ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル
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第69話 やってきたぜ、塔中華島!チームに分かれて食材をゲットしろ!後編
前書き
マッシュルームの塔を出現させる封の書かれた石は原作のアニメよりも低い場所にあると思ってください。お願いします。
黒歌たちと分かれた小猫達は、伝説の四季の食材があるという塔を探していた。だがどこを探しても塔らしきものは見当たらない。
「本当に塔なんてあるんでしょうか?」
「空から探したけどそれらしい物は無かったわよ?」
小猫は塔が本当にあるのかと言い、空の上から塔を探していたイリナもそれらしい物は見当たらないと話す。
「もしかしたら普通には無くて隠されているのかもしれないわね」
「うーん、こういう時に使える魔法があればよかったんですけど……」
「まあ、そう都合よく無いよね。気にすることはないわよ、ルフェイ」
リアスがこれだけ探しても見つからないのは塔は隠されているのではないかと話した。それを聞いたルフェイは探し物が出来る魔法を覚えていれば、と後悔していたがリンが慰めた。
「早く四季の食材を見つけないとイッセー先輩が……」
「小猫ちゃん……大丈夫よ!あのイッセーがそんな簡単に死んだりしないわよ!焦らないでいきましょう」
不安に駆られた小猫は悲痛な表情を浮かべる。それを見たティナは小猫を励ました。
「お前らー、しっかり探せよー」
「はーい!ゾンゲ様ー!」
そんな中ゾンゲは近くの岩場に座って近くにあった『ラ・フランスパン』を齧って寝そべっていた。塔の捜索は部下任せにしているみたいだ。
「ちょっと!あんたもちゃんと探しなさいよ!」
「あん?子分にさせてるからいいじゃねえか」
「あんたねぇ……!」
それを見たティナはイラっとしたのかゾンゲに注意した。だがゾンゲは面倒くさそうに鼻を穿っていたので更に怒りを込み上げてしまう。
「いい加減にしなさいよ!」
「いてぇな!?掴みかかってくるんじゃねえよ!」
ティナがゾンゲに掴みかかるがゾンゲは片手でティナの頭を押さえて動きを止めた。流石に力では勝てないのでティナは悔しそうに腕をグルグルと振り回して抵抗する。
「この!このこの~~~!」
「ガッハッハ!そんなグルグルパンチ当たるかよ!」
悔しそうにグルグルパンチを続けるティナ、そんな彼女を見てゾンゲは愉快そうに笑っていた。
「だったら……!」
ティナは何とか一泡吹かせたくて足を振り上げた。油断していたゾンゲはそれをかわせずに股間に直撃する。
「っ~~~!!?」
声にならない悲鳴を上げたゾンゲは股間を押さえながら後ずさる。だが足元に石があったため、それに躓いてしまい頭を石に直撃させてしまった。
「ちょ……大丈夫?」
流石にやり過ぎたと感じたティナはゾンゲに声をかけるが、突然辺りに地響きが起こった。
「な、何が起きたの!?」
「アレを見て!ゾンゲが頭をぶつけた場所に封って字が刻まれているわ!」
「それが沈んでいって……な、何かが地面から出てくるぞ!」
リアスが突然の地響きに驚きイリナはゾンゲが頭をぶつけた場所を指さした。その場所には封と彫られた四角い物体があり、ゼノヴィアの指摘した通りそれが石の中に沈んでいくと、地面から何かが現れた。
「こ、これってキノコ?」
地面から現れたのは石で出来た巨大なキノコだった。それを見たリンは何かを思い出したように叫んだ。
「思い出した!これって『マッシュルーム』だし!」
「マッシュルーム?」
「うん、昔の人が作ったって言われる食材を保管する場所だし。中は春、夏、秋、冬の四つのフロアに分かれていてそこに四季ごとの食材が保管されているんだって聞いたことがあるんだ」
「じゃあこの中に伝説の食材があるって事ね」
リンの説明にリアスがこのマッシュルームの中に目当ての食材たちがあると話す。
「なら早速この中に入りましょう。時間はもう残っていません!」
「そうね、急いで四季の食材を確保しましょう!」
