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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百八十五話 色鉛筆その十

「その人生をなぞる様に生きて」
「自殺したのね」
「死に方までね」
 心中と服毒自殺の違いはあってもだ。
「なぞったのかもね」
「とにかく芥川を見ていた人で」
「芥川も権威になっていたからね」
「そうした権威は認めていたのね」
「そうだったよ、どんな権威も権力も否定していたかというと」
 このことはだ。
「違っていたと思うよ」
「そうした人ね」
「それでね」
 そのうえでだ。
「志賀直哉は否定していたんだ」
「それで終戦直後の権威や権力も」
「急にあの戦争は間違ったいたとかいうね」
「何か無頼派っていっても」
「それでもだね」
「全部を否定する訳じゃないのね」
「そうだね、坂口安吾なんかはね」
 無頼派の中でもこの人はだ。
「もう何でも否定する感じだったけれど」
「権威とか権力を」
「それで自棄っぱちになった感じで」
 僕が思うにだ。
「生きていて書いていたけれど」
「この人も無頼よね」
「無頼でもね」
 その中でもだ。
「太宰とは違うね」
「認めるものがなくて」
「織田作之助だと大阪があったけれど」
 大阪に生まれ大阪を書いた人でだ。
「坂口安吾はね」
「もう何でもなのね」
「否定していて」
 それでだ。
「もうね」
「無頼派の人達の中でも」
「かなり破滅的な人生を送っていたよ、作風もね」
 作家はこのことが何といっても大事だ、肝心のそれもだ。
「破滅的だったからね」
「そちらもなのね」
「白痴とかね」
 戦争の空襲の混乱の中を題名通りの女性の人を連れて逃げ回る、そうした作品だ。この人の代表作の一つだ。
「堕落論とか」
「何でも堕落していくっていう」
「人はね、そうした人で」
「何か好き嫌いの分かれる人みたいね」
「無頼派の中でも特にそうかもね」
 太宰や織田作之助略して織田作よりもだ。
「壇一雄よりも」
「あの女優さんのお父さんの」
「この人よりもね」
 この人も愛人がいたりその大騒動ばかりの家庭のことを書いたりしていた。
「さらにね」
「破天荒な人だったのね」
「それで麻薬もしていたから」
「余計に破天荒だったの」
「そう、それでね」
 そのうえでだ。
「最後は脳卒中か何かで急死しているよ」
「そうした生活が祟ったのかしら」
「もう破天荒に飲んで麻薬やって遊んで」
 そうしてだ。
「お子さん出来て穏やかになったけれど」
「そうした生活を送っていたから」
「身体壊していたかもね」 
 麻薬は後も残ると聞いたことがある。
「だからね」
「それでなのね」
「そうなったのかもね」
「お子さん出来てすぐだったの」
「まだ小さかったけれど」
 四十歳を過ぎて出来た子供で随分可愛がっていたらしい。 
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