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ドリトル先生と琵琶湖の鯰

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第四幕その七

「問題だよ、日本全体でね」
「問題になっているんだね」
「外来種が増えて在来種が減っている」
「そうして日本の生態系が乱れている」
「そのことが問題なんだね」
「そうだよ、本当にタニシにね」 
 外来種のそれにというのです。
「ブラックバスやブルーギルもね」
「どうするか」
「そのことが問題だね」
「これからは」
「一体どう解決するか」
「そのことを考えていかないとね」
 先生は難しいお顔になって言いました。
 そしてです、こうも言うのでした。
「これが山もだからね」
「日本は物凄く山が多いけれど」
「そちらもだね」
「山の生態系も乱れていて」
「問題になっているのね」
「そうだよ、こちらは外来種の問題もあるけれど」
 それに加えてとです、先生は琵琶湖の周りを囲んでいる山々を見回しつつ皆にお話しました、今は比叡山の方を見ています。
「山の方はもう一つ問題があるんだ」
「というと?」
「どんな問題なの?」
「もう一つっていうと」
「それは一体」
「僕は依然奈良県と和歌山県の境でニホンオオカミを発見したね」
 そしてというのです。
「そうだったね」
「あっ、ニホンオオカミずっと絶滅したって言われてて」
「先生が発見して生き残ったことがわかったね」
「そうだったね」
「そういえばね」
「かつてニホンオオカミは日本全土の山にいたんだ」
 そうだったというのです。
「そうして山の鹿や猪を食べていたんだ」
「ああ、それでなんだ」
「そうして田畑を荒らす獣を食べてね」
「獣害を防いでいたんだ」
「そうだったのね」
「そう、けれど明治から彼等がいなくなって」 
 数を大きく減らしてというのです。
「その結果ね」
「鹿や猪が増えて」
「生態系が乱れて」
「そして食べものがなくなって人里に降りてきて」
「田畑を荒らす様になったんだ」
「狼がそれを防いでくれていたことは昔から知られていて」
 それでというのです。
「狼は『おおかみ』と読むね」
「うん、日本ではね」
「中国語読みでは『ろう』でね」
「日本では『おおかみ』で」
「ちなみに英語ではアルファベットで『ウルフ』だね」
「そうなっているけれど」
 それでもというのです。
「何故日本ではそう読むのか」
「『おおかみ』とだね」
「そう読むのか」
「それはどうしてか」
「それは大きな神だったからだよ」
 狼はというのです。
「素晴らしい、偉大な神様というね」
「田畑を荒らす獣を食べてくれるから」
「それでなんだね」
「先生前にもこうしたことお話してくれたかな」
「そういえば」
「そうだったかな」
「僕もそんな気がするよ、日本は農耕文化で」
 このこともお話するのでした。
「本当に田畑が大事だね」
「牧場とかずっとなかったし」
「家畜も農業の為のもので」
「狼に襲われないし」
「そもそも狼は人を襲わないよ」 
 先生はこのこともお話しました。 
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