戦国異伝供書
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第百話 両翼を奪いその一
第百話 両翼を奪い
元就は政が整うとこれまで言っていた通り尼子家との決着をつけるべく動きだした、そしてまずはだった。
銀山のある石見を狙った、そこの国人達への調略を進め。
彼等を次々と組み込んでいった、そしてだった。
銀山を守る山吹城の主本城常光も引き込んだ、そこで彼は言った。
「これでじゃ」
「石見銀山は手に入りましたな」
「山吹城がこちらのものとなり」
「そうなりましたな」
「うむ、後はじゃ」
家臣達に笑って話した。
「石見の他の国人達もじゃ」
「篭絡していきますな」
「こちらに入れていきますな」
「そしてつかぬなら」
「その時は、ですな」
「刺客を送るかな」
若しくはというのだ。
「兵を送る」
「そうしてですな」
「一つ一つ滅ぼしていきますな」
「そして石見を手に入れ」
「さらにですな」
「それから伯耆じゃ」
この国だというのだ。
「この国の国人達も調略していくぞ」
「わかり申した」
「ではその様にしていきましょう」
「石見の次はです」
「伯耆ですな」
「伯耆を手に入れてな」
そうしてというのだ。
「いよいよじゃ」
「出雲ですな」
「尼子家の本国ですな」
「そうなりますな」
「慌てることはない」
元就は笑みを浮かべて言った。
「これは将棋と同じじゃ」
「一手一手ですな」
「打っていき攻めていく」
「そうしていくものですな」
「焦って打つとな」
そうすると、というのだ。
「言うまでもないな」
「そこからしくじります」
「打つ手が綻び」
「そうなってしまいます」
「だからな」
それが為にというのだ。
「よいな」
「はい、焦らずにですな」
「一手一手落ち着いて打っていき」
「尼子家を追い詰めるのですな」
「焦って打つのは愚の骨頂じゃ」
元就はこうも言った。
「だからな」
「それで、ですな」
「この度はそうしていき」
「そして、ですな」
「尼子家を追い詰めますな」
「左様、そしてまた言うが」
元就はこの場でも彼等のことを思い出し話した。
「やはり山中鹿之助と尼子十人衆はな」
「手強い」
「だからですな」
「戦になればですな」
「あの者達と対したなら攻めるでない」
決してというのだ。
「よいな」
「わかり申した」
「その時はです」
「我等は攻めませぬ」
「決して」
「守りに徹するのじゃ」
山中達に対してはというのだ。
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