ドリトル先生の野球
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第九幕その十二
「それでなんだ」
「阪神はだね」
「そのことからも強くなった」
「そういうことだね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「やっぱり内輪揉めはね」
「よくないね」
「どんな場所でもだけれど」
「野球チームでもそうで」
「阪神でもなんだね」
「巨人もフロントは昔から色々あったけれど」
それでもというのです。
「まだ現場のことは水原茂さんという凄い監督さんがいて介入するとか考えられなかったからね」
「若しフロントが何か言っても」
「それでもだね」
「何かあっても」
「それでもだね」
「名監督だったからね」
それでというのです。
「フロントも言わなかったんだ、後もフロントはまだ弁えている人達だったから」
「現場に介入しなかったんだ」
「今みたいに」
「そうだったんだ」
「そうだったんだ、けれどね」
それがというのです。
「あの悪名高いオーナーになってからね」
「ナベ何とかっていう?」
「あの人だね」
「あの人がオーナーになってからなんだ」
「フロントがおかしくなったんだ」
「そうなってね」
そうしてというのです。
「ずっとおかしな補強や現場への介入を行って」
「ああなったんだ」
「巨人を万年最下位のチームにしたのね」
「そうしたことを繰り返して」
「そうだよ、如何にチームにとって野球を理解しているフロントが重要か」
先生は感慨を込めて言いました。
「わかるね」
「軍隊に例えるとわかりやすかったわ」
「政府が変に口出ししたら駄目ってことと同じね」
「戦場のことは軍人さん達専門の人達のするべきことだから」
「そこに政府の人達がああしろこうしろって言っても」
「よくないね」
「フロントの人はグラウンドで野球をしないんだよ」
そうだからだというのです。
「それであれこれ言っても仕方ないね」
「確かにね」
「そういうことね」
「今の阪神のフロントは違う」
「そしてだね」
「お家騒動もなくなったんだね」
「そうだよ、そのことも今の阪神が強い一因だよ」
先生は皆にお話しました、そうしてそのうえでいよいよはじまろうとしているドラフトをその目で観るのでした。
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