ドリトル先生と琵琶湖の鯰
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第二幕その三
「安土城の跡に行って彦根城にもね」
「行かれますか」
「そうしたいと思ってるよ、足を伸ばして佐和山とか小谷城の跡にも行きたいね」
「滋賀県もお城多いですね」
「滋賀県は古来から日本の交通の要衝だったからね」
それでというのです。
「攻防があってね」
「お城も多いんですね」
「そうだよ、あと都もあったし」
「大津にですね」
トミーはこのことは最初から知っていました」
「あちらにですね」
「そうだよ、あそこにあってね」
「大友皇子がおられましたね」
「即位されていたとも言われているね」
「そうでしたね」
「明日香から出てね」
そうしてというのです。
「あちらにね」
「都を置いていましたね」
「そうだったんだ」
当時はというのです。
「また明日香に戻ったけれど」
「天武帝がそうされましたね」
「それでも都だった時期があるのは事実だよ」
歴史的にそうだというのです。
「本当にね」
「そのことも覚えておくべきですね」
「そう、日本の首都の推移も面白いよ」
「そのことも学問のしがいがありますね」
「実はこの兵庫県にあった時期もあるし」
「福原ですね」
トミーはまた即答しました。
「そうでしたね」
「そう、平清盛さんが移したね」
「あの人本当はいい人だったんだよね」
王子が清盛さんについてこう述べました。
「そうだよね」
「うん、実はね」
その通りとです、先生は王子に答えました。
「穏やかで寛大でね」
「器が大きくて」
「慈悲深い人だったんだ」
「身内にも家臣にも優しい人だったね」
「むしろ源頼朝さんよりもね」
敵であるこの人よりもというのです。
「いい人だったよ」
「頼朝さんは何かね」
王子はこの人についてはどうかというお顔で言いました。
「敵というか自分に邪魔と見たらね」
「すぐにどうかしようっていう人だったね」
「うん、暗いイメージがあるね」
「だから日本でも人気がないんだ」
「それもかなりだね」
「日本の歴史上でも屈指の不人気さだよ」
頼朝さんについてはです。
「そうだよ」
「そうした人だね」
「うん、それでお話を戻すけれど」
「福原にも都があったんだね」
「あと南北朝時代は南朝の都は吉野にあったね」
奈良県のその場所にというのです。
「僕達も行ったね」
「奈良県と和歌山県の境でニホンオオカミを発見した時にね」
「その時に入ったけれど」
「あそこが南朝の都だったね」
「そうだったんだ」
「日本の首都も色々移ってるんだね」
王子の口調はしみじみとしたものになっています。
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