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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百八十六話 色鉛筆その二

「わからないのよ、私」
「あの画家の絵は」
「何が何かね」
「あれかな、落書きとか」
「最初それ見て思ったから」
 その様にというのだ。
「子供の落書きかって」
「何がいいのかって」
「わからなくて」
「今もなんだ」
「どうもね」 
 首を傾げさせての言葉だった。
「私にとっては」
「芸術ってそういうのあるよね」
「ピカソだってそうよね」
「ピカソはもっとだよね」
 もうそれこそだ。
「もう何が何かね」
「わからないわよね」
「目の場所がおかしかったりするから」
 そして形もだ。
「もう何が何か」
「わからないわよね」
「最初の画風は違うけれどね」 
 ちゃんとした絵も描いていた、その頃の自画像はかなり写実的だ。青の時代という頃の絵にしてもだ。
「それがね」
「ゲルニカとかね」
「あれはナチスの空爆を批判したものだけれど」
 そのゲルニカの街に対してのものをだ。
「もうね」
「わからないわよね」
「うん、感覚だよね」
「センスね」
「もうそれでね」
 これの問題でだ。
「素晴らしいと感じるかわからないと感じるか」
「それはその人の感覚次第ね」
「センスの有無じゃなくて」
 こと芸術のことはだ。
「どういったセンスか」
「それ次第ってことね」
「音楽だってロックが好きな人がいれば演歌が好きな人がいるし」
 音楽でもそうだ。
「それでね」
「絵もなのね」
「いい悪いがあるよ」
 人によってだ。
「漫画の絵だってそうだし」
「ああ、漫画ね」
「好きな絵、嫌いな絵ってあるから」
「そうね」
「まあ上手下手もあるけれど」
「それを言うと」
「そうだよね、まあ例外もあるよ」
 その例外は何かというと。
「下書きとか」
「それ載せることは」
「もうね」
 それこそだ。
「漫画家として論外だと思うけれど」
「それやった人いるわね」
「いるよ、絶対にやったらいけないことだけれど」
 完成させた原稿を掲載させる、それが漫画家としての絶対条件だと思う。これは職業倫理の問題だろう。
「当然叩かれたよ」
「それはね」
「それで芸術も上手い下手はやっぱりあって」
 そしてだ。
「下書きというかもう芸術じゃない」
「そんなのもあるわね」
「うん、前衛芸術と言えば何でも通じるか」
「違うわね」
「誹謗中傷はね」
 事故や個人への悪意あるそれはだ。 
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