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ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)

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猛攻アルバイター

???

荒廃した荒野の中に密かに建造された研究施設の中にある一室で、アイゾックは、ある人物に報告をしていた。

「報告します。早くも調査員が1人・・・・・・」

「わかっている。例のイレギュラーハンターに倒されたのだろう?未だにいつ造られたのかも分からないオールドロボットに勝てないのか・・・・・ましてや一緒にいるのは性能が低い筈のマーメイドタイプだというのに・・・・・・」

アイゾックの報告を聞いた青年型レプリロイドは表には出さなかったものの自分の製作したレプリロイドが敗れたことを忌々しく感じた。相手はたかが旧世代のロボットと元々戦闘向けではない女性型だというのに。

「アイゾックよ、しばらくあのハンターたちを監視してくれ。」

「はっ、仰せのままに。」

青年の指示にアイゾックは答える。

「それより、あの実験はどうだ?成果は出ているか?」

「全ては順調に、絶大な効果が出ております。99.98%の確率でレプリロイドを陥れています。いやはや、素晴らしい発明ですなぁ。しかし、ハイマックスを持ってすれば、今すぐにでも地球上に存在する全てのレプリロイドを抑える事が可能なはずです。現にあのイレギュラーハンターたちですら敵わなかったのですからな。」

アイゾックは、青年の言う『実験』の成果を称賛しながらも事を進めない彼にハイマックスを動かした方が手っ取り早いのではないかと遠回りに言う。青年も同じことを考えていたが不安要素が0.02%でもある限りは進めるわけにはいかないと決めていた。

「駄目だ、もうしばらく実験を行いたい。引き続きデータの収集に当たってくれ。」

「左様ですか。」

アイゾックは、少し残念そうに言いながらも特に文句を言う様子はない。作業を再開しようとすると青年はふと思い出したかのようにアイゾックを呼び止める。

「ところでお前の捜し物は見つかったか?恐らくこの世には存在しないと思うが・・・・・・・」

「いや、そんなはずはありません。私は見たのです・・・・・それに奴はあの程度のことで死ぬようなランクの低いレプリロイドではありません。」

青年に言う言葉に対してアイゾックは、表情をしかめて答える。この反応に青年は珍しそうに驚くがすぐに落ちついて言う。

「確かにエックスといい、あのマーメイドタイプも含めて確かにしぶとい奴らだからな。生きているかもしれないが・・・・・可能性は低いだろう。」

「必ずや見つけ出して参ります。」

「フン、僕にとってはどうでもいいことだ。お前の好きにすればいい。僕には『ゼロの本体』など必要ないからな。・・・・・・それにしてもアイゾック、前から気になっていたのだがお前のゼロに対する執着は、少しばかり異常ではないか?」

青年に指摘されてアイゾックは、一瞬ぎょっとする。

「い、いえ!?そ、そ、そのようなことは・・・・・・・・」

「?・・・・・まあいい。とにかく例の実験とイレギュラーハンターの動きを監視しておいてくれ。レプリフォースはおそらくしばらく動きそうにはないからな。」

「はっ。」

そう言うとアイゾックは部屋から出て行く。そして、監視カメラの届かない自分の部屋にたどり着くとそこではシェードマンが壁に寄りかかりながら来るのを待っていた。

「ご報告お疲れさまです。しかし、あの男も随分とシャレにならない代物を作ったもんですね。」

「フンッ。まあ、ちょうどいい暇つぶしにはなるわ。手頃でいい隠れ蓑として使えるんじゃからな。」

アイゾックは、先ほどの態度と打って変わって椅子に腰かけて話し出す。

「タイムマシンの製作状況はどこまで進んでおる?」

「そんなに早くはできませんよ。なにしろブラックボックスの部分はプロテクトが意図的にかけられていて解析にてこずっているのですから。現段階では20%出来上がっていること自体が上出来とでもいうべきですね。このペースではこの事件が終わっても完成しないぐらいですよ。」

