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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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蛇姫たちのハロウィン

 
前書き
皆さんすみませんm(__)m
FAIRYTALE CITY HEROの構成が思い付かず諦めて以前からやるやると言っていたハロウィンネタをやっていきます。最近時間がなくて構想する時間もないので勘弁してくださいm(__)m 

 
ウェンディside

「「トリックオアトリート!!」」

ギルドに入った私とシェリアは声を高らかに張り上げます。その私たちを見ると、ギルドの人たちが一斉にこちらを向きます。

「おぉ、なかなか可愛らしいじゃないか」
「全然怖くねぇよ!!」
「キレんなよ」
「オオーン」

真っ先に私たちのところにやってきたのはリオンさん、トビーさん、ユウカさん。他の皆さんも彼らに続くようにこちらへとやってきます。

「どう!!似合ってるでしょ!!」
「うぅ・・・恥ずかしい・・・」

その場でクルッと回ってみせるシェリアに対し、私は恥ずかしくて赤面しています。その理由は単純、彼女とお揃いで着ているウサミミのミニスカ衣装が普段着と違いすぎて慣れないからです。

「大丈夫だよウェンディ!!すっごい可愛いよ!!」
「そういう問題じゃないんだよ・・・」

黒色のウサギさんのような感じのシェリアは私を抱き締めながらそんなことを言ってきます。私は白うさぎになっているんですが、いくらお揃いでもこの格好は恥ずかしすぎます・・・

「私たちも着てみたのよ」
「じゃ~ん!!似合ってる~?」

いまだに慣れない私の後ろから現れたのは、人型の状態で魔女に扮しているシャルルとセシリー。彼女たちもノリノリなようで、みんなの注目が集まると可愛らしいポーズを決めています。

「うんうん!!似合ってるよ!!二人とも!!」
「あんたもね」
「可愛いよ~」

シェリアは得意気な二人を見て満足そうに頷いている。それを受けてシャルルとセシリーも嬉しそうに返答していた。
ところで、なぜ私たちがこんな格好をしているかというと・・・

「ほら、ハッピーハロウィン」

私たちにオレンジ色の袋を一人一人手渡すリオンさん。そう、今日はハロウィン!!だから私たちはそれぞれ仮装をして、お菓子を皆さんからもらって回っているんです。

「これは俺たちから」
「オオーン」

ユウカさんたちもお菓子を準備していてくれたらしく、私たちは喜びながらそれを受け取ります。

「わ~い!!お菓子がいっぱいだ~!!」
「ありがとうございます!!皆さん!!」

セシリーと私は抱えきれないほどのたくさんのお菓子に笑顔が止まりません。でも・・・

「えぇ、リオンのお菓子、何これ?」

すでに袋を開けて中身を確認していたシェリアの不服そうな顔。彼女はリオンさんがくれたお菓子の袋から一つの棒のようなものを取り出しました。

「東洋のお菓子で"ふ菓子"というらしい。食べたことはないが」
「「「「「食べたことないのかよ!!」」」」」

キョトンとした顔で答えるリオンさんに皆さんからの突っ込みが入ります。それを聞いた私たちは苦笑いするしかありません。

「トリックオアトリート!!」

そんなお話をしていたところに勢いよく入ってくる小さな影。その声で誰だかわかったので、振り返ると・・・

「きゃああああ!!」

思わず悲鳴をあげてしまいました。

「何!?どうしたの!?」
「どうしたの!?ウェンディ!!」
「急に大きな声出して~」

私の声にびっくりした皆さんもそちらへと顔を向けます。その瞬間、皆さんも入口にいる小さな存在に顔を真っ白にしていました。

「あれ?皆さんどうしたんでありますか?」

私たちが恐怖していた理由・・・それは扉の前に真っ白な着物に顔から血の汗を垂れ流している、東洋でいう幽霊がいたからです。

「その声・・・サクラか?」
「はい!!そうであります!!」

リオンさんの問いに嬉々として答えるサクラ。声は確かにサクラなんですけど、髪も長くなっており、見た目はお話に聞く幽霊と見分けがつきません。そのあまりの怖さに私はシェリアに抱きついて体を震わせていました。