小猫の言葉にリアスは頷き、戦えないティナと一応護衛にゾンゲの部下を残してリアス達はマッシュルームの内部へと入っていった。
「あ、暑いわ!?まるで夏みたいじゃない!」
「ジャングルみたいな場所ですね、となるとここは夏のフロアでしょう」
外とは打って変わって暑くなった空気にイリナが叫んだ。辺り一面熱帯林のような光景が広がっておりルフェイの言う通りここは夏のフロアなのだろう。
「でも塔の中なのに真夏の日差しみたいに明るいな」
「きっと壁や天井にいっぱい生えている『ヒカリダケ』のせいだし」
「悪魔にとってはあまり長居したくない場所ね」
「同感です」
ゼノヴィアは窓もないのに明るいことに首を傾げるが、リンはヒカリダケのせいだと話す。リアスは悪魔にとって光は弱点なので早くこのフロアを出たいと言った。それについては小猫も同感らしく首を縦に振っていた。
夏のフロアを進むリアス達の前に何かが現れた、それは体から豆板醬を出す虎だった。
「こいつは『トラバンジャン』!体から豆板醬を出す虎だし!」
「じゃあこの生物が夏の食材って事?」
リンは目の前の生物について説明する、それを聞いたリアスはトラバンジャンが夏の食材なのかと聞いた。
「他に生物はいないみたいですし、恐らくそうかと……」
仙術で辺りを探った小猫はこのフロアにはトラバンジャン以外に生物はいないと話した。つまりトラバンジャンこそが目当ての猛獣だという事だ。
「ガアアアァッ!!」
「来るぞ!」
トラバンジャンは雄たけびを上げてリアス達に襲い掛かった。全員がトラバンジャンの攻撃をかわして戦闘態勢に入る。
「メラ!」
ルフェイが小さな火の玉をトラバンジャンに放つ、だがトラバンジャンをそれを跳躍してかわしてルフェイに襲い掛かった。
「させるか!」
だがトラバンジャンの攻撃をゼノヴィアが魔剣で受け止めた。そしてゼノヴィアがトラバンジャンを力任せに押し返す。
「厄介そうね……ねえ、リアスさん。ここは私とゼノヴィアに任せてくれない?後3つの食材を集めるのにあまり時間をかけてはいられないし」
「大丈夫なの?トラバンジャンは捕獲レベル29よ、結構な強敵だし」
イリナは時間も惜しいのでここは自分とゼノヴィアに任せろと話す。だがリンはトラバンジャンの捕獲レベルを知っているので心配そうにそう返した。
「私達だってイッセー君を助けたいからここに来たの!足手まといにはならないわ!」
「恐らくこいつが一番弱いのだろう。なら新参者の私達で何とかする、リアス達は上の階にいる強敵たちを頼む!」
「イリナ……ゼノヴィア……分かったわ!絶対に死なないでね!」
イリナとゼノヴィアの覚悟にリアス達はこれ以上の言葉は不要と背中で語るように上のフロアに向かった。因みにゼノヴィアはトラバンジャンが一番弱いと言ったが、実際は次のフロアの猛獣も同じ捕獲レベルだ。でもそれを言うのは無粋であろう。
トラバンジャンをイリナとゼノヴィアに任せたリアス達は上のフロアに向かった。すると今度は紅葉の広がった世界がリアス達を待ち受けていた。
「紅葉に落ち葉……秋のフロアね」
「うおおっ!?美味そうな食材がいっぱいじゃねーか!」
リアスはここが秋のフロアだと言うと、側にいたゾンゲが豊富な食材を見てテンションを上げていた。
「全部俺様のだぜ!」
ゾンゲはそう言うと近くにあった食材に手を伸ばした。だがそれを取ろうと力を入れると突然食材が動き始めた。
「わわっ!?なんだなんだ!?」
「あれは……『八角獣』!?」
ゾンゲは驚いて尻もちを付き、現れた猛獣を驚愕の表情で見た。その猛獣はイノシシのような生物だが頭に一際大きい八角を付けた生き物を見たリンは八角獣と叫んだ。
「八角?それって中華料理に使われている調味料のこと?」
「あの匂いって好き嫌いが分かれるのよね」
リアスは八角獣の頭の植物が八角なのを驚きリンは八角の匂いについて語る。
「ブモォォォォ!!」
八角獣は頭を振って八角の実から匂いを出した。その匂いは普通の八角よりも強烈でリアス達は思わずせき込んでしまった。
「ゲホッ!凄い匂いだわ!」
「うげぇ!?俺様この匂い嫌いだぜ!」
リアス達は強烈な八角の匂いにむせてしまう、その隙をついて八角獣がリアス達に襲い掛かった。
「フラグレンスバズーカ!」