「ぬう・・・・・・何とかできんものか・・・・・・困ったのう。」

アイゾックは首をひねりながら考えるがこれだけはどうにもならなかった。

「・・・・取り敢えず今は時間を稼ぐことが重要じゃ。お前は引き続き他の調査員の様子を監視、セカンズ、サーズ、セブンス全員でゼロの捜索を続行させろ。後、スラッシュマンは呼び戻しておけ。処分に失敗しおって、ワシがお灸をすえてやらねばな。」

「はいはい・・・・・・では、私も持ち場に戻りましょうかね・・・・・」

そう言うとシェードマンは翼をはばたかせてどこかへと姿を消して行った。

「さてと・・・・・・・ん?この反応は・・・・・・」























22世紀 とある旅行会社

「おはようございます、リング主任。」

「あぁ、おはよう。」

リングマンは、今日もいつものように会社に出勤して仕事に取り組んでいた。部下が書いてきた書類に目を通してある程度指摘した後に彼はコーヒーを飲みながら自分の仕事に取り掛かろうとしていた時だった。

「主任。」

「ん?」

受付からの呼びかけにリングマンは書類から目を放す。

「どうした?客と何かトラブルでも起こしたのか?」

「いいえ、主任にお客様です。」

「客?すまないが後にしてもらえないか聞いてくれ。この書類、明日までに向こうに回さなきゃいけないんだ・・・・・・」

「それが・・・・・・」

受付はひそひそとリングマンの耳元で話す。するとリングマンの表情は唖然としていた。

「それは本当か?」

「はい。」

「・・・・・・わかった。今、会いに行く。」

リングマンは書類を置いて面会室へと向かう。面会室では二人の客人がソファーに座って待っていた。

「久しぶりだね、リング警部。」

「その名はもう昔の話ですよ、長官。今の私はただの一般ロボットです。」

リングマンはかつての上司であるタイムパトロール長官と握手を交わす。隣にはキッドが座っている。

「突然の訪問で申し訳ない。」

「いいえ、まさか貴方がここを訪ねてくるとは思いませんでしたから。しかし、何故キッドまで・・・・・」

「実は君のことを呼び戻したいと言ったものでね。待機中の身のため私が同行の元で来たのだよ。」

「私を?お言葉ですが私は・・・・・・」

「君の気持がわからんわけでもない。ただね、今回は君だからこそ頼めることなんだよ。」

「ん?」

「キッド君、記録映像を。」

面会室の照明を消し、長官はある映像をリングマンに見せた。

それはタイムパトロール本部を襲撃したブラックゼロの映像と数日前に発見されたゼロの映像だった。

「そっくりですな。」

「あぁ、君はこれをどう思うかね?」

「・・・・・断言はできませんがおそらく兄弟機の可能性がありますね。確かに外見はよく似ていますが体色が違う上にダメージを受けているとはいえ同一人物だとは考えられない。」

長官の言葉に対してリングマンは自分の意見を述べるがその中で一つ隠していることがあった。それはブラックゼロの使用したバスターがかつては敵対し、後に共闘したりしたことがあるロボットにイメージが重なったことだ。

(奴のバスター・・・・・あれは明らかにロックマンのロックバスターの上位互換に見える。だが、Dr.ライトならあんな武装を他のロボットに取り付けるとは考えられない。だが、バスターの技術はこちらではあまり取り扱われないし、装備するなんてなおさらありえない。だとすれば・・・・・・)

「リング君、どうしたのかね?」

「え、えぇ・・・・いや、何でもありません。」

「回収された赤い方は病院でメモリーバンクから記録映像が今日中にこちらに届く。そこでなんだがリング君、君には申し訳ないんだが今回だけでいい。タイムパトロールの臨時隊員として戻って来てくれないか?」

「えっ!?」

長官の頼みにリングマンは驚きの表情を浮かべる。

「先ほども話したがあの黒いロボットのせいで我々タイムパトロールは復旧作業で人員を引き割けられないのが現状なんだ。会社の方には君を一時的にこちらに回してもらうように手配しておいた。」