「それはさすがにやりすぎだろ・・・」
「オオーン」
「呪われそう・・・」
「えぇ!?そんなにでありますか!?」

皆さんもかなり怖いらしく声が震えているのがわかります。ただ、サクラはそんな気は全然なかったらしく、首をかしげていました。

「そんなことより!!トリックオアトリートです!!お菓子くれなきゃいたずらしますよ!!」

一番年少なだけあって、きっとこの日を楽しみにしていたんだと目を見るとわかります。でも、ここまで怖がらせられると、普通にお菓子をあげるのが悔しいのか、皆さんお菓子をあげようとしません。

「サクラはどんないたずらをするんだ?」

すると、リオンさんがニヤリと笑みを浮かべて彼女に問いかけます。きっとお菓子をもらえるのが当たり前だから、いたずらすることなんか何も考えていないのだろうと、ちょっとした意地悪を仕掛けているようです。それだけあの仮装に彼も驚かされたということなんですね。

「う~んと、う~んと・・・」

考えていた通り、いたずらの内容を考えていなかったサクラはうんうん唸りながら考えています。

「あ!!」

しばらくすると、どうやら何か思い付いたらしく、手をポンと叩きます。そして彼女の口から発せられたのは・・・

「耳元でリオンさんがいやがりそうなことを囁きます!!」

なんだか腹黒さが滲み出ているいたずらというよりも嫌がらせに近い行為でした。

「ほお、どんなことを囁くんだ?」
「耳を貸してください」

面白そうだと思ったリオンさんがしゃがんでサクラに耳を預ける。サクラは周りの人に聞こえないように彼に何かを言っていますが、次第にリオンさんの顔が楽しんでいたものから徐々に変わっていました。

「もう・・・いい!!俺が悪かった!!」
「えぇ!?まだいたずらは終わってないですよ!!」

どんな口撃をされたのかはわかりませんが、いつもの凛々しい彼の姿はそこにはありません。まるで見たこともないような強い相手を目の前にしているような、恐怖とも絶望とも言えないような表情に私たちは困惑するしかありません。

「なんて言ったの?サクラ」

彼女がどんなことを囁いていたのか気になったシェリアが聞きに行きます。すると、サクラは子供がするとは思えないような悪い顔をしていました。

「ジュビアさんはリオンを何とも思ってません。ジュビアさんはリオンさんを見向きもしてません。リオンさんはジュビアさんに嫌わーーー」
「もうやめてくれ!!」

嬉々としてシェリアの問いに答えるサクラでしたが、みんなに聞こえるように答えたため、再びダメージを受けたリオンさんは崩れ落ちていました。その姿に私たちは苦笑い・・・ただ、サクラのはイタズラというより精神攻撃のような気が・・・

「トビーさんへのいたずらはその首の靴下引きちぎります!!」
「オオーン!!こんなところにあったのか!!」
「ユウカさんは眉毛全剃りします!!」
「俺のアイデンティティ!!」

イタズラというよりも嫌がらせに近いサクラのトリックに皆さん大急ぎでお菓子を渡していきます。肝心のサクラはというと、手元いっぱいになっていくお菓子を見てすごく嬉しそうな笑顔を浮かべています。

「シェリアさん!!ウェンディさん!!お菓子いっぱいもらいましたよ!!」
「うんうん、よかったね、サクラ」
「これでいっぱい食べれるね!!」

彼女の矛先が私たちに向かないように穏やかに、そして慎重に彼女を撫で回します。その顔が子供っぽいというか、どこか犬っぽいというかで、少し癒されてきました。

「あれ?師匠とレオンさんはどこに行ったんですか?」

すると、彼女は辺りを見回しながら姿の見えないシリルとレオンを探しています。

「あの二人ならラウルも連れてどこかに行ったわよ」
「朝イチだったからどこに行くのか聞きそびれたんだ~」

二人は私たちが仮装を始めるよりも早く家を飛び出していきました。それも、私たちの目から見ても愛らしい仮装をして。

「えぇ!?せっかく師匠からお菓子恵んでもらおうと思ったのに!!」
「サクラ、一応シリルもまだ子供だからね」

シリルはあげる側というよりも年齢的にはまだもらう側。ただ、サクラからすればそれはどうでもいいことのようで、彼女はもらえる予定だったお菓子が減ってしまったことに憤慨していました。

