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レーヴァティン

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第百七十二話 甲斐平定その十

「それはな」
「左様ですね」
「人の心の救いになります」
「実際神仏もそうした目的で動いていますし」
「そのことはいいことですね」
「そうだ、だがそれを利用してだ」
 教えをというのだ。
「私腹を肥やし欲を貪り野心を見たそうとするなら」
「それならばですね」
「許すことは出来ないですね」
「上様としても」
「そうだ、だから出来るだけ生まれない様にな」
 今の時点でというのだ。
「気をつけそしてだ」
「生まれたならですね」
「その時は容赦しない」
「左様ですね」
「その様にな」
 まさにというのだ。
「俺はそうしていく、では今日もな」
「敵に我等の遊びを見せましょう」
「そうしていきましょうぞ」
「楽にして」
「是非な」
 こう言ってだった、英雄はこの日の朝と昼は武芸の鍛錬と学問に励んだ。そうして夜は女達と楽しんだが。
 報は次々と上がっていた、その報はというと。
 甲斐の城や砦のことだった、多くの城や砦が戦をするよりも使者が来るよりも先に降っていっていた。
 その状況を聞いてだ、英雄は言った。
「この報を喧伝する」
「そうしますね」
「その様にしますね」
「これからは」
「そうしますね」
「甲斐全土にな」
 この国全体にというのだ。
「そうする、そしてな」
「甲府城にもですね」
「あの城にも耳が入る様にする」
「その様にしますね」
「そうする、そうすれば余計にな」
 甲斐の城や砦が次々に自ら降っていっていることが知れ渡ればというのだ、甲斐全土それに甲府城にというのだ。
「余計にだ」
「甲斐で降る城や砦が増え」
「そして甲府城もですね」
「やがては」
「降る」
 そうなるというのだ。
「だからな」
「ここはですね」
「是非ですね」
「話を広めますね」
「そうしますね」
「僅かな者が信じずともだ」
 それでもというのだ。
「多くの者が信じる」
「しかも尾ひれがつく」
「それも狙いですね」
「それが余計に我々の強さを喧伝することになり」
「そして相手の士気を衰えさせる」
「そうした効果があるので」
「だからですね」
「今回もですね」
 幕臣達も述べた。
「その様にしていきますね」
「城や砦が降っていることを喧伝する」
「そうしますね」
「俺達に都合のいい噂になるなら」
 それならというのだ。
「流せばいい」
「ですね」
「そうした風になる噂は流す」
「そうすべきですね」
「事実でもな、ただ相手にとってその噂は恐ろしいものになっている」
 英雄は相手の側に立っても話した。 
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