「そ、そんな急に言われましても!?」

「リング先輩、頼むよ!今はあんたの力が必要なんだ!!」

「キッド。」

「俺はあのロボットに惨敗した。だが、負傷しているとはいえ赤いロボットが奴の仲間じゃねえって限らねえんだ。頼む、もう一度力を貸してくれ!!」

キッドはハットを外して頭を下げて頼み込む。それでもリングマンは戸惑っていた。

「以前話したはずです!私は・・・・・・・」

「権限は以前の君のままだ。それに仕事は飽くまでそのロボットの監視だ。いざというときは君の手で処分しても構わない。」

「ですが・・・・・私にそんなこと・・・・」

「かつての仲間である君だからこそ頼めることなんだ。この通りだ、どうか今一度私たちに力を貸してほしい。」

長官も頭を下げて頼み込む。リングマンはそれでもと言いかけたがかつての上司であり、恩のある長官の頼みを断るのは流石に罪悪感を感じた。

「・・・・・・・飽くまでも監視ですよ。私は、もう戦闘はしたくない。」

「戻って来てくれるかね?」

「これっきりです。今の私は家族もいますからね。ですから、家族にも危険が及ぶ可能性があったらこの件から下がらせてもらいます。」

「わかった。」

「先輩、流石だぜ!!」

キッドに手を握られながらリングマンはやれやれとため息をついた。

「ですが・・・・今の仕事は・・・・・・」

「それなら他の人に回すそうだ。」

「・・・・・帰る場所がなくなりそうな気がする・・・・・・」

リングマンは長官に連れられて早速本部の方へと向かうことになった。





























セントラルミュージアム

エックスとマーティがヤンマークを連れて本部へ戻っている頃、セントラルミュージアムにはどういうわけかアルバイターたちがあるレプリロイドをリンチにしていた。

「やい!貴様、いい加減に白状しろ!!」

「ひいぃ~ん!!」

ジャイロマンたちがリンチにしているレプリロイドは、グランド・スカラビッチというスカラベ型レプリロイドだ。自称「トレジャーハンターにして考古学者」と名乗るだけあって研究熱心なのだが、その行いが世間からは「遺跡荒らし」と呼ばれてしまい、イレギュラーハンターから指名手配されていた。その後ある者からの依頼でエックスやゼロが発掘されたという「禁断の地」に足を運び、当時まだ研究員だったエイリアたちに発見されてしまい処分されてしまったという過去の持ち主だ。

その彼がどういうわけかこのセントラルミュージアムのナイトメア調査員として派遣されていたため、アルバイターたちはゼロの無実を晴らすべく調査に来た。

結果はストーン・スカラベという特殊ストーン弾を転がして攻撃しようとしたところをグラビティーマンのグラビティーホールドで持ち上げられてしまい、その間にナパームマンのナパームボム、クリスタルマンのクリスタルアイ、逃げようとしたところをチャージマンのチャージタックルを諸に受けて袋叩きにされてしまったのだった。

