おっちょこちょいのかよちゃん
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63 文化祭招待大作戦
前書き
《前回》
異世界の護符の所有者・羽柴さりは神戸にいる姉・ゆりに会いに行く。そしてその地でも異世界の敵が現れたという情報を知り、異世界の道具を授けられたという女子高生・鷺森光江と出会う。三河口の高校では文化祭の準備が始まり、かよ子は杉山や大野と共に全校清掃として校庭を掃除するのだった!!
さりは光江が帰った後、ゆりやその旦那と食事していた。また、さりは夏休みに従弟が札幌にいるもう一人の姉・ありの所に行っていた事を母から聞いた事も喋った。
「ふうん、ありも平和の世界の人と会ていたのね」
「うん、あり姉も大丈夫かな?」
「まあ、姉として信用するのみね。それだけありも向こうの人から頼られてるって事じゃないのかしら?」
「まあ、きっと大丈夫だろ」
「うん、そうよね・・・」
翌朝、かよ子は好きな男子を高校の文化祭に誘う事ができるのか不安に思いながら家を出た。その時、丁度隣の家から出てきた三河口と遭遇した。
「やあ、かよちゃん、おはよう」
「あ、お兄ちゃん、おはよう・・・」
「今月の終わりの休日に俺の所の高校で文化祭があるんだけど行ってみるかい?」
「うん、行くよ。私もお母さんから聞いたよ」
「杉山君や大野君も誘ってみると楽しくなるかもね」
「う・・・。か、からかわないでよ・・・!」
かよ子は恥ずかしくなってしまった。
「はは、ごめんよ」
「それに、杉山君達、来てくれるかな・・・?」
「まあ、ウチのクラスの教室ではPKもできるから、面白くなると思うがな」
「PKってサッカーの?」
「そうだよ」
(それなら喜んでくれるかな?)
かよ子は少し望みを持った。
「それに俺の友達の北勢田が長山君達を誘うって言ってたし、濃藤も妹のすみ子ちゃん達を呼んでたから楽しくなると思うがな。食べ物とかのお代は俺が一部出してあげるよ」
「う、うん、ありがとう。私、頑張って誘ってみるよ!!」
かよ子は頑張ってみようと思った。そして三河口と別れる時、何もないのに躓きそうになってしまった。
かよ子は学校に着くと長山と出会った。
「ああ、山田、おはよう」
「な、長山君、おはよう・・・」
かよ子は長山で思い出した。長山も向かいの高校生男子から文化祭に誘われているという事を三河口が言っていた。
「あ、あの、長山君・・・!!」
「何だい?」
「長山君は高校の文化祭に行く予定だよね?」
「ああ、あの高校の文化祭かい?もちろん、行くよ」
「そうだよね。私も行くよ。楽しみだね」
「ああ、会えるといいね」
長山と別れるとかよ子は先ず考えた。
(うん、そうだ、まずはまるちゃん達を誘ってみるか・・・)
かよ子はまる子、たまえ、とし子の三人を誘ってみた。
「あ、あの、皆・・・」
「何、かよちゃん?」
「今月の休みの終わりの休日に、私の家の隣に住んでるお兄ちゃんの高校の文化祭があるんだけど、一緒に行かない?」
「文化祭!?いいねえ~、行く行く~!」
まる子は賛成した。
「私も行ってみようかな?」
「私も!」
「うん、ありがとう!」
「文化祭はいいよねえ~、お祭りみたいにいろんな食べ物が食べられるんだよね~、たこ焼きとか焼きそばとか、かき氷とか色々食べたいなあ~」
食べ物の事しか頭にないまる子に少し呆然とするかよ子、たまえ、とし子であった。そしてかよ子は本当の目的を思い出した。自分の好きな男子は今大野といる。
(よし、頑張ろう!!)
かよ子は杉山と大野の所に行った。
「あ、あの、杉山君、大野君・・・!!」
「山田あ?一体どうしたんだよ?」
「実はね、私の隣の家に住んでいるお兄ちゃんが通ってる学校で文化祭があるんだ。よかったら一緒に行かない?」
「文化祭か・・・。面白そうだな、ちょっと行ってみようぜ、大野!」
「おう!」
「ありがとう、実はね、サッカーのゲームができる所もあるんだよ!」
「そっか、それならますます楽しみだな!!」
「うん、ありがとう!!」
「いや、いや、誘ってくれてサンキューな!」
(杉山君・・・!!)
かよ子は作戦が成功してホッとなった。
そして冬田はその様子を盗み見していた。
(山田さあん、一体大野君に何を誘ってたのお!?)
冬田は慌ててかよ子の所に向かう。
「や、山田さあん!」
「え、ふ、冬田さん!!?」
「さっき、大野君達と何を話してたのお!?」
「ああ、その、高校の文化祭に誘ったんだよ・・・」
「ど、どこの高校の文化祭なのお!?」
冬田は迫る。
「あ、ウチの隣の家に住んでるお兄ちゃんが通ってる学校・・・」
「ええ!。私も行きたあい!!」
「わ、分かったよ、いいよ・・・」
かよ子はその高校の住所を教えた。大野の事になると手が付けられなくなる冬田であった。
三河口の通う高校のクラスでは、通常の授業の後、準備の続きに取り掛かっていた。こちらでは看板作りの班が看板用に使用するダンボール・模造紙を調達していた。
「よし、これでダンボールに文字を書いた模造紙を張り付ければいいな」
「色どうしようか?」
「こんな感じで行こう」
早速模造紙に文字を書く作業に取り掛かった。
一方、北勢田や濃藤など売り込みの班は学校を出てどこでコンロなどを用意できるか店を探していた。そこでガスコンロをレンタル可能な店を見つけた。
「よし、ここで頼むか」
そして調理する班。から揚げや焼き鳥に使用する鶏肉をどの店から仕入れるか考えていた。
「どこの店に肉屋があるかな?」
「ちょっと探してみよう」
一部は商店街へ、さらにほかの一部は味付けなどを検討した。三河口と奏子は店探しに回っていた。
「ここだけでも肉屋が何軒もあるね」
「せっかくだから一つの店に一遍に頼んでもお店の人が困るだろうから、焼き鳥用の肉とから揚げ用の肉で店を分けよう。そうすれば仕入れる人も大変じゃなくなると思うよ」
「うん、そうだね」
奏子は三河口の案に乗った。同行していた者も異議はなかった。こうしてから揚げ用に使う鶏肉、焼き鳥用に使う肉とで仕入れる店を分けて予約し、皆は学校に戻った。
三河口は濃藤、北勢田、そしてクラスメイトのと共に帰る。
「ガスコンロは2つ借りたよ。焼き鳥用のと唐揚げ用ので別にしたぜ」
「そうか、こっちも肉屋は商店街で見つけたよ。焼き鳥用と唐揚げ用で別々の店にしたよ。そしてさらに二つの班に分けて持ち帰れば両方の店に回って調達する必要がなくなるからね」
「いい時間の節約だな」
「うん、それに今年は忙しくなるかもな」
「忙しくなるって?」
「ああ、隣の家にいる女の子が友達を招待するからね。案内してやったり、おごったりしなきゃならんな」
「そうか」
三河口は家に帰る頃には七時を過ぎてしまうのであった。
とある学生が、朝の清水駅に到着する列車の時刻表を調べ、運賃を下調べしていた。
後書き
次回は・・・
「藤木茂の好きな人」
三河口が通う高校の文化祭にはかよ子や長山達の他、クラスメイトの笹山かず子も行く予定となっていた。それを藤木が羨ましそうに見ていることに気付いたかよ子は藤木の元に行き・・・。
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