だがそこに八角の匂いを打ち消すほどの良い匂いが広がった。それによってリアス達はむせなくなり八角獣の攻撃をかわした。
「匂いならウチに任せておくし!」
「私も残ります!リアスさんと小猫ちゃんは上に行ってください!」
リンとルフェイがこの場に残ると言ってリアス達に先に行くように話す。それを聞いたリアスは頷いて小猫と一緒に上に向かった。
「リンさん、ルフェイ!お願いね!」
「後で無事に会いましょう!」
二人はそう言うと上のフロアに向かった。
「おーい!待ってくれぇ!俺様も行くぞー!」
その後を追うゾンゲ、どうやら八角の匂いは好きではないようだ。
「あっ、あいつも行っちゃったし」
「今はそんなことを気にしている場合じゃないですよ!来ます!」
「来るなら来いし!」
襲い掛かってきた八角獣にリンとルフェイが立ち向かっていった。
リンとルフェイに八角獣の捕獲を任せたリアスと小猫、後付いてきたゾンゲは冬のフロアに来ていた。辺り一面真っ白な世界をリアス達は駆けていく。
「凄い寒さね。まさに冬のフロアだわ」
「アイスヘルと比べればまだ全然マシですけどね」
「さ……ささ……さみぃ~!?なんだここは!?こんなの聞いてねえぞ!」
「だったら下で待ってればよかったのに……」
リアスと小猫はアイスヘルの寒さを乗り越えた経験もあって余裕を見せる。だがゾンゲは格好からして寒そうで鼻水を出しながら震えていた。そんなゾンゲを見て小猫は呆れたようにそう呟いた。
「でもどうやって室内で雪を降らせているんですかね?」
「多分温かい空気が何処かで対流しているのかもしれないわね。あっ、見て小猫!あそこから湯気が出ているわ!」
リアス達は冬のフロアの一角で湯気が出ているのを発見しそこに向かった。するとそこには黄色い液体が溢れていた。
「これって何かしら?温泉?」
「いえ、アルコールの匂いがします」
「おおっ!?こりゃ老酒じゃねーか!」
「老酒ってお酒の?」
「こりゃいいぜ!冷めた体を温めるのには最適だ!」
リアスは黄色い液体が何なのか分からず首を傾げる、小猫の話からするとお酒のようだ。だが後から来たゾンゲはそれを見て老酒だと叫んだ。彼はそれを飲もうと老酒に近づくが……
「ぶへぇ!?」
「ゾンゲさん!?」
何かが現れてゾンゲを吹き飛ばした。
「服を着たオランウータン……?」
そう、ゾンゲを吹き飛ばしたのはキュウカンフーチョウのように服を着たオランウータンだった。顔は真っ赤になっており何処か酔ったようにフラフラしている。
「もしかしてアレが冬の食材かしら?」
「多分違うと思います。あまり美味しそうではないですし」
「じゃあ老酒の方が冬の食材ね。ねえ貴方、申し訳ないんだけどその老酒を少し分けてくれないかしら?」
リアスは服を着たオランウータンが冬の食材かと思うが小猫は首を横に振った、どうにもあれが美味しそうには思えなかったからだ。それより老酒の方が可能性があると言ってリアスはオランウータンにお酒を分けてくれないかと近寄った。
「ッ!?部長!」
そこに小猫が飛び込んでリアスを突き飛ばした。何故なら間髪入れずにオランウータンが攻撃を仕掛けてきたからだ。
「小猫っ!?」
「ぐうぅ……!」
戦車の駒の特性である防御力でも痛みを感じた小猫、だが彼女は何とか攻撃を受け流して体勢を整えた。
「小猫、大丈夫!?」
「何とか平気です。それよりも……」
さりげなくグルメスティックセンサーでオランウータンを調べていた小猫、彼女は表示されたデータを読み上げていく。
「アレは『ラオチュータン』。哺乳獣類で捕獲レベル32……強敵です!」
「捕獲レベル32……こんな強敵が私達の相手だとわね……」
小猫の説明を聞いたリアスは寒い気温だと言うのに冷や汗を流した。今までは祐斗や朱乃、回復してくれるアーシアや一番頼りになるイッセーがいたので精神的にも余裕があった、だが今は二人しかいない。そんな少ない人数で強敵と戦うのは初めてだからだ。
「でも引くわけにはいかないわ!行くわよ、小猫!」
「はい!部長!」
リアスと小猫は覚悟を決めてラオチュータンに向かっていった。リアスは先制に魔力弾を放つがラオチュータンはフラフラと足取りがおぼつないにも関わらず軽快な動きでそれを回避した。
