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ドリトル先生の野球

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第十幕その八

「それでもね」
「素晴らしいものを数えきれないだけ持っているね」
「そうした国だね」
「僕もそう思うよ、ただね」
「ただ?」
「イギリスでこうしたものは出ないんだよね」
 先生はこのことは少し苦笑いになって言いました。
「昔からね」
「というかイギリスで食文化は」
「世界的にだね」
「評判がよくないし」
 王子は先生に応えて言います。
「実際に味付けも焼き加減や煮具合もね」
「よくないね」
「メニューも」
 それもというのです。
「日本とか他の国に行ってからイギリスで食べるとなると」
「酷いものに見えるね」
「ニシンのパイにしてもね」
 このイギリス料理もというのです。
「一匹丸ごとパイに挟んであるね」
「あのお料理も評判悪いね」
「あとザリガニのパイもあるね」
「丸ごと何匹入れたものだね」
「あれもね」
 こちらのお料理もというのです。
「外見も味もね」
「両方でだね」
「あまりにも酷いよ」
 こう言うのでした。
「他にも何かとね」
「映画でもそうだしね」
「イギリス人の食卓ってね」
「他の国の映画と比べたら」
「お世辞にも、だし」
「どうもね」
 動物の皆も言うことでした。
「ハリー=ポッターでも観たら」
「日本映画と比較しても」
「ちょっと、ね」
「主人公達が食べてたものって」
「酷かったね」
 先生も言うことでした。
「あれも」
「そうだったよね」
「どうにもね」
「イギリスにいたら気付きにくいけれど」
「外国に行ったら見えるから」
「そうしたことも」
「僕自分の国からイギリスに来たよね」
 王子はこのことからもお話しました。
「そして色々他国を訪問してるし」
「今は日本に留学してるし」
「世界中をずっと巡ってきたから」
「イギリスのお料理のことも言えるのね」
「わかってるからこそ」
「そうだよ、例えば日本にはすき焼きはあるけれど」
 先生に来日を促す時にご馳走したあのお料理です。
「イギリスにはないよね」
「ああした肉料理ないね」
「イギリス人には発想が及ばないっていうか」
「ステーキとかローストビーフはあるけれど」
「それでも」
「そうだよね、しかもね」
 王子はさらにお話しました。
「そのイギリス料理は何とイギリス人以外が作ると美味しいらしいんだ」
「つまりイギリス料理は素材自体はいいのんだね」 
 先生は王子のお話を聞いてこう考えました。
「つまりは」
「そういうことかな」
「他の国の人がちゃんと下ごしらえや味付け、火加減や盛り付けをしたら」
「もうそれでね」
「美味しくなるんだ」
「多分ニシンのパイもね」
 こちらもというのです。 
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