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犬は尻尾を見れば

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第一章

               犬は尻尾を見れば
 これは菊池美奈子と華奈子の双子の姉妹がまだ小学一年生で魔女の塾に通いはじめた頃のことである。
 二人共まだ使い魔を使役出来なかった、だがその頃に丁度後に華奈子の使い魔になる猫のライゾウと犬のタロが来た。
 どちらもまだ子供だった、だが。
 タロを見てだ、華奈子も美奈子も口々に言った。
「何かね」
「普通に大人しくない?」
「犬って怖いと思っていたら」
「それがね」
「犬によるよ」
 二人の父が娘達に話した。
「そのことは。というかライゾウもうちに来たてで怖がっているな」
「部屋の隅っこで震えてるわね」
「隠れてね」
「ガタガタってね」
「物凄く怖そうよ」
「そしてこの子もだよ」
 タロもというのだ、ライゾウもタロも名前は二匹が家に来てすぐに両親が名付けた。
「怖がってるんだよ」
「そうなの」
「怖がってるの」
「そうだよ」
 まさにというのだ。
「どっちもまだ子犬だしな」
「そういえば」 
 華奈子はここでだった。
 タロの尻尾を見た、尻込みしている彼の尻尾は腹の下の方に後ろ足と後ろ足の間から入ってしまっている。
「尻尾が」
「犬がこうなっていると怖がっているんだ」
「そうなの」
「犬は顔にも表情が出るけれど」
 それでもというのだ。
「尻尾にもなんだよ」
「そうなの」
「そして猫もなんだ」
 この生きものもというのだ。
「尻尾にもなんだ」
「気持ちが出るの」
「そうなんだ」
 父は華奈子に微笑んで話した。
「人間と違ってね」
「それで今は怖がっているから」
「尻尾がお腹の下にあるのね」
「そうなっているんだよ」
「そうなのね」
「華奈子も覚えておくんだ、美奈子も」 
 華奈子だけでなく美奈子にも話した。
「いいね」
「わかったわ」
 美奈子は父のその言葉に微笑んで答えた。
「勉強するわ、お父さん」
「そうするんだぞ」
「タロ、怖がることないからね」
 華奈子はそのタロに笑って話した。
「あたし達タロに悪いことしないよ」
「ワン?」
 タロは華奈子の笑顔と言葉に驚いた顔になった、そして。
 華奈子がしゃがんで手を出すと逃げ出した、だが数日経つと。
 タロもライゾウも家に馴染み家族に馴染んだ、そうして華奈子と美奈子にもだった。
 懐いてきた、二人がご飯を出すと尻尾を左右にぱたぱたとさせた。ここでまた父が娘達に対して話した。 
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