「早い!?」
攻撃をかわされたリアスは敵の攻撃に備えるが、ラオチュータンの動きが読めずまともに蹴りを喰らってしまった。
「がはっ!?」
地面に倒れるリアスを追撃しようとラオチュータンが迫る。だがそこに小猫が割り込んで攻撃を放った。
「フライング・レッグ・ラリアート!」
放たれた蹴りをラオチュータンは予想もつかない動きでいなした。そして小猫の脇腹に強烈な打撃を叩き込んで吹き飛ばす。
「ぐっ……動きが読めません。まるで酔拳です」
ラオチュータンの動きはまるで酔拳のように不規則で動きを読むのが困難だった。ラオチュータンはそんな二人をあざ笑うかのように笑みを浮かべた。
―――――――――
――――――
―――
一方夏のフロアではゼノヴィアとイリナが全速力でトラバンジャンから逃げていた。
「あーもう!あいつ強いじゃない!何が一番弱いよ!」
「私だって想定外だったんだ。まさかここまで強いとは……」
泣きながら叫ぶイリナにゼノヴィアが呑気そうに言葉を返した。あの後戦いを続けた二人だがトラバンジャンを仕留めきることが出来ず、しまいには魔剣は折られイリナも疲れから黒い靴を強制解除されてしまった。
「ゼノヴィア!こうなったらデュランダルよ!」
「だが月牙天衝を使ったらマッシュルームを破壊しかねない。そうなったら四季の食材も駄目になるかもしれんぞ」
「その前に私達が駄目になっちゃうわよ!うわーん!イッセー君助けてー!」
呑気に話すゼノヴィアを見てイリナはとうとう助けようとしているイッセーに助けを求めると言う支離滅裂なことを言い出した。
「っていうかしつこい虎ね!いつまで追いかけてくるのよ!」
「よし、あの木の周りをグルグル回って頃合いを見て逃げるぞ」
「あっ、待ってよ!」
ゼノヴィアとイリナは近くにあった大きな木の周りをグルグルと回るように動いた。トラバンジャンもその後を追って木の周りをグルグルと回り二人は頃合いを見て木の上によじ登って逃げた。
「はぁ……助かったわ……」
「所詮は獣だな、私達がいないのに木の周りを回っているぞ」
二人を見失ったトラバンジャンはその後もずっと木の周りを回っていた。
「あっ、見てゼノヴィア!」
「トラバンジャンが……溶けている?」
その時トラバンジャンに異変が起こった。走っていたトラバンジャンの体が溶けだしたのだ、そして最終的にはドロドロに溶けてしまい豆板醬になってしまった。
「なんだ、コイツは?溶けてしまったぞ?」
「なんか昔こういう童話呼んだことがあるわ。あれはバターだったけど」
溶けてしまったトラバンジャンを見て二人は首を傾げた。実はトラバンジャンから豆板醬を取るにはトラバンジャンを限界まで走らせることによって豆板醬に溶かすのだが、それを知らないイリナとゼノヴィアは偶然にもその方法をしてしまったのだ。
「何はともあれ私達の勝ちね!」
「ああ、夏の食材をゲットしたな!」
二人は嬉しそうに笑みを浮かべてハイタッチをかわした。
―――――――――
――――――
―――
こちらは秋のフロア、八角獣を相手にリンとルフェイが戦いを繰り広げていた。
「スーパーリラクゼーション!」
リンは鎮静作用のあるフラグレンスを放つが八角獣の出す強烈な八角の匂いでかき消されてしまう。
「メラミ!」
ならばとルフェイが炎の魔法を放つが八角獣は見た目にに使わないスピードで回避してしまう。
「ウチのフラグレンス、ことごとく消されるし……あーもうムカつくしー!」
「スピードも速いから魔法もよけられてしまいますね。でもあまり範囲の広い魔法だと頭の八角まで駄目にしてしまいそうです」
フラグレンスは八角の匂いで消されてしまい魔法も回避されてしまう。だが範囲の広い魔法だと頭の八角まで台無しにしてしまう恐れがあるのでルフェイは使えないでいた。
「ねえルフェイ、あのキュウカンフーチョウを眠らせた奴は効かないの?」
「ラリホーは相手の目に当てなきゃ意味ないんです。でもスピードが遅いから普通にやってもよけられますね」
「だったらこういう作戦はどう?」
リンはルフェイに眠らせる魔法は使えないのかと聞くと、スピードが足りないのでよけられると返した。するとリンは作戦を思いついたようでルフェイに耳打ちする。
