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戦国異伝供書

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第百一話 出雲攻めその三

「ならばな」
「それならですか」
「殿としてはですか」
「攻め方がある」
「そう言われますか」
「あの御仁達にはわしが向かう」
 元就自らがというのだ。
「そして全力で向かう」
「殿がですか」
「殿ご自身がですか」
「そうされるのですか」
「その様にされますか」
「うむ」
 そうするというのだ。
「あの者達が尼子家の今の武の柱であるがな」
「その柱を殿が相手をされて」
「そうして封じる」
「そうお考えですか」
「うむ、そうする。そしてじゃ」 
 元就がその様にしてというのだ。
「お主達がそれぞれ軍勢を率いてじゃ」
「そして、ですな」
「他の尼子家の者の軍勢と戦い」
「そのうえで破る」
「そうするのですな」
「そうじゃ」
 それが元就の考えだった、彼は今それを言うのだった。
「山中殿は強い、だがそれは攻めの場合の様じゃ」
「守ると脆い」
「では攻める」
「そうされますか」
「いや、攻めると攻め返す御仁じゃ」
 元就の見たところそうだというのだ。
「だからわしはじっくりと守りを固め」
「そうしてですか」
「山中殿と十人衆を防がれるのですか」
「その攻めを」
「そうしてな」
 そしてというのだ。
「山中殿と住人はしっかりと動けなくして」
「そうして、ですか」
「その間に尼子家の他の軍勢を破り」
「全体として勝ちとする」
「そうしていきますな」
「例えわしが山中殿そして十人衆の軍勢と引き分けてもじゃ」
 それでもというのだ。
「お主達が勝てばいいであろう」
「はい、確かに」
「我等はそれぞれ大軍を以て攻め」
「そうして勝っていくのですな」
「そうせよ、尼子家は一万であるが」
 今度は軍勢の数の話をした。
「こちらは五万じゃ、しかもな」
「月山富田城だけになりますと」
「もう兵はさらに減っていますな」
「それで攻めるとなりますと」
「数を使ってですな」
「攻める様になってな」
 そうなっていてというのだ。
「それでかなり有利に戦えるであろう」
「はい、確かに」
「そうなりますと」
「今も有利ですか」
「そこから尼子家の軍勢の数がさらに減り」
「逆に我等の方が多くなりますと」
「かなり有利に戦えて勝てるからな」
 だからだというのだ。
「お主達はその様にせよ」
「他の将の軍勢の相手をする」
「そして勝つ」
「その様にしていくのですな」
「左様じゃ」
 まさにというのだ。
「宜しく頼むぞ」
「わかり申した」
「それではです」
「殿ご自身が山中殿と十人衆の相手をされ」
「そうしてですな」
「お主達が勝て、それとじゃ」
 元就はさらに言った。 
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