曇天に哭く修羅
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第四部
Bブロック 8
前書き
やっと終わる。
_〆(。。)
「よーし、これでナイフが消えたね」
向子はすっきりした視界に清々しい気分となったが対する春斗は追い込まれたことに表情を曇らせた。
「使っていない能力は一つしかないが、近接戦闘する為のものだからな……」
あれを多用する気は無い。
「これで行くか」
黒鋼の【練氣術】を元に春斗が生み出したオリジナルの魔晄操作技術。
左手に魔晄で出来た剣が現れた。
「【江神式練氣術】。【斬魔】」
薄く透き通った白銀の刃。
その斬れ味は春斗自身の外装を上回っており、魔晄防壁を無視して斬れる。
「江神式練氣術。【追刀】」
春斗が外装を投げると空中で停止。
黒い直刀と春斗は魔晄で出来ている見えない縄のようなもので繋がっている。
「会長の足を止めますよ?」
序盤で使った【重転じ軽変ず】だ。
最大出力で向子の動きを重くする。
(僅かでも攻撃を当てる可能性を上げないと勝負にならないのでね)
春斗は向子が多少、重く、遅くなった程度で何とかなる相手ではない。
身を以て体感している。
だからまだ攻めない。
【夜天中月】
春斗が宙に投げた黒刀は月光を帯びる。
「げっ、またそれか」
【舞狂悪魔】より多い数の攻撃。
しかし先程の強化して他の能力と合わせた666本のナイフより脅威ではなかった。
「先刻とは違うぞ」
春斗が魔晄の刀、斬魔を振る。
数百の三日月が刃となって飛ぶ。
向子は重い体を【空間移動】と【空間接続】で動かしながら、【空間振動】で月刃の動きを緩め、エネルギーを拡散し、【空間歪曲】で狙いを逸らす。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「言いましたよね。先刻とは違うって」
春斗が言うや否や、空中に留まっていた黒い直刀の外装が動き出し刃を振るう。
其方からも三日月型の飛刃。
「変則の二刀流ってわけか。しかも片方は手から離して操るなんてね」
魔晄で春斗と繋がっているとは言え『独立型』ではない外装を自分から遠ざけた状態で操るのはリスクが高く、これを為せるのは極めて優れた魔晄操作の技術が有ってのことだ。
(速さや正確さは強化した舞狂悪魔に劣るけど、攻撃の数と密度は圧倒的にこっち。しかも別々の方向から攻撃してくる本体が2つ)
この試合で一度に生み出した手数としては、今の春斗がしている攻撃が一番多い。
しかし向子にもやりようは有る。
舞狂悪魔を止めさせた方法だ。
【空間転送】
【空間近奇】
【空間接続】
この3つで月刃同士の打ち合いに持ち込んで数を減らし、春斗にも月刃を向ける。
(早速やろう)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
向子の狙いは大方上手くいった。
しかし予定通りにはいかない。
春斗は右手に魔晄を集めると、二本目の斬魔を作り出し、共に放り出す。
それを【追刀】で遠隔操作。
浮遊する直刀を手に取った。
彼は向子の方へと身構える。
三日月の刃が雨のように降り注ぐ中で春斗は魔晄神氣/セカンドレイクの【神速斬光】を『三ノ段/ドライ』で発動。
【音隼】と【天騒翼】を出力最大に。
全てを速さと速度のみに結集。
ただ向子の元へ馳せる。
軌道は最短の一直線。
躱すことを考えていない疾空。
春斗は外装を腰に着けて抜刀の構え。
しかし既に鞘から出ている。
彼は剥き出しの刀身を左手に掴んだ。
そして右手が刀の柄を引く。
「【魔晄極致】」
春斗のスペックが底上げされて加速。
彼の防壁が白銀から黄金へ。
黒い刀身に一筋の線が走った。
春斗の右手が動くと刀身が鞘のように滑り出し、白銀の刃が姿を現す。
「【万象無斬】」
彼の斬撃は月刃はおろか、空間能力による妨害でさえも、一撫ですれば消し去る。
概念の切断と消滅だ。
「やっと見せてくれたね」
向子の喉元に春斗の刃が迫る。
「【空間交位】」
二人の位置が入れ替わった。
その瞬間、不可視の衝撃が顕現。
前触れの無い波紋が春斗に伝播。
一つであれば耐えられただろうが付着した衝撃は多重に積層されていた。
挽き肉にされてもおかしくない。
だが叩きになった春斗は原形を残す。
そこまでする必要が無いから。
「【繽紛無垠】」
向子は地に伏した春斗を見下ろす。
「うん。強かったよ」
後書き
後はDブロック書いて終わりでも良い。
原作の最終戦よりショボくなりそうだけど。
_〆(。。)
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