レーヴァティン
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第百七十話 甲斐攻めその三
「山地を拓いてです」
「田にすることが出来ないでいるな」
「左様です、そして中央の川も」
これもというのだ。
「堤を築こうとしていますが」
「そこでも銭はないか」
「甲斐一国では貧しく」
その為にというのだ。
「その為に」
「そうですか、では」
「それではですね」
「甲斐を手中に収めたならば」
「幕府の力を使ってですね」
「銭にな」
それに加えてというのだ。
「人もやってだ」
「山に田を拓き」
「川に堤を築いてな」
そしてというのだ。
「治水を整え」
「田もですね」
「これまでより遥かに多くもうけ」
英雄は酒米で造ったそれを飲みつつ話した。
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「甲斐の誰もが米も食える様にする」
「ほうとうや芋だけでなく」
「やはりこの浮島は米だ」
主食はこれだというのだ。
「これが誰も食える様になるとな」
「違いますね」
「だからそうしたい」
「米でありますな」
峰夫も米について述べた。
「やはり」
「この浮島はな」
「だからでありますな」
「甲斐もだ、そしてだ」
「他の国もでありますな」
峰夫も飲みつつ英雄に話した。
「そうでありますな」
「出来るだけな」
「米を多く作れる様にしますな」
「そうしていく、薩摩や大隅では苦戦しているが」
これは桜島が常に吐き出す火山灰のせいである、この火山の噴火が農業にも影響を及ぼしているのだ。
「しかしな」
「それでもでありますな」
「行っていく」
「そして甲斐でも」
「同じだ、米には水が必要だ」
他の作物よりもだ。
「水田ならな」
「陸稲もあるっちゃが」
愛実はどうかという顔で述べた。
「それでもっちゃな」
「やはり米はな」
「水田の方がいいっちゃな」
「そうだ」
どうしてもというのだ。
「だからだ」
「それでうち等も水田っちゃな」
「それを主に増やしていっている」
「そうっちゃな」
「これまでもこれからもな」
「そういうことっちゃな」
「北陸でもそうする」
今度はほうとうを食べて愛実に話した。
「当然な」
「わかったっちゃよ」
「米だ」
「農業の基本は」
「それも水稲だ」
「やっぱり軸はそれっちゃな」
「陸稲があってもね」
こちらも米にしてもというのだ。
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