「……いいですね!その作戦で行きましょう!」
「よし、作戦開始だし!」
二人は頷き合うとまずリンが八角獣に攻撃を仕掛けた。
「フラグレンスバズーカ!」
だがその攻撃は八角獣によけられてしまう。だがリンは構わず攻撃を続けた。
「……今です!」
八角獣がある場所に立つと地面から魔法陣が現れて大地を砕いた。その衝撃で八角獣が大勢を崩した。
「スーパーリラクゼーション!」
再び鎮静効果のあるフラグレンスを放つリン、動けない八角獣は頭を振って八角の匂いを出して相殺する。
「やああっ!」
だがフラグレンスの煙の中にルフェイが紛れており驚いた八角獣は一瞬動きを止めてしまった。
「ラリホー!」
その隙を見逃さなかったルフェイはラリホーを八角獣の目に当てた。八角獣はフラフラと体を揺らしズシンッと倒れて寝てしまった。
「やったー!作戦成功ですー!」
「ルフェイ!やったし!」
嬉しそうに笑みを浮かべたルフェイはリンに抱き着いた。二人の考えた作戦とはジバリアという時間差で発動する魔法をあらかじめセットして八角獣をそこにおびき寄せる、そして大勢を崩した八角獣の視界をフラグレンスの煙で隠してそこにルフェイが奇襲をしかけるというものだった。
「あらかじめバトルフレグランスを浴びていたおかげで効果も相殺されたから煙の中を渡れたんですよね」
「でもごめんね。少量とはいえ無茶させちゃったよ」
「いえいえ、師匠の為ならこのくらいは大丈夫ですよ」
スーパーリラクゼーションの効果を受けないようにルフェイはバトルフレグランスを浴びたのだが、その行為は禁止されていたのでリンは勝つためとはいえそれを提案したことを誤った。そんなリンに対してルフェイはイッセーの為だと笑顔で答えた。
「さあ、早く食材を捕獲してリアスさん達の所に向かいましょう!」
「うん、ゼノヴィア達も心配だしね」
その後二人は食材を確保したゼノヴィア達と合流してとリアス達の元に向かった。
―――――――――
――――――
―――
「ぐうぅ……強いです……」
冬のフロアではリアスと小猫がボロボロの状態になっていた。ラオチュータンは確かに強いが二人がここまでやられたのには理由がある。
「寒くて動きが鈍いわ……体が上手く動かない……」
そう、ここは冬のフロアなので気温が低い。その為に戦いが長引くほど二人の動きが鈍ってくるのだ。
「どうしてラオチュータンはあんなに動き回れるんですか……?」
小猫は同じ条件だと言うのに動きが鈍らないラオチュータンに疑問を感じていた。そんなラオチュータンは勝利の美酒と言わんばかりに老酒を飲んでいた。
「そうか、ラオチュータンは熱々の老酒を飲んでいるから動きが鈍らないんだわ!」
リアスの言う通りラオチュータンは暖かい老酒を飲んで寒さを和らげていた。
「ウォォォォォッ!!」
ラオチュータンは軽快な動きで一瞬の内に小猫に接近する、そして鋭い一撃を彼女の腹部に放った。
「げほっ!?」
「こいつ!」
リアスが反撃に出るがラオチュータンは逆立ちからの蹴りをリアスに喰らわせた。二人まとめて吹き飛ばされ岩に叩きつけられる。
「つ、強すぎるわ……」
「せめて寒さをどうにかできれば……」
環境の悪さに嘆く小猫だがラオチュータンはお構いなしにと二人にトドメを刺すべく襲い掛かった。
「てめぇ!俺様を忘れているんじゃねえよ!」
そこに先程やられたはずのゾンゲが復活してラオチュータンに斧を振り下ろした。だがラオチュータンはそれをかわしてゾンゲに鋭い蹴りを叩き込んだ。
「あ~れ~!?」
あまりの威力にゾンゲは壁を突き破って吹き飛んで行ってしまった。
「ゾ、ゾンゲさん!?」
小猫はゾンゲが吹っ飛んでしまった方を見るが、そこから空気が外に流れているのを見た。
「そうだ、ここはあくまで室内なんだ!」
小猫は自分達がいるマッシュルームが室内だと思い出してリアスに声をかけた。
「部長!滅びの魔力で壁を壊してください!」
「なるほど、分かったわ!」
リアスも室内だと言う事に気が付いて滅びの魔力を壁に向かって放った。すると壁に大きな穴が開いて冷たい空気が外に流れていく。
「寒さが消えました!」