「ゆ、許してくれ~!!わしはただ雇われただけなんじゃ~!!だからアイゾックのことは詳しく知らんし、ゼロの亡霊の事も知らんのじゃ!!」

スカラビッチはアルバイターたちの目の前でワイリーのような土下座をして命乞いをする。しかし、アルバイターたちの腹の虫は治まらなかった。

「往生際の悪い奴め!!なら、アイゾックの居場所を吐き出すまでハンターベースへ連行するまでだ!!」

「悪い奴は牢屋行きー。」

「そ、そんな殺生な!?」

「ならば言え!!お前たちの親玉のアイゾックはどこにいる!?居場所を教えないと・・・・・・」

ジャイロマンが聞こうとした瞬間、一同の目の前に数発の光弾が飛んでくる。

「!?皆避けろ!!」

アルバイターたちは一斉にスカラビッチから離れる。

「無念~~~~~!!!」

スカラビッチは光弾の直撃を受けて木っ端みじんに吹き飛んでしまった。

「誰だ!?今の攻撃は!?」

アルバイターたちは攻撃が飛んできた方を見るとそこには紫色のゼロらしきものが立っていた。

「ゼロ!?」

「いや、色がおかしい!?もしや、アイゾックの言っていたナイトメアか!?」

『ゼロハドコダ?ワシノゼロハドコダ?』

ゼロナイトメアは、アルバイターたちを他所に独り言を言う。

「野郎!!それはこっちのセリフだ!!俺たちの弟の姿をして悪事をしやがって!!」

「でも、ゼロそっくりだね~。」

『アオイ・・・・ライト・・・・コロス・・・・・コロスッ!』

「会話が全然かみ合わないね・・・・・」

「だが、同時にチャンスだ!!コイツを倒してゼロの無実を証明する!!アルバイター、行くぞ!!」

『フフフ・・・・・シヌノハ・・・オマエタチダ・・・・・・』

ゼロナイトメアはバスターを展開してチャージショットを連続で放つ。

「スターバリアー!!」

スターマンは咄嗟にバリアを張ってバスターを無力化すると、彼の上からジャイロマンがナパームマンを持ち上げてゼロナイトメアの真上に飛んでいく。

『!?』

「アルバイター新フォーメーションその一!!ジャイロ空爆!!」

ジャイロマンに運ばれながらナパームマンはナパームボムによる空爆を開始する。

『痛・・・・・・・死ネ!!』

ゼロナイトメアは二人に向かって幻夢零・改を放つ。二人は別れて攻撃を回避するとその間にウェーブマンを乗せたチャージマンが突っ込んでくる。

「新フォーメーションその二!!タックル銛突き!!」

『ウワアアアアアーッ!?』

チャージタックルが命中すると同時にウェーブマンの放った銛がゼロナイトメアの身体を貫く。更にウェーブマンはそのままチャージマンから離れ着地するとウォーターウェーブでゼロナイトメアをそのまま上空へと押し上げる。