「これはシリル先輩にもイタズラしなきゃダメですね!!」
「あはは、それは楽しそうだね」

何やら不穏な空気を醸し出しているサクラと、楽しそうにしているシェリア。ただ、彼女は一体シリルに何を仕掛けようとしているのか気になった私は、その中身を聞いてみることにしました。

「サクラはシリルにどんなイタズラするの?」

それを聞いた途端、彼女は嬉しそうにニヤリと微笑みました。それは何やら悪党のようなものにも見えたため、一瞬背筋に冷たいものが流れたのを感じます。

「ミニスカのゴスロリ姿にしてソフィアさんに送りつけます!!」
「それは絶対やめてぇ!!」

ゴスロリシリルは見たいけど、ソフィアに送りつけられたらもう二度と帰ってこないような気がする。向こうにはカグラさんもいるし、一緒になって弄ばれそう・・・

「いえ!!絶対やります!!まずはシリル先輩を見つけなければ!!」
「ちょっと!!待ってサクラァ!!」

猛スピードでギルドから飛び出していくサクラの後を追いかける私。その姿をギルドの人たちは見ているだけで、全然手を貸してはくれないのでした。
















シリルside

ゾワッ

「ん?どうしたの?シリル」
「いや、なんか嫌な予感がしたんだけど・・・」

目的地へと向かう中、ふと悪寒がして体を擦る。今日はハロウィン・・・確かに冬は近付いてきているけど、急に寒くなるなんていくらなんでもありえない。

「バカなことしてないで早く行くぞ」
「そうそう!!お菓子が待ってるよ!!」

先を行くレオンとラウルはウキウキとした足取りで歩いていく。なんかあとでこの身に何か不幸が襲ってきそうな気がするけど、今はそんなことを気にする必要もないか。

「それよりもお菓子だもんね!!」

俺たち三人はそれぞれで仮装を行いある場所へと向かっている。ラウルに持ってもらって空を飛んでいけばすぐなんだけど、残念ながら彼は一人ずつしか持てないため、こうやって歩いていくしかないのだ。

「お!!あった!!」
「やっと見えてきた!!」

森の奥深くまで来ると、ようやく目的の建物が見えてくる。それによりレオンもテンションが上がってきているようで、少しずつ歩く速度が上がっていく。

「でも大丈夫かな?怒られないかな?」

レオンに続いて俺も速度を上げると、隣にラウルが不安そうな顔をしながらついてきた。

「大丈夫大丈夫!!その時はみんなで怒られようよ!!」
「そうそう!!」
「それは大丈夫って言わないんじゃないかな!?」

俺とレオンは全然彼の慌てていることを気にすることはしない。俺たちもうっすらわかってはいるのだから。たぶん怒られちゃうんだろうなってことくらいは。

「せーので行くよ?」
「一緒にね」
「言わないとかなしね?」

扉の前まで来て三人で示し合わせる。普段お世話になっている蛇姫の鱗(ラミアスケイル)よりもずっと大きい建物を前にして、三人でこれからやることをしっかりと確認し、裏切り者が出ないように釘を指しておく。
そして俺たちは扉を勢いよく開いた。

「「「トリックアンドトリート!!」」」

三人で大きな声で建物に入っていく。すると、奥の扉からよく見知った人がこちらへとやってきた。

「ハハッ、レオン、ラウル、シリル殿、それではお菓子といたずらになってしまうぞ」

長く伸びた髭を擦りながらやってきたのはジュラさん。そう、俺たちがやってきたのは彼が今所属している評議院なのだ。

「ムッ・・・それは何の仮装だ?」
「ガチャピーーー」
「それ以上はいけない」

緑色の恐竜のような着ぐるみを着ているレオン。その隣にいるラウルは赤色の毛むくじゃらの着ぐるみを着ており、俺は真っ白な布を被って東洋で言う幽霊に扮している。

「どれどれ・・・じゃあお菓子をーーー」
「永久凍土」
「ごはっ!!」

ハロウィンということで事前に用意してくれていたお菓子をくれようとしたジュラさん。しかし、そんな彼のお腹に勢いよく拳を叩き込むレオン。その大きな音で周囲の警備をしていた拘束検束部隊の皆さんが何事かと慌ててこちらへとやってきました。