「焦って室内だって事を忘れていたわ。でもこれでもう寒さに悩まされないわね」
体が温かくなっていくのを感じたリアスと小猫は再びラオチュータンに向き直った。
「今度は負けないわよ!」
「覚悟してください!」
ラオチュータンは悔しそうに顔を真っ赤にして怒りを見せる。そして体を巨大化させて二人に襲い掛かった。
「体が動けばこっちのモノよ!喰らいなさい!疾風紅蓮撃!」
籠手を装備したリアスは腰を落として低姿勢になる、そして一瞬でラオチュータンに接近すると拳を何度もラオチュータンに叩き込んだ。その速度は一秒間に5回の打撃を与える程の速さだった。
「部長、凄いです!いつの間にそんな技を……」
「折角のポテンシャルを持っているんだから活かさなきゃ宝の持ち腐れでしょ!」
元々リアスは高い潜在能力を持っていたがそれを活かせずにいた。だがイッセーと出会って修羅場を乗り越えてきたことによってそのセンスが生かされ始めたのだ。この技もイッセーとの特訓で編み出した技だ。
「おまけにもう一個新技を見せてあげるわ!」
リアスは両手を合わせて四角形を作る。そしてそれをラオチュータンに向けると強力な魔力弾を放った。
「魔功砲!」
その放たれた魔力弾は凄まじい威力で尚且つリアスの使う技の中では一番早い技だった、回避しようとしていたラオチュータンも反応できずに喰らって吹き飛ばされる。
「殺すのは流石に拙いから加減はしておいたわ!」
本来は滅びの魔力を使う技だ、もしリアスが滅びの魔力を使っていたらラオチュータンは消し飛んでいただろう。しかし自分たちの目的はあくまで伝説の食材なので殺さないようにしたのだ。
「小猫!最後は任せたわよ!」
「了解です!」
小猫は上空に飛ばされたラオチュータンの首に足を引っかけて共に落下していく、その際にリアスは重力が増加する魔法と小猫だけ負担を減らす魔法を彼女にかけた。
「小猫スペシャル!」
そして両腕で地面に着地すると同時に4の字固めを決めた。4の字固めの締め付けが高所からの着地によって生まれた衝撃でより一層強力になった、それによってラオチュータンは首を締めあげられ遂に失神してしまった。
「決まりました!」
小猫は逆立ちを解いて着地する。宙に放り出されたラオチュータンは地面に倒れた。
「や……やったー!私達だけでラオチュータンを倒せました!」
「やったわね!小猫!」
二人は嬉しさのあまりジャンプしながら抱きしめあった。たった2人で捕獲レベル30以上の猛獣に勝てたのは大きな進歩だ、喜ぶのも無理はない。
「部長がいなければ絶対に勝てませんでした……ありがとうございます、部長……」
「私こそ貴方がいなければ絶対に勝てなかったわ。貴方は私の誇りだわ」
「えへへ……部長、大好きです!」
「私も貴方を家族として愛しているわ、小猫」
ボロボロになりながらも諦めずに戦い、そして得た勝利。二人は一緒に戦えたことを嬉しく思いお互いを強く抱きしめる。
「さあ、後は老酒を手に入れて春の食材を手に入れるだけね」
「でもここが一番上なのに春のフロアはありませんでしたよ?」
「もしかしたら地下にあるのかもしれないわね。食材を確保したら皆と合流して探しに行きましょう」
「はい!」
二人はそう言って老酒を塵に向かおうとする。だが倒れていたラオチュータンが起き上がって二人に襲い掛かった。
「なっ!?こいつ、やられたフリを!」
「部長!危ないです!」
リアスを庇おうと小猫が立ち塞がった。だが……
『サル如きが……調子に乗ってんじゃねーぞ……!!』
底冷えするような声が聞こえたかと思えば凄まじい衝撃が二人を襲おうとしたラオチュータンに直撃した。ラオチュータンは壁を突き破って外に吹き飛んで行ってしまった。
「な、何が起きたの……?」
「分かりません、でも今声が聞こえたような……」
「……今の声って」
何が起きたのか二人は把握できておらず、小猫はラオチュータンが吹き飛んで行った穴を見て唖然とするしかなかった。
―――――――――
――――――
―――
塔中華島から数十キロ離れた場所にある蜂の巣のような監獄『ハニープリズン』……今現在そこはあわただしい様子を見せていた。
「何が起きたんだ!?」