『ナニッ!?』

「新フォーメーションその三!!ストーンスター&クリスタル流星群!!」

上空へ押し上げられたゼロナイトメアをストーンマンがパワーストーン、スターマンがスタークラッシュ、クリスタルマンのクリスタルアイによる流星群を喰らわせる。

『グワァァアアアア!!!』

流星群を直接受けたことでゼロナイトメアは断末魔の絶叫を上げて爆発と同時に消えてしまった。

「あり?俺、まだ攻撃していないよ~?」

「爆発してもパーツの一かけらも落とさないとは・・・・・もしかして本当に幽霊だったのか?」

「ん?」

その直後、アルバイターたち以外いなくなったはずのミュージアムに拍手が響く。

「「「「誰だっ!?」」」」

「まさか、劣化版とはいえゼロを倒すとは・・・・・・・」

どこからともなくアイゾックが拍手をしながら姿を見せた。

「「「「「「「アイゾック!?」」」」」」」

全員目の前に現れたアイゾックを見て唖然とする。

「ナイトメアが何かに撃破されたから気になって来てみれば、まさかお前たちだとはのう・・・・・流石ワシの・・・・」

「うぉおおおお~!!」

「えッ・・・・・ブッ!?」

アイゾックが言いかけた直後グラビティーマンは彼の顔を殴りつけて後方へ吹き飛ばした。

「な、何をするんじゃグラビティーマン!?よりによってワシを・・・・・」

「よくやったグラビティー!!このままアイゾックを討ち取るぞ!!」

「えっ?」

アイゾックは状況を把握しきれないままアルバイターたちは猛攻を仕掛ける。

「ま、ま、まっ、待つんじゃ!?ワシはお前たちの・・・・・・・」

「問答無用!!我々の弟 ゼロを悪人に仕立て上げたアイゾック、お前をこのアルバイターが成敗してやるぞ!!」

「「「「「「「おぉ!!」」」」」」

「おぉ~!!」

「えっ!?だ、だから・・・・・・・・」

「新フォーメーションFINAL!!全員、一斉攻撃!!」

クリスタルマンが叫ぶのと同時にアルバイターは全員アイゾックに向かって総攻撃を始める。

「うわああああぁぁぁぁぁぁあぁぁぁああ!??」

そのままアイゾックは攻撃の嵐に呑み込まれて行った。































22世紀 ロボット病院 集中治療室

「・・・・う、うぅ・・・・・・・」

「ゼロ?」

夕方のロボット病院の集中治療室でゼロは意識を取り戻していた。目を開くとそこにはアイリスと見知らぬ女性型の姿があった。

「あ・・・・・・アイリス・・・・・ここは・・・・・・」

ゼロは起き上がろうとするがどういうわけか思うように動けない。

「くっ・・・・・・エックスたちは?ここはハンターベースではないのか?」

「私にもよくわからないの。気がついたらここに運ばれてて・・・・・・今日、修理してもらってやっと動けるようになったのよ。」

「修理?」

ゼロは自分とアイリスがシグマとの戦いで大破していたことを思い出す。しかし、アイリスはともかく自分はブラックボックスの塊のようなもの。そんな自分を修理できるものなのだろうか?

「うぅ・・・・・・・あの後何があったんだ?まるで見当がつかん。」

「あの・・・・・お取込み中悪いようだけど。」

そこへエリカが頭を抱えているゼロに声をかける。

「ん?お前は?」

「あぁ・・・・・私はエリカ。看護婦ロボットよ。貴方たちがこの病院に運ばれてからお世話していたのよ。」

「そうか・・・・・・・すまない。早速ですまないがハンターベースと連絡を取ってもらえないか?」

「ハンターベース?」

「仲間のことが気がかりなんだ。」

「・・・・・・・・・・・タイムパトロールの新しい部署かしらね・・・・」

聞いたことも無い単語にエリカは首を傾げる。そこへ病室の扉が開いた。

「失礼する。」

トレンチコートを着たリングマンが入ってきた。その姿を見るなりエリカを目を丸くする。

「あなた!?」

「ん?エリカ。この患者、お前の担当だったのか?」

「えぇ・・・・・・でも、その恰好・・・・・・・・」

リングマンの姿を見てエリカは困惑する。そんな妻にリングマンは耳打ちで理由を話す。

『・・・・・・今日、会社に長官が来て一時的に復帰してくれって頭を下げられたんだ。』

『えっ?タイムパトロールから?何かあったの?』

『それもそこの赤いロボットの監視だ。』

『彼、何かしたの?』

『いや、ただ気になることがあるから家で面倒を見てくれとな。』

『家に?』

『いや、あまり迷惑にならないようホテルを手配してそこでしばらく大人しくしてもらうつもりだ。』

『あなたはどうするの?』

『私もおそらく監視としてしばらく家に帰れないと思う。』

『えっ?私とリングだけに!?それは嫌よぉ・・・・・・・だったら家にしましょう!』  

『いや・・・・・・別に私がしばらく家にいなくても・・・・・』

『リングが寂しがりますし、私も嫌よ!それに家にいた方が賑やかになりそうですし。』

『仕事だぞ・・・・・一応。』

こそこそと話している二人の後ろ姿を見てゼロは僅かながら不振に感じた。

「お、おい・・・・・」

「いやぁ、すまない。私はリングマン。君たちの身元引受人として来たんだ。」

「身元引受?どういうことだ?」

「君たちは現在どの工場でも確認されていないロボットなのでな。身元が確認されるまでしばらく家で預かることになったんだ。」

「ちょっと、待ってくれ。俺はイレギュラーハンターだぞ?ハンターベースに連絡をつけてくれれば・・・・・・」

「残念ながら君のいう組織はこの世界のどこにも存在しない。」

「!?」

リングマンの言葉にゼロは驚く。

「ど・・・・・どういうことだ?」

「君たちは数日前、都内の公園近くで大破した状態で発見されたんだ。この病院に運ばれて身元を確認したのだがどこの工場でも同じ製造番号は確認されていない。それに君の言うイレギュラーハンターという組織は聞いたことも無い。それが事実なんだ。」

「・・・・・・・」

ゼロは思わず頭を押さえる。自分は悪い夢でも見ているのだろうかと。そんな彼にアイリスは心配そうに寄り添う。

「ゼロ・・・・」

「す、すまないアイリス・・・・・俺も正直言って頭の中が整理できないんだ。何がどうなっているやら・・・・・・」

「とにかくしばらく私の家に滞在してもらうことになる。事の次第では場所が変わるかもしれないが君たちの身元の安全は保障すると約束しよう。ただ、体に武装が装備されていることが確認されているからその機能に関してはロックさせてもらう。それで構わないな?」

