猫の集会で
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第三章
「だからな」
「来週の日曜晴れになってるよ」
携帯で天気予報をチェックすればそうだった。
「それでもなんだ」
「髭に感じるんだよ」
ウィリアムは武司に目を少し顰めさせて述べた。
「それでな」
「雨だってわかるんだ」
「猫は天気予報がわかるからな」
「そういえば顔を洗ったら雨だっていうね」
「普通の猫見てみな、顔洗う奴いるからな」
「今週だね」
「ああ、来週の日曜は本当にな」
嘘やはったりでなくというのだ。
「大雨だからな」
「来週の集会はないんだ」
「再来週またな」
「それじゃあ」
武司はまさかと思いつつもウィリアムの言葉に頷いた、そして実際に猫達を見ていると顔を洗っているものがいて。
その日曜は大雨だった、まさに土砂降りでそれが丸一日続いた。それで次の日会社帰りにウィリアムに言った。
「実際に降ったね」
「だろ?猫はわかるんだよ」
ウィリアムは彼にマンションの塀の上から話した。
「そうしたことも」
「そうなんだね」
「何かとな」
「それで集会もなかったんだ」
「次の日曜に延期だな」
「そうなったね」
「その時にまた皆と話そうな、あとな」
ウィリアムは武司にさらに話した。
「あんたこれから会う女の人大事にしろよ」
「女の人?」
「近々運命の人と会うからな」
彼の顔を見て話した。
「その人一生大事にしろよ」
「ひょっとして」
「生涯の伴侶ってやつだな」
「俺がそんな人に出会うんだ」
「顔にそうした相が出てるからな」
それでわかるというのだ。
「そうしろよ」
「猫はそうしたこともわかるんだ」
「ああ、実はな」
「そうなんだね」
「だからな」
それでというのだ。
「その人大事にしろよ」
「そうするね、誰かわからないけれど」
「これまで会ったことのない人だよ」
ウィリアムはヒントも与えた。
「その人と幸せにな」
「そうなるね」
武司はウィリアムににこりと笑って応えた、そうしてだった。
勤務している会社に途中採用された若い女子社員とすぐに親しくなり彼女と結婚した、そこで彼は心から猫の凄さを思った。結婚してからもウィリアム達との付き合いを続け彼等の話を聞いた。それは一生続き多くのことを学び人生の参考に出来るものだった。
猫の集会で 完
2020・8・27
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