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レーヴァティン

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第百六十九話 異形の武家その七

「その人もたい」
「一匹の蚊にな」
「倒されたとよ」
「そのことも思うとな」
「虫は実に恐ろしかとよ」
「特に蚊はな」
「全くたい」
 香織は強い声で述べた。
「だから池や田、井戸にはたいな」
「堀にもな」
「魚を飼う様にしているたいな」
「それでボウフラを食わせる」
 蚊の幼虫をというのだ。
「水溜まりも減らしていってな」
「そうしていくたいな」
「そうすれば蚊も減る」
 幼虫であるボウフラが減ればというのだ。
「そうなる、そしてだ」
「さらにたいな」
「蚊自体もな」
「難を避けていくたいな」
「そうする、蚊帳もな」
 これもというのだ。
「民に広めていっていく」
「蚊取り線香があればいいですね」
 ここでこう言ったのは峰夫だった。
「そちらも」
「あれもだな」
「あれがあるとであります」
 蚊取り線香、それがというのだ。
「実にであります」
「蚊を退治出来てな」
「いいであります」
「この世界に入れてみるか」
 英雄は強い声で述べた。
「科学に魔術、錬丹術があればな」
「造れるでござるな」
「そして大いに作らせてな」
「広めれば」
「それだけ蚊の害が減る」
「ではでありますな」
「そちらも広めるか」
 蚊取り線香もというのだ。
「是非な」
「それでは」
「この世界に持ち込む」 
 英雄は即座に決断を下した、
「これからな」
「それでは」
「そうしよう」
 こう話してだった、英雄は蚊取り線香を入れることも決めた。幸いそれは文献にあったのですぐに造って世に広めることが出来た。
 そうした話をしつつだ、英雄は海津のことを野田家に任せて自分達は諏訪の方に向かった。その途中に峰夫から海津での野田家のことを聞いた。
「早速か」
「はい、あの地に入り」
「城の縄張りをはじめたか」
「そうしたであります」
「そして築城に入るか」
「そしてその縄張りがであります」
 海津城のそれがというのだ。
「実に変わったものだとか」
「普通の城ではないか」
「様々な細工がしてあり」
 そしてというのだ。
「さながら忍者屋敷だとか」
「野田家は忍の家でもあるからだな」
「そうした細工も多く入れてある」
 その様にというのだ。
「してあるとのことであります」
「そうなのか」
「ですから」
 それでというのだ。
「かなりであります」
「攻められてもか」
「容易に攻め落とせそうにないとか」
「そうか、では縄張りと海津の守りを任せてよかったか」
「そうかと」
「海津は信濃の守りでありだ」
 それに加えてというのだ。
「さらにだ」
「越後攻めの足掛かりにもなるであります」
「だからだ」
 海津、この地はというのだ。 
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