リングマンの言葉にゼロは躊躇うもののここが自分の世界とは違うと考え従うことにした。

「わかった。しばらく世話になる。」

「うん。では、迎えの車を準備させる。後で迎えに来るからそれまで待っててくれ。」

そう言うとリングマンはエリカと一緒に二人を残して部屋から出て行った。

「・・・・・・何か似ているわね。」

「ん?何がだ?」

「私とあなたが初めて会った時。」

「そんな感じだったか?」

「そうよ、新人時代の時、重傷だったあなたが病院に運び込まれて・・・・当時はマニュアル通りにしかできなかった修理で困っていたのよ。」

「・・・・・・・・・そうだったかな。」






























???

「ドクター、いや、アイゾック様が出かけられてずいぶん経つが・・・・・・・一体いつになったら帰ってくるのだ?」

アイゾックの部屋の中でシャドーマンは近くの椅子に腰を掛けながら彼が戻ってくるのを待っていた。しかし、いつまでたっても部屋にある転送装置は反応を示さない。

「・・・・故障でもしたのだろうか?」

シャドーマンは転送装置に触れようとするが同時に転送装置が作動して周囲に眩い光が現れた。

「うおっ!?」

思わず目を伏せたがしばらくして光が収まるとそこにはボロボロの白衣に腕が壊れ、足が捥げたアイゾックが杖を付きながら転送装置の上に立っていた。

「あ、アイゾック様!?そ、そのお姿は!?」

「しゃ・・・・・シャドーマンか・・・・・・」

ボロボロのアイゾックは杖を付きながらヨレヨレと彼に倒れ込む。

「ど、どうなさったのですか!?」

「じゃ、ジャイロマンたちに半殺しにされかけた・・・・・・・」

「なっ!?」

まさか、自分の兄弟たちに半殺しにされたと聞きシャドーマンは唖然とする。

「ぜ、ゼロをおびき寄せるために、エックス共を攪乱させるために用意したゼロナイトメアがこんな形でしわ寄せが来るとは・・・・・・ワシも予想外じゃったわい・・・・・・・・・ガクッ」

「ど、ドクター!?き、気をお確かに!?」

気を失ったアイゾックはシャドーマンに担ぎ込まれながら聞こえない声でボソッと言った。



「きょ、兄弟のことを思う兄とはお、恐ろしい物じゃのう・・・・・・・・」






























ハンターベース

「何ッ!?アイゾックを取り逃がした!?」

ハンターベースでは戻ってきたジャイロマンたちの報告を聞いたシグナスが驚きの声を上げていた。

「すまん。我々が不甲斐無いばかりに取り逃がしてしまった・・・・・・・。」

「べ、別に気にすることじゃないわ。むしろ、襲った方が驚きだけど。」

「しっかし、これでナイトメアの事件が奴さんの仕業って言うのは目に見えて来たってもんだな。」

しょんぼりするアルバイターたちにエイリアとダグラスは戸惑いを隠せない中、自分なりにフォローする。

「うむ・・・・・・しかし、ゼロのナイトメアの正体が依然として分からんな。倒したと思いきやパーツすら残らないとは。」

「うん、でもあのでっかい虫さんの中からこんな玉が出てきたよ。」

グラビティーマンはそう言うと禍々しい青色の玉を見せる。

「・・・・・・エックスたちが連れて帰ってきたヤンマークにも同じものが組み込まれていたわ。解析すれば何かわかるかも。」

エイリアはグラビティーマンから玉を受け取ると解析を始める。

「後、これはエックスのアーマープログラムの一部だ。」

「でも、変なカプセルからライト博士が出てきたときはビックリしたよね~。」

「まさか、生きていたとはな・・・・・・」


「いや、それ以前に100年以上動いているお前らが異常だよ。」

ダグラスのさりげないツッコミが入る中、ハンターべースは次に調査に行くエリアを考えるのであった。

 
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