| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

新オズのつぎはぎ娘

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五幕その九

「ご飯の時間決まってないよ」
「いつも食べてるわね、そういえば」
「うん、草原の生きものはね」
 バイソンはつぎはぎ娘の言葉に応えました。
「食べられる時間にね」
「いつも食べてるわね」
「それで僕達もね」
「いつも食べてるのね」
「そうなんだ、いつも沢山食べないと」
「満足しないのね」
「元気が出ないんだ」 
 そうだというのです。
「これがね」
「そうなのね」
「だから今も食べているんだ」
 見れば周りのバイソン達は皆草を食べています、その様子はのどかで見ていて微笑ましいまでです。
「こうしてね」
「沢山食べて」
「そう、そして」
 そのうえでというのです。
「僕はいつもお腹一杯だよ」
「それで元気があるのね」
「そうだよ、ただね」
「ただ?」
「僕達はここでのどかに暮らしているから」
 それっでというのです。
「全力を出すことはね」
「ないのね」
「そう、それでね」
 そのうえでというのです。
「全速で走ったり突進とか」
「そうしたことはしないの」
「全くね」
「そこはオズの国ね」
「ここでずっとのどかにご飯を食べて皆と遊んで寝て」
 そうして暮らしてというのです。
「不自由していないよ」
「それは何よりね、ただね」
 こうも言うつぎはぎ娘でした。
「あんた達を見ていると背中に乗りたくなったわ」
「不意にだね」
「そう、あたしは気まぐれでしょ」
 自分から言います。
「それでね」
「僕達の背中になんだ」
「そこに乗ってね」
 そうしてというのです。
「楽しみたいけれど」
「それならそうしていいよ」
 バイソンはつぎはぎ娘の問いにあっさりと答えました。
「それならね」
「そうなのね」
「ええ、じゃあね」
「これからだね」
「乗ってみるわ、ただね」 
「ただ?」
「あんたは小さいわね」
 こうそのバイソンに言いました。
「あたしが乗るには」
「重さはともかくだね」
「ちょっとね」
「そうだね、じゃあお父さんかお母さんの背中に乗る?」
「そうさせてもらうわ」
「君達なら丁度いいかな」
 バイソンはジョージ達を見て言いました。
「僕に乗るには」
「いいの?乗っても」
「私達がそうしても」
「貴方から言ってきたけれど」
「そうしてもいいんだ」
「僕達が乗っても」
「うん、いいよ」
 バイソンの返事は何でもないというものでした。
「別にね」
「君がそう言うなら」
 それならとです、ジョージも応えました。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