| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

逆境大好き

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三章

 するとマチルダはこう答えた。
「当家の家訓です」
「家訓かいな」
 碧の言った通りとおもいつつだ、愛は彼女の言葉に応えた。
「それでかいな」
「はい、私は常にです」
「危険な任務にかいな」
「志願してです」
 そしてというのだ。
「赴いています」
「そうなんやな」
「当家は代々武人の家で」
「戦の場で戦ってやな」
「そうして生きている家なので」
 それでというのだ。
「私も父上や兄上と同じくです」
「そうそう、あんたの兄さんもな」
 マチルダに彼女の兄の話をした。
「活躍してるし」
「そうですね」
「今は連隊長として頑張ってもらうわ、ただ」
「ただ?」
「あんたの兄さんも勇敢やけど」
 それでもというのだ。
「あんた程な」
「危険な任務にですか」
「志願するけど」 
 こうマチルダに話した。
「あんた程何でもとはな」
「いっていませんか」
「彼の志願を一としたら」
 愛は今度は割合で話した、自身の執務用の机木製のそれに座ったまま。
「あんた十五はあるわ」
「そうですか」
「彼は何でもやない、けどあんたは」 
 マチルダ、彼女はというと。
「ほんまにな」
「何でもですか」
「そやさやかいな」
 それでというのだ。
「今も言うねん」
「そうですか」
「ほんまにな」
「ですから私は」
「家訓にやね」
「従ってるいるだけです」
「そやからその頻度が多過ぎるから」
 マチルダにまた言うのだった。
「今聞いてるけど」
「兄上と比べても」
「もっと言えばお父さんともな、お父さん今は師団長してもらってるけど」
「危険な任務にはですか」
「あんた程はな」
 こう言うのだった。
「ほんまに、二人共家訓は守ってると思うで」
「自分から危険な戦いに向かう」
「それにな」
「それは何よりです」
「けどあんたは無理してる」
 マチルダ本人に告げた。
「危険な戦や任務の話を聞いたら絶対に手を挙げるから」
「そのことがですか」
「極端過ぎるで、ほんまに家訓かいな」
「そうですが」
「そうやろとええけどな」
 愛は考える顔で述べた。
「まだな」
「はい、あくまで家訓を守ってのことで」
 マチルダ自身はこう言う、しかし。
 愛は明らかにそうではない、別の何かしらの理由があると彼女と話して確信した。それでまた仲間達に話した。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