「今の揺れは一体……」
「脱走者か!?」
突然起こった地響きにそこの職員達が慌ただしく動き回っていた。
「所長、先ほどの揺れはどうやら処刑場……ゼブラのいる場所で起きたようです」
「またゼブラちゃんが何かしたのね、本当に厄介ごとばかり起こすんだから。でもそこが良いのよね~♡」
「所長……」
鬼のような風貌をした大男と蜂のような恰好をした小柄な女性が処刑場に向かっていた。そして目的の場所に来ると、そこには四肢を鎖で縛られた口の裂けた男が座っていた。
「ゼブラちゃん?今度は一体何をしたのかしら?」
「……」
「暴れるのはいいけど質問に答えて頂戴。何が目的でこんな大きな穴なんて……」
「うるせぇぞ。ババァ」
女性は男に声をかけるが男は無視した。それでも声をかける女性だったが男は暴言を吐く。
「あ~ん♡ゼブラちゃんかっこいいわぁ♡」
「しょ、所長……」
だが女性はショックを受けるどころか嬉しそうにしていた。それを見ていた大男は呆れるように溜息を吐いた。
「ふん……」
男は女性には一切の興味がないようで、一度もまともに見ようとしなかった。彼の視線は自身が明けた大穴に向けられていた。
(……イッセーと何回か聞こえたからちょっかい出したがアイツのツレか?あの泣き虫も一丁前に弟子でも取るようになったのか。クククッ、似合わねえなぁ)
男は自身の弟分であり唯一自分と殴り合いの出来る少年の事を思い出して笑みを浮かべた。
「ここもそろそろ退屈になってきたな。久しぶりにアイツと本気の殴り合いをしてみてぇもんだぜ……」
―――――――――
――――――
―――
ラオチュータンが謎の攻撃で倒されたことによって九死に一生を得たリアスと小猫、彼女達は駆けつけてきたゼノヴィア達、そして遅れてきたココ達と合流して先程起きたことを話していた。
「……謎の衝撃波か。僕達意外にこの島には誰もいないはずだが」
「なら美食會……もねえか。あんな美しくもねえ奴らがリーアと猫を助けるワケねぇからな」
ココとサニーもその人物が分からないようで、今はその話は後にして最後の春の食材を探すことにした。
「春の食材は恐らく『マンゴーカリン』で間違いないはずだ」
「マンゴーカリン?」
「マンゴープリンのような甘いカリンの花さ、春の訪れを知らせるスプリングプリンとも言われていてその甘さは疲れを癒し滋養強壮に効果があるって聞いたぜ」
ココの説明にリアスが首を傾げるとサニーがどういう食材なのか教えてくれた。
「でもここに来るまでに春のフロアは無かったですよ?」
「マンゴーカリンは冬の厳しい環境を乗り越えて初めて花が咲くんだ。地面を見てごらん」
ルフェイの指摘にココは地面を見てくれと言う。一同が地面を見て見ると温かくなった影響で雪が解けてそこから草が出てきた。
「あっ、草が生えてる!」
「そう、ここは冬のフロアであると同時に春のフロアでもあったんだ」
「じゃあここにそのマンゴーカリンがあるんですか?」
「恐らくね」
地面に生えている草を見てイリナが声を上げた。個々の説明ではここは冬のフロアで有り、同時に春のフロアでもあったのだ。ならここにマンゴーカリンの花があるのかと小猫が聞くとココは頷いた。
「じゃあ手分けしてマンゴーカリンを探しましょう!」
リアスの言葉に全員が頷いてマンゴーカリンの捜索が始まった。だがそれはアッサリと見つかったのだが……
「花が咲いていない……?」
ココは花の咲いていないマンゴーカリンを見て不味いな……という表情を浮かべた。
「どうかしたの。ココさん?」
「マンゴーカリンは花が咲かないと効果が出ないし。このままじゃ捕獲できないんだよ」
「そんな!?」
リアスはココの様子を見て嫌な予感がしたが、リンの説明を聞いて唖然としてしまった。
「ここまで来て目的の食材が目の前にあるのに捕獲が出来ないなんて……」
「何とかできないんですか?」
「マンゴーカリンの花を咲かせるには春の日差しのような暖かい光が必要なんだ」
「光ですね、なら私に任せてください!」
イリナはここまで来て捕獲が出来ない状況にやきもきした。小猫がココに方法はないのかと聞くと、どうやら暖かい光が必要だと話す。それを聞いたルフェイは光の魔法を使うが……
