曇天に哭く修羅
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第四部
知らぬが華 4
前書き
_〆(。。)
紫闇が斗浪の誘いに乗った。
再び右手が光り出す。
(また【禍孔雀】を使う気でしょうか?)
禍孔雀ならば、また斗浪の方に近付いてから撃ち込む必要が有る。
しかし様子が違う。
肘まで魔晄に覆われるほどエネルギーを溜めたのに近付いて来ない。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」
紫闇は5メートルほど離れたところから斗浪に向かって拳を突き出す。
すると紫闇の右腕が帯びていた金色の魔晄が放たれて巨大な拳の形を成した。
三羽鳥ノ一・【禍孔雀/偽炎】
(初めて見る技)
斗浪は少し離れた所に跳ぶ。
そして偽炎の威力を観察。
「なかなか器用ですね。魔晄を体から引き離せる技術を扱えるのは軍属の魔術師でも世界に10人と居ないんですけど」
のん気に呟いている彼女の傍には既に紫闇が左手を赤く染めて迫っていた。
紫闇の左腕が振り上がる。
赤い腕からは大量の血がバケツの水を浴びせかけるようにして撒かれ、それが斗浪の頭部を見えなくなるほど飲み込んだ。
しかしまだ終わらない。
外装を填めた右手が腹に押し当てられ、其方からは全身を消し去る程の光が渦巻いた。
左手から放たれたのは概念を溶かす【融解】の媒介となっている紫闇の血液。
右手の閃光は【雷鳴光翼】によるもの。
今度こそ勝利を確信したのか紫闇は背を向けてレイア達の方へと踏み出す。
「この件、さっきやりませんでした? 残心は知っていると思うんですけど」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
振り返った紫闇の目には斗浪。
相変わらず綺麗なままだ。
紫闇が驚くのも無理はない。
彼は致死の一撃を与えたのだから。
「暴走している貴方に言っても無駄かもしれませんが当たってませんよ? 触れたのは私の体ではありませんから」
斗浪の手が紫闇の手を掴むと指の間に指を差し込まれて確りと組まれた。
いわゆる恋人繋ぎでホールドされた紫闇の左手が斗浪にロックされる。
次の瞬間、腹に掌底。
小学生のような体躯から繰り出したとは思えぬほど強烈な衝撃は紫闇に一発で血反吐を吐かせ、体を浮かす。
「はい頑張ってー」
続けざまに掌底をもう三発。
【盾梟】を突き抜けるダメージ。
紫闇の防御が意味を為さない。
意識が朦朧とした紫闇の左手から斗浪の指が離れてロックが解除。
浮き上がった体が落ちるその刹那。
「弾け」
斗浪の右手人差し指。
そこから何かが紫闇にぶつかる。
触れたと同時に紫闇が吹き飛ぶ。
森の木々を直線コースで次々とへし折りながら、しまいには廃ビルの壁を砕いて向こう側まで貫通してしまった。
【音隼】による魔晄の翼を使い空中で体勢を立て直した紫闇は直ぐに雷鳴光翼の翼と手甲を展開し、自分が飛んできた方に向かって反撃。
ビルを倒壊させる程の光を両手で放つ。
しかし紫闇を追いかけてきた斗浪の姿は無く、何時の間にか背後に有った。
彼女は紫闇の背中に回し蹴りを入れ数十メートルの高さから落としクレーターを作る。
「そろそろ限界ですか?」
着地した斗浪の声が掛かると紫闇はゆっくり立ち上がり雰囲気を一変させた。
その周囲には黒い球体が数個浮かぶ。
(ここに来て新しい能力とは……。なんて都合良く覚醒するんでしょうか)
紫闇が黒い球体に攻撃。
すると斗浪の近くにも黒い球体。
そこから紫闇の手足が飛び出す。
しかし斗浪に触れる寸前で止まる。
「なるほど。『ワープゲート』ですか。空間同士を繋げる能力。慣れれば球体を大きくして全身を移動させらますね」
斗浪は紫闇と同じ【龍帝学園】で生徒会長をしている《島崎向子》の能力を知っているので特に驚くことは無い。
同系統の能力でも彼女の方が上だ。
もう紫闇と戦う必要は無いだろう。
「どうせ正気に戻ったら覚えていないので、少し私の能力を見せましょう。今まで貴方の攻撃を無傷で済ませたものも有りますよ」
後書き
偽炎のえんは原作だと焉。
(__)
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