そうなの」
「多分ね」
「そうなのね」
「茉奈ちゃんを見ていて」
 それでというのだ。 
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