「……咲かないな」
「もっと強い光が必要だ。それこそ太陽のような光が……」
「太陽って……朝日が昇るころがタイムリミットなんだよ!?イッセー君が死んじゃうよ!」
ゼノヴィアは花が咲かなかったことに落胆する。ココはもっと強い光が必要だと話すが太陽が昇ってしまえばイッセーは死ぬ。その現実を受け入れたくないイリナが叫んだ。
「……」
誰も何も言えなかった。マンゴーカリンを咲かせるには太陽の光が必要だが、その頃にはイッセーは死んでしまう。もう何もできないのか……小猫は血が出る程拳を握りしめる。
「あの……こんな空気の中で言うのは憚れるんですがゾンゲ様はどこなんですか?」
「あっ!?」
ゾンゲの部下がゾンゲがいないことを質問する、リアスと小猫は展開の多さにそれを忘れてしまっていて慌ててゾンゲが吹っ飛んで行った穴に向かった。
「ゾンゲさんはあっちの方に飛ばされてしまって……うっ!?」
小猫は海の方に指を刺したが、その時強い光が小猫達を包み込んだ。
「まさかもう日の出の……!」
「いえ、まだその時間じゃないわ!」
リアスは絶望した表情でそう言うが、腕時計を見たティナがまだ日の出の時間ではないと話した。
「あれは……ハルサメの群れ!?」
ココが見た視線の先には胴体の長い白い生物が群れを成して海を泳いでいる光景だった。その近くにゾンゲがいてハルサメから必至で逃げていた。
「た、助けてくれ~!」
「ゾンゲ様ー!」
どうやらゾンゲは生きていたようだ、その事実に安堵する小猫とリアスだった。
「暖かい……なんと清々しい光なんだ」
「悪魔の私達ですらそう思えてしまうほどやさしい光……」
「ハルサメは産卵の時期になると体が光るって聞いていたがなんて美しい……まさにビューティフル!」
ゼノヴィアはハルサメから放たれる光に心を癒され、本来光が弱点であるリアスもこの光には嫌悪が無く同じように癒されている。サニーはハルサメの生態を説明しながらも美しい光景に感激していた。
「でも何でこんなタイミングよくハルサメの群れが……」
「原因は恐らくアレだろうね」
リンがこんなタイミングよくハルサメが現れた事に疑問を抱いたが、ココには理由が分かるようだ。彼が指を刺した方にはゾンゲがいて、その衣服からライチョウザメや星アワビがこぼれていた。
「あれってキュウカンフーチョウ達の住処にあったライチョウザメや星アワビ?」
「そういえばゾンゲ様が味が気に入ったとかで、いくつかキュウカンフーチョウ達からもらっていましたね」
「ハルサメもキュウカンフーチョウのように海の食材を食べるが、ライチョウザメや星アワビは彼らの好物でもあるんだ。恐らく産卵のエネルギーを蓄える為にエサを探していたハルサメの群れが彼のこぼしたライチョウザメや星アワビに釣られてきたんだろう」
ティナは望遠鏡を使って見えたライチョウザメや星アワビに首を傾げた。ゾンゲの部下の話では彼はキュウカンフーチョウ達からいくつか食材を貰っていて、ココの話でそれが偶然にもハルサメの好物だったらしい。
「見てください!マンゴーカリンの花が!」
ルフェイはハルサメから放たれる光を浴びたマンゴーカリンに変化が起きた事に気が付いた。マンゴーカリンの花はグングンと成長してマッシュルームの天井を突き破り美しい黄色の花を咲かせた。
「マンゴーカリンの花が咲きました!」
「やったにゃん!」
「ハルサメの光でマンゴーカリンの花が成長したんだ。これなら捕獲で生きるよ」
マンゴーカリンの花が咲いたことに小猫と黒歌が笑みを浮かべ、ココも嬉しそうに頷いた。
「じゃあ早く戻りましょう!イッセー先輩を救うために!」
『応ッ!』
小猫の言葉に全員が頷き、一同はフロルの風を使って塔中華島を後に……
「俺様を忘れるな~!!」
「あっ……」
……キチンとゾンゲも回収して塔中華島を後にした。
後書き
小猫です。漸くイッセー先輩を治す為の食材が手に入りました、これでイッセー先輩を救って見せます!
次回第70話『甦れイッセー!小猫の決意と旅の終わり!』で会いましょうね。にゃん。
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