「お菓子ももらいます!!」
「いたずらもします!!」
「両方必須です!!」
「それただの強盗じゃねぇか!!」

ハロウィンの根本を壊す宣言をした俺たちにジュラさんを懐抱していた一人が声を荒げる。えぇ、間違いないです。でもお菓子も欲しいし最近戦う機会も少なくなってるから、体も動かしたいんだよね。

「取り押さえろ!!」
「子供だからと油断するな!!」
「全力でかかれ!!」

俺たちがただお菓子をもらいに来ただけじゃないことを理解した途端、彼らは容赦なく襲い掛かってくるが、彼ら程度の攻撃が当たるはずもなく、次から次へとーーー

「おい」
「「「!?」」」

凪払っていると、突然俺とレオンの頭を後ろから掴む人物が現れ、持ち上げられる。

「お前ら何をしてくれとるんじゃ?おい」
「ウルフヘイム様!!」

人のそれとは思えないほどの大きな体と歪な体。それが接収(テイクオーバー)だと気付くのに時間はかからなかったが、頭を掴まれて宙吊り状態の俺たちには何をすることもできない。

「お前らどうなるか・・・覚悟はできてるんだろうな?おい」
「「「すみませんでしたぁぁ!!」」」

お菓子ももらえて暴れることもできて一石二鳥でハロウィン最高!!とか思ってたのに、まさかの強そうな人に掴まってしまい説教をされるという結末。ただ、一通り怒られた後にちゃんとお菓子はくれたので、食いしん坊のレオンは気落ちすることなく帰路へと付いていた。

「ひどい目に遭ったよ・・・」
「もうレオンは信じない・・・」
「いやいや、お前らもノリノリだったじゃんか」

レオンが「お菓子ももらってついでに暴れてこようぜ」と提案してきたのが悪いんだ。俺たちはそれに仕方なく乗っかったんだから悪くない!!ということにしておいてもらってもいいですか?

「師匠!!」
「あ!!ダメだってサクラ!!」

ようやくギルドまで戻ってきたところで、扉の前にいつからだろうか、待ち構えていた小さな影がこちらに向かってダッシュしてくる。その手には、真っ黒のロリータファッションを持って。

「え!?何々!?」
「師匠がお菓子くれなかったからイタズラします!!」
「え!?俺が対象なの!?」

真っ白な衣服に身を包んだサクラはメイクも相まってなのか、とてつもなく恐ろしい何かに見えて仕方がない。おまけに、やろうとしていることも悪魔級に恐ろしいため、俺は元来た道を帰るように走り出す。

「待ってください!!ソフィアさんのプレゼントになりましょうよぉ!!」
「むしろそれで待つわけないだろ!?」
「ダメだってばサクラ!!」

イタズラとかの度合いを越しているサクラから懸命に逃げる俺とそれを追いかけるウェンディ。それを遠目で見ているレオンとラウル、そしてシェリアは大笑いしていた。

「いやぁ、愛だね」
「楽しそうで何よりだ」
「本当だね」
「見てないで助けてよ!!」

結局、日付が変わるまで続いた追いかけっこは何とか逃げ切ることに成功し、遊び付かれてしまったサクラを抱えてギルドへと帰った俺たち。ただ、帰った頃にはレオンにお菓子を全て食べられてしまっており、二度とこいつとはハロウィンイベントをやらないと胸に誓ったのだった。


 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
なんかもっとしっかりしたのを考えてたはずだったのに、忙しすぎて全て忘れてしまってました・・・
そして全くHERO'Sもオリジナルも思い付かないため、またクリスマスまで間が空くかもしれません・・・ご容赦くださいm(__)m 
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