ドリトル先生の野球
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第十幕その七
「苺に合わないね」
「そこを考えないと駄目よ、先生」
ガブガブは先生を窘めました。
「フルーチェといっても種類があるから」
「何でもそうだけれど色々種類があって」
「そこから組み合わせが生じるのよ」
チープサイドの家族も先生を窘めます。
「お料理は特にそうよ」
「フルーチェと果物やお野菜に限らずね」
「例えば西瓜にホットコーヒーはないね」
こう言ったのは老馬でした。
「あまりいい組み合わせじゃないね」
「学問だったら先生しっかりしてるけれど」
それでもと言うポリネシアでした。
「お料理はそもそも作れないから」
「というか先生がお料理作るとか」
チーチーはその場面を想像しようとしましたが。
「全く思い浮かばないよ」
「お洗濯もお掃除もだし」
ジップも言います。
「先生って家事や世事のことはさっぱりだからね」
「それでフルーチェにもそう言ったけれど」
「組み合わせは考えてね」
最後にオシツオサレツが二つの頭でお話します。
「若しパイナップルとかメロンとかそういうののフルーチェだと」
「本当に苺に合わないよ」
「そういえばそうだね、じゃあね」
先生はここまで聞いて考えをあらためました、そのうえでトミーにあらためて尋ねました。
「何味のフルーチェなのかな」
「苺味ですよ」
トミーは先生ににこりと笑って答えました。
「そちらですよ」
「苺に苺味だね」
「これなら問題ないですよね」
「そうだね、じゃあね」
それならとです、先生も頷いてでした。
トミーに早速苺にフルーチェをかけたものをお願いしました、そしてそのデザートが出るまでにでした。
王子が先生にこんなことを言いました。
「考えてみればフルーチェって凄いよね」
「牛乳に入れて混ぜるだけだからね」
先生は王子にもこうお話しました。
「それであれだけ美味しいものが出来るんだから」
「凄いことだよ」
「本当にね、ただね」
「ただ?」
「日本って牛乳飲んだり乳製品食べる様になった歴史はそんなに長くないよね」
「欧州に比べてね」
「明治維新の頃からだからね、ただ」
ここで王子はこうも言いました。
「乳製品は昔からあったね」
「蘇とか醍醐とかね」
「そういうものはあったね」
「うん、けれど非常に高級な食べものでね」
「皆そうそう食べてなかったね」
「そうだったんだ」
「だから本格的に食べられる様になったのは」
その頃はといいますと。
「やっぱり、だね」
「明治維新からだよ」
「そうなるね」
「欧州の食事が入ったからね」
「だから乳製品も食べられる様になって」
「牛乳自体も飲まれる様になったね」
「そうなったんだ」
先生は王子にお話しました。
「日本でもね」
「そうだね、けれどその割に」
「食べて飲みはじめてまだ歴史が新しいのに」
「それでもだね」
「フルーチェみたいな素晴らしいものを生み出せるんだね」
王子はしみじみとした口調になって言いました。
「僅かな歴史から」
「他の乳製品も美味しいね」
「日本はね」
「そのことも凄いことだね」
「日本のね」
「だからこれだけの国になったんだね」
「そういうことだね、確かにマスコミは酷いけれど」
近頃先生がお話している様にです。
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