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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百八十五話 色鉛筆その十四

「デートについては」
「もう義和としてはなの」
「どうでもいいかな、けれどね」
「けれど?」
「かく言う僕も女の子と一緒にいられたら」
 クリスマスにだ。
「悪いとはね」
「やっぱり思わないのね」
「うん、その場合はね」
 僕も男でだ。
「嬉しくても」
「それに越したことはなくても」
「強くは思わないね」
「じゃあ義和がクリスマスで一番の目的は何?」
「今は飲んで食べることで」 
 ワイン、そしてローストチキンとケーキだ。もっと言えばローストチキンがローストターキーでもいい。
「昔はプレセントだったよ」
「サンタさんからの」
「実際は親父からだったけれどね」
 この辺りは誰でも同じだと思う。
「親父がこっそりとね」
「寝てる時に枕元に置いたのね」
「そうしてくれるね」
 そのプレゼントがだ。
「一番の楽しみだったよ」
「そうだったのね、私もね」
「香織さんはどうだったのかな」
「贈りものがね」
 まさにだ。
「一番嬉しかったわ」
「やっぱりそうだよね」
「今はワインだけれど」
「僕と一緒だね」
「今年は誰かにあげることが」
 このことがというのだ。
「楽しみよ」
「従妹の娘と」
「あの娘とね」
 ここでだった、香織さんは。
 言葉を止めた、そうしてあらためて言ってきた。
「それじゃあ行きましょう」
「あれっ、従妹の娘と」
「何でもないわ、もうすぐ文房具屋さんよ」
 お話をしているうちにそこまで来ていた、クリスマス一色の百貨店の中は賑やかでその中にいても楽しい。
「じゃあね」
「今からだね」
「色鉛筆買いましょう」
 プレゼントにするそれをというのだ。
「これからね」
「それじゃあね」
「もうね」
 香織さんは目を光らせてこうも言った。
「とびきりのを買うわ」
「十二色じゃないね」
「あんなの小さいわよ」
 笑っての返事だった。
「あの娘のプレゼントにしたら」
「じゃあ何色かな」
「思い切って」
 それでというのだ。
「四十八色よ」
「もう一番多いのだね」
「金色も銀色もあるね」
「それで他の色もだね」
「もう色鉛筆の色が大抵ある」
 そうしたというのだ。
「色鉛筆買うわ。お金もあるし」
「あるんだ」
「実家からの仕送り今月多かったの」
「そうだったんだ」
「元々八条荘にいたらお金使わないし」
 それが何故かも僕に話してくれた。
「食べることと飲むことに困らないから」
「そっちでお金使わないからだね」
「ええ、お洗濯にもお風呂にもお金かからないし」
「洗剤いつもあるしね」
 八条荘の洗濯室にはいつも沢山置いてある、そちらのことも畑中さん達がしっかりとしていてくれているのだ。
「だからね」
「お金かからないんだ」
「服は実家から送ってくれることが多いし」
「衣食住にお金かからなくて」
「だからね」 
 それでというのだ。
「お金余るの」
「後は自分に使えるんだね」
「しかも本やゲームは書斎に沢山あるし、CDもね」
 八条荘の書斎は本だけでなくゲームやCDも多く置いてある、それも最新のものも結構置いてある。
「だからそっちでもお金使わないし」
「余って」
「それでなのよ」
「香織さんの分だけじゃなくて」
「従妹の娘にもね」
「いいの買ってあげられるんだ」
「そう、だからね」
 僕に笑顔で言ってきた。
「是非ね」
「業かなプレゼントをだね」
「買うわ」
 その四十八色の色鉛筆をというのだ、こう話してだった。
 香織さんは文房具店に入った、僕もその香織さんについて中に入った。


第二百八十五話   完


                2020・5・23 
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