おぢばにおかえり
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第五十九話 先輩と神戸でその三十一
「今思うと最悪の断り方したから」
「そんなに酷かったんですか?」
佐野先輩も私から見ると凄くいい人です、明るくて愛嬌もあってしかも面倒見のいい素敵な先輩です。小柄で垂れ目で可愛い外見でもあります。
「佐野先輩の断り方は」
「ちょっとここで言えない位ね」
「そうですか」
「順も一緒になって酷いことしたし」
「それで先輩達怒られたんですね」
「当時の三年生の人達にね」
何と言っても最高学年なんで寮では一番偉い人達です。
「怒られて気付いて」
「それで、ですか」
「反省してるから」
「それで今もですか」
「ええ、あの子に言われてもね」
そうなってもといいうのです。
「私は何も言わないのよ」
「そうですか」
「言う資格がないから」
だからというのです。
「それでなの」
「じゃあこれからも」
「言われるとやっぱり辛いけれど」
それでもというのです。
「二度とあんなことしたくないから」
「あんなことですか」
「人を傷付ける様なこと、残酷なこと、意地悪いことはね」
「それが先輩の心さだめですね」
「そうなったわ」
こうしようと決意することを心さだめといいます、これもおみちの言葉で私もお父さんお母さんみたいな立派なようぼくになろうと心さだめをしています。
「あの時からね」
「怒られてですか」
「あの時怒られないとね、私は」
先輩は豚腹煮込みを食べながらお話してくれました。
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