レーヴァティン
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第百六十七話 近江に入りその三
「一番の問題はあの国だ」
「他の国もそうですが」
「越後の広さは特に問題ですね」
「そして佐渡との距離も」
「それもですね」
「広さと距離はそれだけで問題になる」
戦においてそうなるというのだ。
「だからだ」
「それで、ですね」
「我々はですね」
「越後を攻める時はどうして攻めるか」
「それが問題ですね」
「だから信濃からも攻め」
この国を北上してというのだ。
「越中の方からもだ」
「二つの方向から攻めますか」
「そして一気に手に入れますか」
「あの国は」
「そして能登から船を出し」
言うまでもなく大軍を乗せた船団である、この場合の船とは。
「そうしてだ」
「佐渡ですか」
「あの島ですか」
「あの島も手に入れますか」
「兵を三つに分けてだ」
越後そして佐渡を攻める時はというのだ。
「攻める」
「そうしてですか」
「越後も手に入れる」
「その全てをですね」
「そうしますか」
「その時はな、ではまずはな」
「東海と甲信ですね」
周りの者達も言った。
「美濃と尾張から攻め」
「そしてですね」
「二国を手に入れてですね」
「さらに東に進むのですね」
「国人達に使者を送りつつ」
「そうする、幸い尾張と美濃には強い大名はいない」
そうした者達はというのだ。
「国人達が割拠している」
「それならばですね」
「小勢力に分かれているなら」
「それならですね」
「我々が人を送れば」
降る様に言う使者達をというのだ。
「かなり降るな」
「左様ですね」
「小さな国人達はほぼ間違いないですね」
「それではですね」
「使者は送っていきますね」
「今からな、もう戦ははじまっている」
既にというのだ。
「出陣した、いやその前からだ」
「はじまっている」
「それこそ上様が決断された時から」
「そうなのですね」
「そうなる、だから今の進軍中は使者は送らないが」
それでもというのだ。
「安土城に入ればな」
「すぐにですね」
「美濃や尾張の国人達に使者を送り」
「そしてですね」
「そのうえで、ですね」
「降る様に勧めていく、降ればいい」
その国人達はというのだ。
「幕府に組み込む、後は石高によってだ」
「大名になり旗本になりですね」
「封じますね」
「そうしますね」
「そうする、そして中々降らない者もな」
そうした国人達もというのだ。
「考えが変わればいい」
「大軍が自分達に近付き」
「そして周りが次々に幕府に降る」
「それを見せてですね」
「そうしてですね」
「そうだ、だからだ」
それでというのだ。
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